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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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八十九話 奥の手

 獅電班・将英班・久遠班に分かれて整列した。

もちろんそれに付随する兵士たちも並んでいる。


久遠「ここまで大規模なのも久々だな」


宰川「諸君にはこれから三つの軍を制圧してもらう。班で分けて同時に軍を攻めるというのは初めての試みだが、最も勝ちやすく負けにくい作戦を華城が考えた。無論、班長に判断を委ねる部分はあるが、基本的には作戦通りに動くように。合戦の開始時刻も、終了時刻も班によって変わると思うが、気にせず戦いに集中するように」


全「はっ!!」


宰川「治療担当をどうするかについてだが、獅電班には風雅を、将英班には神楽を、久遠班には翔斗がついていく。久遠班のみ治療担当が居ないが、翔斗がある程度の防御と手当をする」


宰川「他に何か連絡はあるか?」


華城「何もない」


京夏「私から少し、よろしいでしょうか」


宰川「ああ、構わない」

京夏が喋るのか?


京夏「父の斬豪に代わり、私が話そう。今回の戦もだが、我々の旅路は決して楽なものではない。命を落とす者、病を患う者、重症を負う者が後を絶たないだろう。

しかし、その危険を顧みず向かっていく兵士たちに私は最大限の敬意を表する。

父の戦死の報せを聞いた時、私は悲しいとは思わなかった。それは私の番が来たと思ったからだ。大将に代わりがいるのなら、当然諸君にも、私にも代わりが存在する。それも無数にだ。

ただ、代わりが居るのなら自分に価値はないのか? 私はそうは思わない。人の価値は生きているうちの行動によって決まる。皆は幸運にも生きているではないか。では、自分に価値を生み出すのは今からでも遅くない。

死ぬということは、自分の価値が確定するということだ。

生きているうちは、自分次第でいくらでも己の価値は変動する。

つまりだな・・・・

生きてさえいればどうとでもなる! それを肝に銘じておけ! 決して自分の命を無駄にしないように!!!」


全「おおおおおおおおおおおお!!!」


人数の力もあるだろうが、今までで一番の声量だった。


俺「もう完全に大将の風格だぞありゃ・・」


了斎「確か彼女はわしらの一個上だ。信じられんな・・」


右京「最後に俺からも一言言っておく。絶対に勝利を収めて帰ってこい!!!!」


全「うおおおおおおおおお!!」


宰川「作戦開始! 進めえぇぇぇ!!」


 一斉に全員が野原を駆け始めた。


俺「過去一の熱量だな・・」


将英「期待を裏切る訳にはいかない。絶対に勝つぞ」


俺「おう!」

真栄田はどんな育て方をしたんだ・・普通の少女があそこまで大将らしくなるか?


春日「頑張るぞー! えい、えい」

周囲の全員が無視した。


春日「私帰るけどいい?」


蒼月「おーでござるな」

優しいなやっぱ蒼月は。

春日は満足げに微笑んだ。


 数時間の移動の末・・


俺「見えてきたな・・」


蒼月「城は見えるでござるが・・敵兵は見当たらないでござるな」

軍ごとに服の色は違うので、別の軍の武士が居れば気づく。


将英「ここへ来る途中、武士の大群は見かけなかった。すれ違ってはいないだろう。ただ、ここまでもぬけの殻だと・・」


了斎「既に別の場所へ移動していたのかもしれないな」

ここまで来てそれは痛いな。


彰「しかし、本当に農民や町人しか居ませんね・・武装している人は見当たりません」


俺「まんまとかけられたってことか?」


将英「いや、相手はかける気すら無かっただろう。尾田軍もしくは栗斗軍のもとへ兵を配置している可能性が高い」


俺「ってことは・・ここに来た意味はないのか?」


将英「まだ決まったわけではない、周囲を確認しよう」


俺「蒼月に索敵してもらえば良いんじゃないか?」


将英「ああ、そうだった」


蒼月「探すでござる」

蒼月が目を閉じ、しばらく黙った。


蒼月「やはり、付近に敵兵は居ないでござるよ」


将英「そうか」


茜「で、問題は獅電班と久遠班どっちの手助けをするかでしょ」


春日「尾田軍のところへ集まっている可能性が高いんじゃない? 今回の同盟は、坂本軍から尾田軍へ提案したものらしいし」


了斎「戦力的に助けたいのは栗斗軍だが・・どうする?」


俺「申し訳ないが、この班は将英の指揮下にある。判断は将英がしてくれ」


将英「尾田軍のもとへ向かう」


班員「了解」


忍にも移動することを伝え、俺たちは尾田軍の根城へ向かって移動し始めた。


      *


雷煌「あれですよ! 栗斗軍の根城!!」


俺「ああ」

栗斗軍の根城は仕掛けが多いと聞いている。

だから俺たちは城を攻めず、敵がこちらまで出てくるのを待つ。

 

 適切な距離まで来た。


俺「鏑矢を放て!!!」

弓兵が城へ矢を放ち、戦いの始まりを伝えた。


俺「お前らであれば一対一で負けることはない! 敵に背後を取られないように心がけろ!」


全「はっ!!」


霧島「俺たちの動きは作戦通りだな?」


俺「ああ」

幹部の五人は城へ侵入し、大将の首を狙う。もちろん道中の兵士も殺していくが、敵軍の幹部や精鋭が現れた場合は大将ではなくそちらを優先する。


俺「ここは任せた! 俺たちは城へ向かう!」

城から続々と兵士が出てくる。


先頭で雷煌が敵を斬り続け、道を開く。


霧島「雷煌! 体力は持ちそうか!」


雷煌「はい! 城までは問題なくやり続けられます!」

城に近づくにつれて敵数は増えていく。


俺「ここからは俺たちも戦闘する! 城へ入る機会を決して逃すな!」

城の入り口へじりじりと近づき、次から次へと現れる敵の相手をし続けた。


敵兵「義龍(よしたつ)さんが来るまで俺たちで耐えるぞ! うおおおおおおおお!!」

なるほど。義龍が幹部の名だな?


敵兵「おらぁぁぁ!!!」


俺「なっ!?」

無数の針を飛ばしてきた。術か!?


晃牙「危ない」

晃牙が来た瞬間、針の動きが止まった。


俺「助かった。ありがとう」


晃牙「多分、あいつ」

針を飛ばしてきた奴を指さした。


俺「ああ、了解だ」

おそらく、俺の前の空間を操作して針が進めないようにしたんだろう。

詳細が未だに分からな術だが、便利ということだけは分かる。

全て弾けるとはいえ、この数の針を捌くのは面倒だからな。


俺「はっ!」

針を飛ばした者の首を刎ねた。


敵兵「クッソ、この野郎!!」


俺「はああっ!!」

囲んできた奴らを細切れにした。


敵兵「おっ! 義龍さん!!!」

現れたか!?


丸坊主の男が二本の刀を持ってやってきた。


雷煌「気をつけてください! きっと幹部級です・・」


俺「ああ」


義龍「おい、お前ら一旦下がってろ。俺が相手をする」


敵兵「しかし、一人では・・」


義龍「命令だ! 下がってろ。五人に大勢でかかって一人も倒せないとは・・情けない」


俺「無能な部下を抱えるってのも大変なものだな。同情する」

義龍の目の色が変わった。


義龍「ほう・・俺を目の前にしてもその堂々とした発言・・貴様もなかなかやるようだな」

俺はコイツの事をよく知らないだけだ。


俺「で、やるのか? 五人と一人だが」


義龍「逆に五人で足りるのか? と聞きたい。逃げるなら今のうちだぜ? それとも・・お仲間を呼んでくるか?」


俺「俺一人で構わん。晃牙たちは下がってろ」


霧島「おいおい・・大丈夫か?」


俺「問題ない。敵兵に邪魔をされた場合は容赦なく殺せ」


義龍「誰も邪魔はしないと誓うさ。では、やろうじゃねぇか・・獅電!」


俺「俺の名を知っていたのか。では、俺の二つ名も知っていると思うのだが」


義龍「もちろん知っている。最強の武士を殺せば手っ取り早く俺は最強になれるんだ、かかってこい!」

二刀流とは思えない力強さだ・・クソ・・!


繭「負けないで!!」


なるほど・・動きに無駄がない、単純な剣戟では決着が遠のく。

考えろ・・コイツの弱点は?!


敵兵「やっちまってください!!」


義龍「どりゃあああああ!!」

敵兵を持ち上げてこちらへ投げつけてきた。


俺「はっ!」

真っ二つに切ったが・・そんなことも平気でするのか?


俺「お前がどんな人間かは今の行動ではっきり分かった」


義龍「何だ?」


俺「無能とはいえ、未来ある兵士をこんな風に扱うとは・・お主もまだまだ人の上に立つ器ではないんじゃないか?」


義龍「器だなんだやかましい! 強いやつが正義だ!!」


俺「そうか・・ではお主は正義はなく悪になってしまうが? 俺よりも強いものはこの場にいない」


義龍「勝ってから言え!!」


俺「ああ、そうだな」

すぐに義龍を斬った。


義龍「ぐぁっ!!」


俺「クソ・・両目を潰したはずなんだが」

片目のみ切れていた。


雷煌「良いですね、片目になってすぐは距離感も分かりづらいです!」

雷煌だからこそ説得力のある言葉だ。


霧島「そのままやっちまえ!」


義龍「フフハハハハハハ!! 片目が潰れたところで俺を殺せやしねぇ!!」


俺「ふっ!!」

向かってきたところを跳んで避けたが、着地の瞬間に激痛が走った。


晃牙「獅電!?」

クソ・・足を捻った。


俺「畜生・・」

駄目だ、これじゃ思うように戦えない。


義龍「おいおい、さっきまでの威勢は旅行にでも行ったのか?」


俺「晃牙たち、すまない。この後少し大変なことになるかもしれんが・・信じてるぞ」


霧島「は? どうした?」


俺「奥の手を使う」

刀を鞘に納め、義龍の刀を鷲掴みにした。


義龍「お前っ!!!」


俺「うぉぉぉぉぁぁぁぁあ!!!」

義龍の心臓部を突き、手を抜いた瞬間、吹き飛ぶほどの血が溢れ出た。


敵兵「この野郎!! お前ら行くぞおおおお!!!」

一心不乱に迫りくる敵を殴り殺し続けた。


霧島「おい、もう良いだろ! 助けに行くぞ!!」


雷煌「はい!!」


 意識がはっきりと戻った時、義龍の死体の近くに寝そべっていた。


霧島「起きたか! 大丈夫か!!!」


俺「義龍は・・死んだか・・・・」


晃牙「死んだ」


このやり方をするのは・・東二以来か。


霧島「顔も体も血まみれだな・・」


俺「この辺に居た敵は?」


雷煌「義龍さんが死んだのを見て逃げました。向かってくる人は僕たちで倒しました」


俺「そうか、よかった」


霧島「初めてみたけどあんなの・・何をしたんだ? 殴って殺したのか?」


俺「俺もよくわからないんだが・・他のことは何も考えず、敵を殺すことだけに集中するとこうなる」


雷煌「凄いですけど・・体を大切にしてください! 充血してますし、顔も赤いですよ・・それを使うのは本当に危ない時だけにしてくださいね」


俺「ああ、すまない・・」


繭「無事で良かった。今も梶田軍兵士たちが頑張って戦ってる。霧島が様子を見に行ってたけど・・押されてはいなかったと思う」


俺「わかった。作戦続行だ、城に侵入する」


雷煌「その・・血は大丈夫なんですか?」


俺「終わった後に洗う。行くぞ」

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