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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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八十八話 連戦

 防衛戦から一週間。

道場が完成し、既に稽古は始まっている。選ばれし九十八人がどうなるか楽しみだ。

華城塾も完成した。華城は今日から遙華に教え始めるらしい。

そして、先日侵攻してきたのは尾田軍ということが死体から発覚した。


朝だし広間でくつろいでいると・・


久遠「おーーい! 出てこーい!」


俺「んだよ朝から・・」


久遠「聞こえてるぞー!」


俺「わかった、今開ける!」

久遠さんが馬に乗っている時点ですべてを察した。


翔斗「今から久遠さんが言うことを当てよう。『今すぐに城へ来い』」

間違いない。


久遠「惜しい。正確には九時までに城へ来い、だ」


俺「華城、今何時ー?」


華城「八時ちょうど」


俺「お、結構時間あるじゃん」


久遠「じゃあ、そういうことだから頼むよ」


俺「はーい」


 家政婦が作った朝飯を食べながら、将英の起床を待っていた。


雷煌「さむい・・いつになったら暖かくなるんでしょうか・・」


俺「まぁ、言ってもあと一ヶ月の辛抱だろ」


霧島「今って何月?」


火蓮「三月じゃ」


俺「あと一ヶ月で、俺が候補生になって一年・・か」

本当にあっという間だった。

逆に考えると、俺が入って一年でここまで軍が変わるとはな・・


火蓮「妾との出会いも一年前・・ということじゃな?」

すり寄ってきた。なんだコイツ。


俺「別にお前に限らねぇだろ」


華城「初めて我らをみた時、どう思った?」

何だその女々しい話題。


俺「華城はただの根暗なやつだと思ってた」


霧島「正解」


華城「正解じゃない」

まぁ、案外洒落を飛ばすやつだった。


雷煌「僕は?」


俺「可愛いなと思った。でも弱そうだとも思った」

小柄だし幼いしで、全く強そうだとは思わなかったな。

『守らなければならない存在』だと思っていた。


了斎「今となっては清次よりも雷煌の方が・・・・」


俺「それ以上はいけないぞ。俺は片腕しかねぇんだ」

両腕あっても勝てる気はしないけど。


初対面の時のことを思い出しながら、俺たちは朝飯を完食した。


全「ごちそうさまでした!」


 各々身支度をし、城へ向かった。

大広間には、精鋭部隊が集まっていた。

定期的に行われる通常の会議だろう。

それは良いんだが、どうして毎回当日の朝に伝えに来るんだ・・?

二日前、いや、正直前日でも良いから教えて欲しい。


久遠「揃ったな。では、今日も明るく楽しく平和な会議を始めるぞ~」

ちょけすぎだ。


春日「・・誰か突っ込んであげなよ」


宰川「今日は会議というより班の発表やその他の情報を伝えるだけの時間だ」

あっさりと否定されたな。


宰川「まず、班を発表する。俺・獅電・華城・伊海・獅電で話し合って決めた班だ、反対意見は受け付けない」


霧島「なんか怖いな」


宰川「まず、獅電班。この班は最も過酷で困難な作戦を実行する特別な班だ。実力・実績ともに本当に信頼を置ける者しか入れていない。

班長は獅電。

班員・晃牙

  ・繭

  ・雷煌

  ・霧島の五人だ。しかし、状況に応じて豪の兵士や他軍の幹部を加える。あくまでこの五人は固定の班員だと思ってくれ」


納得の五人だ。強敵と対峙しても難なく勝つことが出来るだろう。

それどころか、この五人でしょぼい軍なら滅ぼせるんじゃ・・?


宰川「続いて将英班。この班は柔軟に動きを変えられる軍だ。何か異常事態が起こった場合、真っ先に派遣される班になるだろう。

班長・将英。

班員・了斎

  ・清次

  ・蒼月

  ・茜

  ・彰

  ・春日の七人に、随時兵士を追加して行動する。話していた通り、清次と茜、彰は同じ班となっている。将英は班員をまとめるのに少し苦労するかもしれないが・・なんとか頑張るんだ」


将英「この問題児はオレが抑える」

問題児呼ばわりはちょっといただけないな。


彰「よろしくお願いします、清次さん!」


俺「敬語を使わないでくれ、むず痒い」


宰川「久遠班。言うことはない。

班長・久遠。

班員・剛斗

  ・美咲

  ・羽音

  ・火蓮

  ・信雄の六人に随時兵士を追加する。集団戦が得意な者が多いから殲滅に向くだろう」


宰川「最後に司令部だ。これは班では無いのだが、再度構成し直したものとなるから一応頭に入れておけ。役職を含めて言うぞ。

宰川軍代表・宰川上午。

宰川軍参謀・華城。

伊海軍代表・伊海美紀子。

濃霧衆代表・右京。

真栄田軍代表・京夏」


霧島「はぁ!? 待て、京夏?」


宰川「真栄田の娘、京夏だ」


霧島「待て待て・・あいつは真栄田軍を継いでないだろ。っていうかそもそも真栄田軍は宰川軍に吸収されてるし・・」


華城「真栄田は京夏を次期の大将として育てるために手取り足取り教えていた。言ってしまえば、真栄田の価値観を反映させるための存在だ。あいつが死んでも・・あいつの思想は死なず残り続ける」


俺「京夏は良いのか?」


華城「軍を継ぐと約束したからにはやると答えてくれた。お前らまだ気づいていないかもしれないが、そこに居るぞ」

華城の指さす方を見ると、若い女性が立っていた。


俺「全く気づかなかった・・」


京夏「無責任にも自ら死を選んだ父をお許しください。そしてこの私にもう一度、大将として歩む機会を与えてくださった皆様には感謝してもしきれません・・・・」

真栄田と性格違いすぎだろ・・


獅電「顔を上げろ」


宰川「続けるぞ。

連絡担当・凜花。

治療担当・神楽、風雅。以上!」


拍手が巻き起こった。


華城「ちなみに、最終決定権は宰川殿にある。作戦の立案は基本的に我が行うが、それを伝え、実行に移させるのは宰川殿だ」


春日「格好いい~」


宰川「そして、もう一つ重要な情報がある。先日の侵攻は尾田軍によるものだということは既に伝わっていると思うが、その尾田軍が栗斗軍・坂本軍と同盟を結んだらしい」


栗斗軍?坂本軍?


華城「尾田軍は三万人規模、栗斗軍は二万人規模、坂本軍は一万人規模だ。現在宰川軍・伊海軍・梶田軍による連合軍は総勢二十万人ほどだ」


いつの間にそんな増えた・・?

まぁ、勝った軍の兵士をどんどん吸収してるからそんだけ居ても不思議ではないか。

ほとんどは戦に出ず各地で仕事しているしな。

町の治安維持や揉め事の解決など・・俺たちよりも活躍してるくらいだ。


俺「まぁ数は勝ってるな。でも全員出撃するなんてことはないだろ」


華城「ああ。我が最も効果的な作戦を考える」


久遠「情報はあるのか?」


伊海「私が持っております。尾田軍の特徴は稼働している兵士の多さですね。今回も一万二千人を軽く送り込んできました」

そんな適当に使ってたらすぐに全滅するぞ・・?実際今回だけで七千人は失っているわけだし。


伊海「栗斗軍は二年前に結成された軍で、大将の栗斗亭琉(くりとていりゅう)の圧倒的実力によってまとまっています。術の詳細は分かりませんが、破壊神とも呼ばれていることから破壊に関する術かと思われます。おそらく今回の三つで一番厄介な軍です」

ふわっとした情報だな。


伊海「坂本軍は全く分かりません」

分からんのかい。


宰川「何が言いたいのかというと、待っているだけでは遅いという話だ」


俺「攻めるのか?」


宰川「三つの班と数千人の兵士で全ての軍を同時に攻め落とす」


将英「そんなことが可能なのか?」


華城「不可能などない。可能にする作戦を考えるのが我の役目だ」


俺「それで、まずどの班がどの軍を攻めるんだ?」


華城「獅電班は最も厄介な栗斗軍を、将英班は詳細不明な坂本軍を、久遠班は尾田軍を担当する」

理にかなっていると思った。


宰川「同時に攻めることで、敵の戦力を分散させることも可能だ。混乱が起き、対策もあまりできないだろう」


華城「まだ決まっていないところについてこれから話し合いたい。それが、作戦開始日と派遣する兵士の詳細だ」


俺「いつやるか決めてないのか」


宰川「善は急げと言うが・・こちらも準備をしてから攻めなければならない」


伊海「やはり・・一週間後が良いのではないでしょうか?


華城「何か他に意見のある者は?」

誰も手を挙げなかった。

まぁ、俺たちに言えることはないな。


華城「では作戦開始日を一週間後の三月十四日とする」


久遠「派遣する兵士は?」


華城「戦力で言うと、上から梶田軍兵士→濃霧衆→館の兵士といった感じだ。強い相手に上から使っていくのが適切だと思うが」


館。久しぶりに聞いた。

宰川軍にある五つの階級のうち、豪のひとつ下が館だ。足軽ではないが優秀なわけでもない兵士って感じだな。


久遠「館の兵士は今何名ほどいる?」


宰川「約一万人だ。大抵の兵士は物資の輸送など雑用に使われているが、戦えないというわけではない」


久遠「おそらく館の兵士を栗斗軍の方へ送り込むと武士の質で負ける。それ以外はあまり問題なさそうだ」


俺「濃霧衆のうちの精鋭は絞ると何人くらい居る?」


右京「最低でも五十人は居る」

結構いるな・・濃霧衆って結構強いはずなんだよな。鶴歌ってやつも繭に勝てるくらいだったし。


華城「鶴歌が繭らに張り合っていたことを考えると、濃霧衆の精鋭は豪の兵士よりも戦力としては上だと思われる。ハゲ、その精鋭を後で選別しておいてくれないか?」


右京「ああ、わかった。何か目印が会ったほうが良いよな?」


宰川「新たな忍び装束を用意しよう。精鋭以外は濃紺のままに、精鋭は茶色にする」


右京「用意できるのか?」


宰川「大したことではない。久遠、期日を一週間で注文しておけ」


久遠「はっ」


右京「感謝する」


華城「精鋭は豪の兵士とともに三等分しようと思っている。そして派遣する兵士だが、獅電班と行動するのは梶田軍兵士、将英班は濃霧衆、久遠班は館の兵士でいいか?」


誰も何も言わない。


宰川「よし、決定だ。豪の兵士が凜花の力も借りて招集をかけておけ」


豪の兵士「はっ!」


      *


 少しいつもより緊張感のある一週間を過ごした。

俺たちが体をなまらせないように鍛錬している間、華城は遙華に医学を教え続けていた。


霧島「ついに今日だ・・まさか俺が獅電班に入れられるとはな」


雷煌「本当ですよ・・過酷な班って、怖すぎませんか」


俺「大丈夫だ。霧島と雷煌なら」


翔斗「おいらたちが心配してるのは清次だ」


俺「将英も蒼月も了斎もいるし・・大丈夫だって」


了斎「止めてもらう前提で言うんじゃない」


将英「そろそろ集まって移動を始める時間だ。華城はもう準備できているぞ」


華城「遅いぞ」

馬に乗った状態で言った。


了斎「よし、皆行くぞー」


招集場所に行くと、野原に数千人が集まっていた。


始まるのか~・・ついに。

三つの軍は決して近くないので、移動時間は班によってまちまちである。

俺が向かう坂本軍の根城は四時間ほど移動した場所だ。


獅電「おそらく全員が揃った」


宰川「総員、整列!!!!!」




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