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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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八十七話 波紋

 主力部隊・派遣された兵士の全員が戻ってきた。


獅電「総員整列!」

獅電さんが言ってるの新鮮だな。


俺「春日、柄は持ったか?」


春日「大丈夫、私も大丈夫だし」

柄は持っても問題ないようだ。


獅電「今から城へ帰還し、報告及び負傷者の治療を行う!」


全「はっ!!」


獅電「移動開始!」


俺「割とこの辺の町も荒れちまったな・・」


久遠「住民らしき死体もいくつかあるな。小規模だが被害はあるな・・」


 城へ戻ってきた。


宰川「獅電、敵は残っているか?」


獅電「死んだ奴と逃げたやつが半々くらいだ」


宰川「ひとまず今日は大丈夫だ。また後日攻めてくる可能性もないだろう」


俺「こんだけ簡単に追い払われたらな・・」

お相手の大将は絶望していることだろう。

これが宰川軍だぞ!!


華城「治療が必要なものはここに残って手当を受けろ。無事な者は主力部隊以外帰れ」


全「はっ!」


俺「例の刀だ、華城」


春日が縛った状態で渡した。


華城「これが?」


俺「ああ、もう柄だけになっちまったけどな」


華城「取り出していいのか?」


俺「いや、危ないから一応そのままにしておいてくれ」


華城「わかった。後日また調べてみる」


宰川「では、主力部隊は大広間に集まれ。会議をする」


全「はっ」


 大広間に来ると、華城が二人の豪の兵士を前に連れてきた。


霧島「豪の奴だよな、どうして前に立たせたんだ?」


宰川「今回新しく幹部に入ることに決まった。彰と茜だ。もちろん俊平と美月の枠が空いたからという理由もあるが、二人とも優秀な人材だ」

まぁ、何度か仕事をしているから顔は知っている。


彰「よろしくお願いします!」


『なんであいつが・・』という豪の兵士からの声もちらほら聞こえた。


久遠「お前ら文句を言うなよ。これは面接まで行った結果決まったことだ。幹部に入りたいのなら個別に声をかけろ。検討する」

豪の兵士が静かになった。

文句だけ言って、自分は何もしないやつって多いよな・・


茜「そうだよ、うるさいんだよお前ら」


火蓮「あいつは正気か?」

気が強い・・では済まされないか。


華城「茜はかなり口が悪いが命令に背くことや輪を乱すことは決して無い。皆が気を使って言わないことを言う人だと思ってくれ」

何だそれ・・正論代理人?


豪の兵士「確かに茜が命令に背くことはないですが・・幹部に入るべき人間とは思えません。もう少し検討してはいかがでしょうか」

一人の兵士が手を上げて言った。勇気を出したな。


華城「どうして入るべきではないと思う?」


豪の兵士「ずっと文句を言ってますし・・」


華城「幹部にも文句ばかり言うやつが一人居る。清次っていう奴なんだが」

俺!?


俺「ちょっと待て、俺は関係ないだろ・・?」


華城「しかし、清次は何か人間関係で問題を起こしているか? いや、起こしていない。それどころか清次は皆に好かれているぞ」


豪の兵士「清次さんは特別な才能がありますし、茜とは違うと思います」


俺「ちなみに言っておくと、俺は普通に命令に背くから茜よりも酷いぞ」


了斎「どうして自分でさらに下げるんだ」


俺「一応な」


豪の兵士「そうは言いますけど・・」


茜「じゃあ良いって、別に私幹部になりたいわけじゃないって言ってるでしょ」


俺「良いこと考えた! 茜、俺とお前は同じ班で行動しよう。そんで、お前は命令を守るから俺が好き勝手し始めたら止める。俺はこの兵士より百倍強いからお前を守ってやる」


豪の兵士「百倍・・」

文句は言えないだろ?俺のほうが間違いなく強い。


華城「まだ班は決まっていないが、それでいいだろう。参謀として言わせてもらうが、茜一人の判断で崩れるほど宰川軍の地盤は緩くない。それを理解してくれ」


豪の兵士「分かりました・・」

落ち込んだ表情で言った。


俺「茜はそれで良いのか?」


茜「参謀がそう決めたなら、私はそれでいいけど」

確かにちゃんと従ってる。


宰川「では、彰と茜も幹部の席へ座れ」


彰「はい!」


俺「よろしくなー、茜」

俺のほうが問題児ってことを伝えるのはなかなか良い庇い方だったんじゃないだろうか。


大体、口が悪いやつは自分を守るために強い言葉を使ってるんだよな。

だから外っ面は無神経で荒々しいやつって思われがちだ。

優しい人ほど苦労人とは言うが・・茜も色々な経験があって今の姿になっているはずだ。

だから、表面だけで人を判断はできないよなとつくづく思う。

華城は、その隠された内面を見抜く能力がずば抜けている。だから今回は一切引かなかったのだろう。

きっと大丈夫だ。悪いやつじゃない。いざとなったら俺が止める。


宰川「そして今回わかったことは、大砲の防衛性能の高さ、そして数の力の偉大さだ。今回の防衛戦が従来よりもかなり楽だったのは、この二点のの影響が大きいだろう」


華城「もちろん、その分死者多くなっているが」


宰川「故に、今後は大砲の数を増やしていこうと思っている」

いよいよ宰川軍も『技術』で戦うようになってきたか。

若干の寂しさはあるが、安定感は増すよな。


右京「大砲を作る当てはあるのか?」


宰川「ある」


右京「一体なんだ?」


宰川「今だ手つかずの濱田軍領地だ。濱田軍兵士は一人も精鋭に加えていないからあそこは今ただの農村のような状態になっている。統治者を配置しているから治安などは問題ないがな」


俺「そんで、そこを改造するのか?」


宰川「ああ。濱田軍兵士とこっちに居る職人を数人送り込み、製造に取り掛かってもらう」


霧島「ちゃんと作れるんだろうな・・?」


華城「濱田軍は元々力ではなく技術で勝っていた軍だ。きっと上手くいく」

その軍を真栄田が力で粉砕してしまったと。

今考えると、あいつって大将としては規格外の戦闘能力だったよな・・


宰川「そして、道場があと数日で完成する。華城塾は一週間後完成の見込みだ」

華城塾を使うのはまだ先だからな。多少遅れてもいいだろ。


華城「直政と忠勝は現在、道場の生徒を選別している」

お努めご苦労さまです。


春日「なんか、この辺も随分発展してきたねー」

会議中とは思えない能天気な発言だ。


獅電「人が増えたことによる一番の利点だ」


将英「しっかりと統制は取れているのか?」


華城「一応だ」

華城がゆるい回答をする時は大抵問題がない時だ。


宰川「後日、ここで新たに構成し直した班を発表する。今日の会議はここまでだ。解散! ・・・・と言いたいところなんだが、新しい幹部との親睦を深めるという意味も込めて、今日はここで飯を食べていけ」


全「うおおおおお!!」

飯の話には全員が飛びつくよな。


久遠「酒は!?」


美咲「また飲む気なの・・?」


久遠「一杯だけ!!」


宰川「残念なお知らせだ。酒は・・・・ある。豪の兵士も飲んで良い」


一部の兵士「うおおおおお!!」

人の機嫌を取るのが上手い男である。

さっきのいざこざなんて完全に忘れてそうだなこいつら・・


茜「まーた飲み会やんのこいつら・・?」

完全に呆れていた。


俺「茜は飲まないのか?」


茜「はぁ? 私十六歳なんだけど」


俺「えぇ!?」


了斎「清次、失礼だ」


俺「もっと年上かと・・」

将英に頭を叩かれた。


将英「追撃するんじゃない」


茜「気にしてないから良いって」

意外と心が広い。


華城「飯の準備には一時間ほどかかる。談笑するのは構わないが、あまりはしゃがないように」


全「了解!」


俺「俺は着替えてくる・・何で戦ったままの服装で会議したんだ」


雷煌「僕も着替えてきます!」

結局、幹部の男全員が待機室に集まっておもむろに着替え始めた。


俺「何で同時に全員来るんだよ・・狭すぎる」


霧島「更衣室とか用意してくれよ・・」


華城「無理なお願いだ」


 大広間に戻り、しばらく世間話をしていた。


宰川「皆、席につけ!」

ぞろぞろと兵士が席に座り始めた。


宰川「まだ防衛戦が終わったとは限らないが、あれだけの兵士が尻尾を巻いて逃げていったことから、当分二回戦はないと思われる。今日は好きに食って飲んで寝ろ」


俺「宰川殿!」


宰川「どうした?」


俺「忠勝と直政を呼んでください!」


宰川「そうか・・今回は戦っていないが、参加させるべきか」


凜花「虎影に呼んできてもらいましょうか?」


俺「それがいい!」


虎影が城を出ていった。

なんか、呼ばないと仲間はずれみたいで嫌だからな。


霧島「茜は食べないのか?」

茜はずっと箸を放置している。


茜「腹減ってない」


霧島「あ、そう」


茜の腹が鳴った。


彰「今の、茜・・?」


茜「私じゃない」


霧島「今、右から音がしたけどな」


俺「食いたいなら食って良いんだぞ」


茜「でもなんか悪くない? 幹部に入ってそうそう飯を食いまくるのって」

何でそんな気を使うんだよ・・さっきまでの威勢どこいったんだ。


俺「じゃあお前の飯全部俺が食うぞー」


茜「おい!」

必死に食器を取り返そうとしてきた。


霧島「もう良いから食えって」

半笑いでいった。


茜「わかったよ!」


春日「どうどうどうどうどうどう? 美味しいでしょ??」

ちょっとうざい。


茜「・・普通」

周囲から笑いが起こった。


忌憚ない意見だ。


火蓮「茜を毒見役にしたら宰川軍のご飯が美味しくなりそうじゃな」


俺「ひでぇ使い方だな」


茜「いや、普通って褒めてるから。不味くないだけで十分だよ私は」

よくわかんない人だ。面白い。


忠勝「もう始まってたの? 食事会」


俺「防衛戦が終わった祝いだよ」


忠勝「はやっ、もう勝ったの?」


俺「一旦な」


忠勝「僕も食べよっと」


直政は獅電の隣りに座った。


獅電「飲むか?」

酒を注ぎながら言った。


直政「良いんですか?」


獅電「ああ」


二人は小さく乾杯し、酒を飲んでいた。


久遠「大将! おかわり!!」


信雄「ここはお店じゃないです。自分で注いでください」


久遠「信雄が注いでよ~」

まーた酔ってら。


俺「宰川殿、そろそろ久遠さんは禁酒にしないかー?」


宰川「検討しておく」


久遠「待て! オレは全然酔ってないぞ」


華城「信用できるか」

 

 今日も夜は楽しく更けていき、場内の大広間は静まっていった。

約一万二千の軍勢を一日で敗走させたと言う事実は瞬く間に広がり、宰川軍の力は大陸中の軍に知れ渡っていた。


      *


?「何? 一日で半数が殺されただと?」


?「申し訳ございませんでした」


?「明日もう一度兵士を送り込め!」


?「ですが・・宰川軍の実力は想像以上です。明日も同じ結果になるだけかと」


?「クソ・・ではどうする?」


?「他の軍から同盟の申し出がありました。しかも二つの軍です。手を組めば、宰川軍を討ち滅ぼすことも可能になるかもしれません」


?「ハハハハ・・!! 面白くなってきた。調子に乗っていられるのも今のうちだ宰川軍! 貴様らの天下統一という夢は、俺たちが引き裂いてやろう・・!」

 

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