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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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七十四話 ケース・バイ・ケース

忠勝「僕と戦わないうちに片腕を失っちゃうなんて・・災難だったね」


俺「黙れ!」

勝てる。片腕でも問題なく・・


豊「危ない!」

斬りかかった直後の脇腹を狙われた。


霧島「清次ー! 焦るなー!!」


俺「クソ・・!」

数十本の針を忠勝の足元に出した。


忠勝「それやめて!」

軽々と飛び越え、俺の方へ向かってきた。


俺「うぉぉおおおお!!」


霧島「おい」

いつの間にか霧島のもとへ移動していた。


俺「おい、何で・・!」


霧島「正面衝突は忠勝に分があるだろ。もう少し頭を使え」


獅電「ヤツの斬撃は俺に匹敵するほど早い。おそらく、豊よりは早いだろう」


豊「ああ、そう感じたわい」


じゃあどうする?一対一で勝つのは不可能。豊さんと二人で攻めてもどちらかが囮になる。


忠勝「コソコソ何やってんの?」

既にこっちまで来ていたか・・!


俺「お前の殺し方なら分かったぞ」


忠勝「はぁ?」


俺「はっ!!!」

俺はできる限り遅く刀を振った。


忠勝「ぐっ・・」

よし、一撃入った!!

こいつに勝つには、常に予想外の攻撃を仕掛けなければならない。

速さで勝てないのであれば、逆にゆっくりと斬ってしまえば良いんだ。いつ加速するか分からないから相手は対応に困る!


豊「なるほどな・・」


獅電「良いぞ。もっと頭を使っていけ」


忠勝「クソ!」

向かってきたので、すぐさま俺はしゃがんで足を狙った。


俺「ああ”!!」

忠勝の足を捻って転ばせた。


俺「豊さん! 今だ!!」


豊さんが忠勝を斬ろうとした瞬間、忠勝が起き上がった。


忠勝「邪魔しないでくれ!!」

忠勝が豊さんに頭突きした。


豊「ぐっ・・・・」

歯が抜けている。

頼む、霧島・・・・豊さんを避難させてくれ!!


忠勝「いつまで僕の足を掴んでるの?」


俺「残念だったな」

忠勝の足の裏に針を出し、刺した。


忠勝「ぐぁぁ!!」


俺「痛いだろ?」


忠勝「うーん、驚いたけど・・あんまりかな」

顔を蹴り飛ばされた。


      *


霧島「まずい、ここに戻すぞ」


俺「ああ」


霧島が霧を出し、瞬間移動で二人を連れ戻した。


豊と清次の顔をやられた。


清次「クッソ・・」


俺「清次、お前の負けだ」

返答を待たず、俺は忠勝の方へ向かった。


忠勝「清次は?」


俺「もう戦う気はないらしい」


忠勝「へぇー、見損なったなー」


俺「後輩のケツを拭く。それが先輩である俺の役目だ」


忠勝「君の名前は?」


俺「獅電」


忠勝「獅電って、あの獅電?」


俺「どの獅電のことを言っているか分からないが、おそらくその獅電で間違いない」


忠勝「へぇー。まさか最強の武士と戦えるなんてね」


・・・・後ろから足音がした。


清次「獅電さん・・俺にやらせてください」


俺「何故来た!」


忠勝「諦めてないじゃん、嘘ついたの?」


清次「俺は死なない限り負けを認めない」


忠勝「わかった、死ぬまでやろう」


豊「獅電、最後の作戦がある。ワシらを信じてくれないか」

豊も来ていたのか・・


俺「駄目だと言ってもどうせやるんだろう。やるなら最後までやり切るんだ」


清次「任せてください・・!」


豊が忠勝と向き合った。


忠勝「爺さんの速さじゃ僕を倒せないよ」


豊「ホッ、確かにそうじゃな」


二人の剣戟が始まった。

やはり忠勝が優勢・・


だがおかしい、何故清次は何もしない?突っ立って二人の戦闘を眺めているだけだ。

術で援護はできるはずだ。

しかし、これも作戦のうちかもしれない。俺が手を出すことは出来ないな・・


忠勝「あぁぁぁぁぁ!!!」


豊「うぉぉぉぉおお!!」

二人の攻撃はどんどん加速していく。

このままじゃ単なる体力勝負。老人に勝ち目はない・・


豊「ぐはっ!!!」

腹を切られた・・!


清次「オラァ!!!!」

忠勝を疲弊させてからとどめを刺す戦法か。


忠勝「はっ!」

清次が忠勝に弾き飛ばされた。


清次「クソ・・・・何で・・!?」


俺「忠勝の体力を見誤っていたようだ」


俺は刀を抜き、忠勝の前に立った。


俺「フゥ・・・・・・」

深く息を吸い、一気に忠勝へ攻撃を仕掛けた。


十秒も経たない間に、俺は忠勝に馬乗りになった。


忠勝「殺さないで!!!」


俺「は?」


忠勝「僕、本当は一回も人を殺したことなんて無いんだよ。四天王の穴埋めって言われてるのはそれが理由で・・実戦経験だって殆どない。戦うのが怖いから・・ずっと木陰に座ってたんだ」


霧島「そんな戯言に耳を貸す気は無いぞ」


忠勝「でも・・死にたくないんだ。清次のことも殺したくなかったら斬らずに蹴った・・殺す覚悟がなかったんだ」

確かに、清次を殺せる場面は何度もあった。

ただ、清次はまだ重傷で済んでいる。


俺「・・ここでお前を殺すかどうかを判断するのは俺ではない。霧島、忠勝を抑えておけ」


霧島「ああ」


俺は笛を鳴らした。

アストリアに状況を説明し、本部で判断をしてもらう。


アストリア「こちらアストリア。要件は?」


俺「忠勝を殺す寸前のところなんだが・・コイツが命乞いをし始めてな」


アストリア「命乞いを?」


俺は状況を細かく説明した。


アストリア「本部で一度話し合います。結論が出たら再度連絡をしますので」


俺「ああ」


清次「獅電・・さん・・」


俺「あ?」


清次「コイツの止めは・・俺が刺します・・」


俺「駄目だ」


霧島「コイツ、今まで人を殺したことが無いらしい。命乞いに応じる気はないが・・独断で殺すことは出来ない。今本部で検討中だ」


清次「何でだ・・? 討伐が任務じゃないのか?」


霧島「はっ?」


清次「前から思ってたんだよ・・皆、目の前の情報に左右されすぎだ。もしこれが間違った判断だったとしても・・俺は忠勝をここで殺す」


忠勝「やめてくれ!!」

忠勝が必死にもがく。


霧島「落ち着け!」

清次・忠勝の両方に対して言った。


清次「俺は『生かすか殺すかを本部で相談させろ』なんて指示、受けてないと思うんだが」


霧島「この班の指揮は獅電さんだ。獅電さんが言ってることに従わねぇと」


正直、清次の意見も一理ある。


清次「そもそも、何だ? 殺したことがないって。たった今、俺と豊さんが殺されそうになったのにコイツは何を言ってんだ? 口からでまかせを言ってるようにしか思えねぇ」


忠勝「本当に殺したことないんだよ!」


清次「そうか・・まぁそれはいい。殺していようが殺してなかろうが関係ない。ここで俺は間違いなくお前の首を斬る」


 ずっと倒れ込んでいた豊がゆっくりと体を起こした。


豊「清次・・一度、こちらに来てくれんか」


清次「豊さん、無事だったか・・悪い、今の俺は思うように歩けないんだ」


俺「俺が運ぶ」

清次を抱きかかえて豊の目の前に座らせた。


      *


豊「ワシは、清次の芯の通った性格はとても魅力的だと思っておる」


俺「・・・・・・」


豊「じゃが、それは言い換えると頑固ともいえる」


俺「よく言われるよ。頑固だって・・」


豊「ワシのような年寄りに言われても心に刺さらんかもしれんが・・清次の四倍以上生きているワシから、話したいことがあるんじゃ」


俺「・・」


豊「時に堅実に、時に柔軟に。じゃ。アストリアはこれのことを『ケースバイケース』と言っておったわい」


『最後に大切なことを言っておきます。

皆さん、そして特に清次は・・柔軟な考えを大切にしてください。時に堅実に、時に柔軟に。

各々曲げたくないところはあると思います。もちろん僕にだって曲げたくない信念はあります。ただ、曲げられないほど硬いもの同士がぶつかったらどうなると思いますか?

そう、折れてしまうんです。自分が正しいと思うのは当然のことだと思いますが、他の人の意見に耳を傾けることを決して忘れないように。

そして、時には曲がっても良いんです。曲がるほど柔らかいもの同士であればぶつかっても折れませんから。とにかく、ケースバイケースという言葉を念頭に置いておいてください』


確かに言ってたな・・・・


豊「今の清次は、他の人の意見に耳を傾けられていないように見えるんじゃ」


俺「確かに・・」


豊「清次が正しくないと断言はしないわい。しかし、獅電はお主よりもかなり多くの経験を積んできている。やはり、ワシは合理的な判断を下せるのは獅電だと思っておるんじゃ」


獅電さんの武士歴はおそらく十年以上。

俺はせいぜい一年程度か・・・・

経験は確かに圧倒的な差がある。


俺「ああ・・」


豊「今回、ワシは獅電の判断に従おうと思っておる。じゃからのう・・清次も、一度だけ仲間を、『経験』というものを信じて欲しいんじゃ。もし今回の判断が間違ったものだったら、清次は金輪際人の指示になど従わんでよい」


俺「・・・・」


獅電「アストリアから連絡だ」


獅電「獅電だ」


アストリア「こちらアストリア。相談の結果、忠勝は制限の下、生かすことに決まった」


獅電「了解だ。今すぐに連れて行く」


忠勝「僕・・生きられるんですか?」


獅電「ああ」


忠勝が、霧島を振り払った。


霧島「お前、何を・・」


忠勝「ありがとうございます!!」

忠勝は刀を捨て、地面につくまで頭を下げた。


獅電「礼には及ばん。指示に従っただけだ」


俺「今回は、俺も従うよ」


獅電「ありがとう」


霧島「ありがとな」


豊「感謝する」


忠勝「本気で戦ったのは清次が初めてなんだけど・・初戦が清次で良かったと思ってる。本当にありがとう」

忠勝が手を差し伸べてきた。

これはどっちだ・・?握手か?立ち上がらせてくれるのか?


俺「正直、今まで戦ってきた武士でお前が一番強かったな・・」

忠勝の手を握って立ち上がった。


忠勝「光栄だよ」


全員が馬に乗り、忠勝は俺と同じ馬で後ろに乗った。


俺「お前がチビで助かった」


忠勝「殺すよ?」


俺「殺す覚悟ねぇんだろ?」


忠勝「君だって、僕を殺す実力がなかったじゃんか」


霧島「よせ、お前ら二人の会話は危なっかしい」

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