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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
天下統一編

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七十二話 あーん?

 ・・・・朝だ。


俺「いてててて・・」

俺の上に火蓮が乗っかってきていた。どんな寝相だよ・・


ただ、起こすわけにもいかないし・・片手で抜け出すのも難しい。

そっとしとくか・・


 物音がした。

音のなった方を見ると、霧島が目を擦りながら起き上がっていた。


声は出せないけど、助けて欲しい・・


俺「!!」

地面を少し叩き、霧島が気づく程度の音を出した。


霧島「?」

首を傾げていたが、俺の状況を見てすぐにこちらへ歩いてきた。


霧島「お前、何いやらしいことしてんだ」

耳打ちで言ってきた。


俺「違う、起きたらこうなってたんだ」

小声で言い返す。


霧島「俺の霧でどうにかできるのかそれ・・?」


ぶつぶつ良いながら、俺のすぐそばに霧を出した。


霧島「入ってみろ」

霧に体を重ねた瞬間、霧島のそばに瞬間移動した。


俺「ありがとう、本当に助かった」


霧島「こんなしょうもないことに使わせるなよ・・」

笑いながら言った。


俺「俺、片腕で戦えるのか・・?」


霧島「何だよ急に弱気なこと言って。らしくねぇな」


俺「やっぱり俺、ある程度は剣術も評価されてただろ・・? その剣術が一気に劣化すると、俺自体の価値も下がっちまうんじゃないかって思うんだ」


霧島「後で宰川殿に聞いてみろ。『俺の価値は下がったか?』ってな」


俺「聞いてみるか・・・・」


座って話しながら、皆が起きるのを待っていた。


春日「おはよ、なにしてたのー?」

なんかふわふわしてるな。朝だからか?


俺「人生について語り合ってた」


春日「絶対ウソじゃん」


霧島「どうだろうな」

春日が松明に手を当てて暖め始めた。


俺「そんなに寒いか?」


春日「寒いよ~」

悔しいが、少しだけ可愛いと思ってしまった。


美咲「ばっ」

美咲が水で松明の火を消した。


俺・霧島「あ」


春日「何してんのー!!」

声でっか。


その瞬間、奥で大きな物音がした。


霧島「あーあ。やっちまったな」


剛斗「うるせえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


俺「お前が一番うるせえよ!!」

こうなると思ってたけどさ・・


当然、剛斗の声で全員が飛び起きた。


雷煌「剛斗さんはいつになったら静かになるんですか・・・・」

雷煌が片目で睨みつけていた。


華城「落ち着いている剛斗なんて気味が悪い。今のままで結構だ」


霧島「清次、宰川殿が起きたみたいだから聞いてみろよ」

気乗りしないなー・・


春日と美咲の口論を眺めている宰川殿の方に向かった。


俺「宰川殿、聞きたいことがあるんだが・・」


宰川「どうした?」


俺「俺、片腕失っちまっただろ? それで・・俺の・・武士としての価値って下がるか・・?」

宰川殿が膝を叩いて笑った。


俺「そんな笑うことじゃ・・!」


宰川「お前もそんなことを考えることがあるんだな。安心しろ、お前の価値が差があることなど無い。何故なら、俺が清次を評価している理由は強いからじゃないんだ」


俺「強いからじゃないって・・?」


宰川「すまん、語弊があったな。勿論お前は幹部の中でも上位に入る実力がある。だが、俺が清次を特別な目で見ているのはな・・あの頃の俺と真逆だからだ」


俺「宰川殿の・・?」


宰川「そうだ。清次のその反骨精神、そしてどのような状況でも決して屈しない心、そして・・覇気だ」

俺に覇気なんかあるか・・?


宰川「正直、最初に清次と了斎が城にきた時は、『また平凡そうな奴らが来たか・・』と思った。ただ、俺の挑発にあそこまで強く言い返してくるやつは今までに居なかったんだ」


俺「俺、なんか言ってたっけ・・?」


宰川「お前は初っ端から俺に怒鳴ってきたよ。了斎は俺を『ヒゲおやじ』と言ってたな」


俺「最低っすね、あいつ」


宰川「清次も対して変わらんだろう。だが、その誰にも媚びない姿勢が俺には輝いて見えたし、昔の俺はそういう人間に憧れていた」


俺「昔の宰川殿はどんな人だったんだ? こんなこと聞かないほうが良いかもしれねぇけど・・」


宰川「構わん。昔の俺は大将の息子であるにも関わらず臆病でな・・常に周りの目ばかり気にしていた」

まぁ、優しい宰川殿であればそれも想像できる。


俺「でも、それって悪いことではないだろ?」


宰川「ああ、俺も今となってはそう思う。ただ、武士は心も体も強くあるべきだと思っていた俺はそういった荒々しい人間になりたかったんだ。一度勇気を出して強い言葉を使ってみたこともあったが、『大将の威を借る弱虫』なんて言われてな・・やっぱり自分には無理だと諦めたんだ」


俺「荒々しい性格か・・霧島も似たようなもんじゃねぇか?」


宰川「ああ、そうだな・・では、清次にあって霧島にはないものが何かは分かるか?」

俺にあって霧島にないもの・・・・


俺「思いやりの心とか?」


宰川「ハハ、それはどちらも持っているだろう。正解は『野望』だ。霧島もかなり気は強いが、それはあらゆるものに関心を抱かない性格によるものだ。ただ清次は弱さも残酷さも全て受け止めた上で強い気持ちを持っている。それはきっと今までの経験にも理由はあると思うんだが・・」


確かに、俺はいつも自分には不相応な目標ばかり掲げている。

一年前なら『最強の武士』、今なら『天下統一』。

俺はそれにふさわしい人間なはずがないのにもかかわらず、やたら目標と志だけは高い。


俺「そうか・・・・」


宰川「宰川軍に今まで足りていなかったものは『危険を冒してでも挑戦する覚悟』だ。天下統一なんて危ない橋、絶対に渡っていなかった。だが今はどうだ? 清次に触発されて全員その気になっている。もちろん俺もだ」

褒めすぎてる。俺はすぐに調子に乗るからやめとくべきだ。


俺「なんか、今までの言い方だと霧島が俺に比べて良くないみたいじゃねぇか」

そこだけは納得できなかった。

霧島は俺よりも才能があるし、武士に適した考え方をしている。


宰川「清次のような人間の弱みは、目標に執着するばかりに周りが見えなくなってしまうところだ」


俺「あー、んー・・・・」

ぐうの音も出ない。


宰川「そういったときにお前を支えてくれるのが霧島のような『適当』な人間なんだよ」


宰川「了斎もそれに近いな」


俺「確かに・・」


宰川「つまり俺が言いたいことは、お前も霧島も了斎も、宰川軍に必要不可欠な存在なことに変わりはない。あまり心配するな。ってことだ」


俺「ありがとう・・ございます。元気出たよ」


宰川「それならよかった」


蒼月「ご飯でござるよ~!」


手を叩きながらこっちに来た。


剛斗「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


何でそんな盛り上がる・・?


久遠「普通の朝飯だ。落ち着いて食え」


剛斗「おう・・!」


 昨日の夜は粥で腹いっぱいだったので何も食べなかった。

つまり、これが腕を失って初めての食事となる。


神楽「清次さん、食べられます・・?」


俺「余裕だっ・・・・」


食器を倒した。


了斎「あ・・」


華城「もうお前は誰かに協力してもらえ。危ない上に食べている姿が情けなくて見るに堪えない」


俺「言いすぎじゃねぇか?」


美咲「いや、正直・・ちょっと面白いよ」

皆が笑いだした。


俺「あーもう俺飯食わねぇからな!」


獅電「食え馬鹿」


おかわりを俺の目の前まで持ってきてくれた。


俺「ありがとうございます・・」


神楽「清次さんは食器を持っていてください。はい、あーん」


俺「あーん」


介護されてる気分だ。

これからずっとこれが続くと思うと気が滅入る・・・・


霧島「お前が『あーん』っていう必要はねぇよ」


俺「無意識に言っちまったんだよ!」


蒼月「清次殿のご飯は次から片手で食べられるものにするでござるよ」


俺「本当か! 助かる!!!」


将英「握り飯だけで足りるのか? おかずはいらないのか?」

おかずを見せびらかしながら言ってきた。


俺「クッソ・・・・おかずも・・食うよ」


蒼月「米だけは握り飯にするでござる。拙者が握るでござるよ」


俺「ああ。ありがとう」


翔斗「おかずはこれからも神楽に食べさせてもらうといい。神楽、良いか?」


神楽「はい、もちろんです!」


なんだコイツら・・・・・・

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