六十七話 剥奪
そろそろ本当に限界だぞ・・宰川殿の方はきっと大丈夫だ。
あとはこっちに誰かが来てくれたら・・・・
美月「清次、まだ動けそう?」
俺「無理だ! そろそろけりを付けるぞ!」
美月「気を失ってもいい! 最後にできる限りの地割れを起こして!!」
最後ってか・・最期になるんじゃねぇか・・?
俺「分かった! ・・後は任せたぞ」
イサベル「な、何この地割れ!!!!」
*
清次が地割れを起こした。
大丈夫、アストリアが杖を取り上げたから猛獣がこれ以上増えることはない。
光刀なら猛獣も簡単に切れるし・・出来るはず。
アタシ「うわぁぁぁ!! 危な!!」
背後から熊が襲いかかってきた。
月華流で舞っていなかったら今頃アタシは・・
雷煌「美月さん! 今の状況は!!!」
数十匹の虎を殺しながら走ってきた。
アタシ「イサベルがアタシたちを裏切った。多分アイツの術は動物の召喚みたい」
雷煌「ここに来る途中で半分くらいは倒してきました」
アタシ「ええ、助かったわ」
雷煌「はい・・・・って、清次さんが倒れてます!!」
すぐに清次のそばまで雷煌が駆けつけた。
アタシ「清次は地割れを起こして気を失ったわ。でも大丈夫、猛獣に襲われない限り回復する!」
雷煌「分かりました! 僕が猛獣を掃討するので、清次さんを守っていてください!!」
アタシ「そんな、アンタ一人で・・!」
雷煌「心配しないでください!」
虎を軽々飛び越えながら斬っていった。
瞬間移動は使ってないみたいだけど・・脚が速いわね。どんどん猛獣を殺してる。
*
ストーンハート「はぁ・・だいぶ待たせちまったな」
僕「副団長!!」
よかった・・間に合った。宰川軍への被害は極力抑えられた・・はず。
イサベル「クッソ・・・・」
僕「では、お願いします」
ストーンハート「ああ」
副団長がイサベルの杖を持った。
イサベル「待て! この野郎!!!」
ストーンハート「よし。完了した」
僕「よかった・・・・」
*
俺「何だ? どんどん猛獣が消えてくぞ」
華城「イサベルに何か変化があったのかもしれない。今すぐ確認に向かう」
宰川「わかった」
良い変化であることを願おう。
イサベルのところに戻ると、また一人増えていた。
俺「えーっと、アンタは・・誰だ?」
ストーンハート「俺は星界術師団副団長のストーンハートだ」
俺「そ、そうか・・」
アストリア「皆さん、もう大丈夫なので安心してください。副団長が先程イサベルの術の使用権を剥奪しました」
信雄「じゅつのしようけんをはくだつ・・?」
俺「術を使えなくしたってことだ」
華城「剥奪なんて難しい言葉、どこで覚えたんだ? 霧島」
俺「俺だってそれくらいは知ってんだよ・・」
ストーンハート「迷惑をかけてしまい申し訳ない。イサベルはこの後処分する」
宰川「術師団の意向ではなく、イサベルが勝手に裏切り行為をしただけだろ。副団長が謝ることはないさ」
華城「責任は取ってもらうが、いいか?」
容赦ねぇなー。
美月「なんか猛獣が消えたんだけど・・何があったの?」
雷煌と美月にアストリアが状況説明をした。
雷煌「良かったです・・!」
イサベル「何がいいんだよ。ストーンハート、お前だって裏切りがいいと思ってるだろ?」
ストーンハート「思ってない。武士が強くなったのは確かだが、術師もまだそこまで落ちちゃいねぇ」
俺「お前、もう何も出来ねぇんだから抵抗すんなよ」
イサベル「ウチは術なんかなくたって!!」
イサベルが暴れ出そうとした瞬間、木の上から春日が降ってきた。
春日「はい、逮捕ー!!」
イサベル「おい、何だこのクソ女!!」
春日「えー? 君よりは私の方が可愛いと思うんだけど・・」
別に顔の話じゃないだろ・・
俊平「ていうか、春日はいつも急に現れるよね・・」
与根川との決戦でもそうだったか。
華城「これでもうイサベルは動けないな。そして、責任のとり方だが・・」
ストーンハート「梶田軍をぶっ潰す、これでいいか?」
宰川「完璧だ」
二人が握手を交わした。
雷煌「清次さんは・・?」
宰川「何、清次がどうかしたのか?」
美月「今、清次があっちで倒れてるわ。かなり大きな地割れを起こして気を失ったの。倒れるの覚悟で起こしてたから大丈夫だと思うんだけど」
俺「はぁ? こっちまで連れてこいよ・・どこにいるんだ?」
雷煌「あっちです!」
*
美月と雷煌の言う場所まで来たが、清次は見当たらない。
わし「場所は間違っていないのか?」
美月「間違えるはずないわよ、さっきまでここで戦ってたのよ」
華城「手分けして探そう」
わし「おーい、清次ー! いるかー? 清次ー!!」
雷煌「清次さーん?」
五分ほど探し回っても清次は見つからなかった。
わし「本当に場所は間違ってないのか?」
雷煌「はい。地割れの起点はここです」
雷煌が地面を指さした。
霧島「妙だな・・もう勝手に立ち上がってどっかいってんじゃねぇか?」
春日「それはないんじゃない? 気がついたとしても、まず最初に確認するのはイサベルたちのところだと思うし」
霧島「そうか・・」
華城「アストリアに聞いてみよう。なにか知っているかもしれない」
わし「そうだな」
イサベルたちのところへ戻ってきた。
華城「アストリア、清次の行方は知らないか?」
アストリア「知りませんね・・ここまで届くくらい大きい地割れを起こしてから見てません」
霧島「どうする・・?」
アストリア「探知してみますか?」
春日「探知って?」
アストリア「僕の術の中の一つです。一度会話したことがある人ならば、大体の位置を特定できます」
そんな便利な術が・・・・
霧島「通信士という肩書は伊達じゃないってわけか」
アストリア「ええ。情報に関しては任せてください」
アストリアが杖を持ち、目を閉じた。
本当にこれで分かるのだろうか・・・・?
アストリア「・・・・・・分かりました」
わし「どこにいる?」
アストリア「東に一キロほど離れた場所を移動中ですね・・速度からして、馬での移動かと」
宰川「馬だと・・? 意識はついているということか?」
霧島「やっぱり、一人で勝手に行動してんじゃねぇか」
華城「待て、馬だからといって清次に意識があるとは限らない」
霧島「どういうことだ?」
華城「清次が攫われたかもしれない、ってことだ」
わし「何?!」
春日「それってだいぶまずいんじゃ・・・・」
すぐに宰川殿が笛を鳴らした。
宰川「今日の戦闘は中断だ。今すぐに清次を連れ戻す」
信雄「少々、焦り過ぎではないでしょうか」
宰川「いや、今の宰川軍には清次が必要不可欠だ。戦力という意味だけではなくな」
華城「我も同意見だ。繰り返し笛を鳴らそう」
ストーンハート「複数人いるということを伝えるために、連続で鳴らすべきだ」
急に喋った・・
宰川「・・なるほど」
わしらは何度も連続で笛を鳴らし続けた。
わし「もういいだろう」
伊海「皆様がここに集まるまで、イサベル様の話を聞きましょう」
アストリア「コイツに様なんて付けなくていいですよ。カスなので」
*
俺「・・・・は!」
はぁ・・息が苦しい。
まだ疲労は取れてねぇか・・
俺「は?」
周りを見てみると、俺は謎の小屋の中に居た。
俺「クソ・・気を失ってる間に運ばれたか?」
戸を開けようとしたが、鍵がかかっている。
俺「何なんだこれ・・」
というか、結局イサベルはどうなった?
美月は猛獣を全部片付けただろうか・・?
俺「ったく・・」
戸を思い切り蹴った。
俺「いてぇ!!!」
硬すぎんだろこの扉・・
地割れで小屋ごと壊すか?いや、そんな体力は残ってない。
?「・・目が覚めましたか?」




