六十話 集結
わし「久遠さん! ようやく見つけた!!」
一時間くらい探した・・
久遠「どうした、緊急事態か?」
ちょうど敵を倒したところだったみたいだ。
信雄「久遠さんにとって緊急事態かはわからないですけど・・霧島さんが久遠さんを連れてこいと言っていたので呼びに来ました」
久遠「・・そうか。今すぐ向かおう」
即決だった。
美咲さんが危ないということは伝えなくて良いのだろうか?
馬で走り始める。
信雄「四天王、一人倒しましたよ」
久遠「それは本当か? ちなみに誰だ?」
わし「忠次といったな」
久遠「そうか。よくやってくれた。忠次が出てきたなら、他の四天王が戦場に居てもおかしくない」
わし「既に誰かと戦ってるかもな」
信雄「既に決着がついてる可能性もあります」
嫌なことを言うな・・
わし「霧島!!」
ようやく戻ってきた。
霧島「久遠さん、来たか。こっちに来てくれ」
美咲の姿を見た久遠さんは絶句した。
霧島「四天王との戦闘で重傷を負った。ここからの回復は不可能だ」
生きているかどうかも怪しい状態だ。
でも、どうして久遠さんを連れてきたんだ?
久遠「呼んでくれてありがとう。霧島」
そう呟いて、久遠さんは思い切り美咲を抱きしめた。
思わず「えぇ!?」と声が出そうになったが、意味を理解してわしは黙った。
信雄「了斎さん、知ってましたか?」
わし「いや、知らなかった」
信雄「久遠さんは美咲さんを愛してました。美咲さんが幹部に入って少し経ってからずっとです」
霧島「そんで、それは逆も然りだ」
わし「そうだったのか・・」
確かに、二人は年齢が近いし仕事で同じになることも多かった。
自然と好意をもつのも理解できる。
雷煌「なんとなく、感づいてましたけど・・」
雷煌はあまり驚いていなかった。
霧島「戦国の世じゃいつ死んでもおかしくない。そんな中で愛する人を作るなんて俺には理解できねぇけどな」
わし「きっと、愛ってのはその程度の理由で止められるものじゃないんだ。作ろうとして愛する人を作ってるわけでもないだろうしな」
霧島「一生俺には分からない物だ」
それはどうかな、と言いたいけどな。
信雄「母に続き美咲さんを失ってしまった久遠さん。心がもつか心配です」
霧島「舐めんな。その程度でへこたれるようじゃあの人も武士なんてやってねぇはずだ」
それもそうか・・?
霧島・信雄・わし「あ」
雷煌「笛ですね。撤退命令です」
霧島「早かったな」
久遠さんにも聞こえただろうか。
久遠「宰川殿のもとへ戻る。オレが美咲を連れて行くから先に戻っていい」
この状況でも指示を出せるのは流石だ
わし「了解!」
*
結界の外から笛の音が聞こえてきた。
邪魔はしたくないが、伝えておかないといけない。
俺「笛、鳴った。多分、撤退命令。戻る」
羽音「わかりました。時間をくださってありがとうございました」
俺「大丈夫」
何とか倒せたが、濃霧衆?とかいう忍者が戦場に紛れ込んでいるのは宰川さんに伝えないと。
俺「出る。繭、運ぶ」
繭を背負って結界から出た。
羽音「じゃあ、笛が鳴った方向に行きましょう」
俺「敵、来る。羽音、亡霊、出す」
羽音「わかりました。危なくなったら晃牙さんも助けてくださいね」
俺「もちろん」
四天王と戦っている人は居るのかな。
*
剛斗「笛鳴ったぞ!!!!!!」
アタシ「思ったより早いけど・・戻るわよ!」
真栄田軍幹部「はい!」
うーん・・剛斗は強い忍者と戦ったらしいけど、四天王は結局出てこなかったわね・・・・
*
獅電「撤退命令だ。今すぐ宰川のもとへ戻るぞ」
宰川殿のことを呼び捨てできる人間は、今となっては獅電さんしか残されていない。
凄いなぁ・・
俺「俺、一人で馬乗れないかも・・」
獅電「はぁ?」
はぁって言われても・・めちゃくちゃ体痛いし。
俺「本当に体痛いんです・・・・」
獅電「早く乗れ。もう敵とは戦わずに走り続けるぞ」
俺「はい!」
獅電さんはなんだかんだ優しい。
獅電さんの後ろに乗り、獅電さんの体にしがみついた。
獅電「暑苦しいな・・腰を掴むだけじゃいけねぇのか?」
俺「この方が安心するので」
獅電「はぁ・・・・」
*
しばらく待っていると、伊海殿と数人の伊海軍幹部が帰ってきた。
我「伊海殿か。無事で良かった」
伊海「そちらこそ、ご無事で何よりでございます」
宰川「なにか変わったところはあったか?」
伊海「剛斗様や、繭様のもとへ強敵が現れました。私は結界を作成して少し離れたところから見守っていましたが、どうやら敵は梶田軍ではなかったようです」
宰川「なに? 別の軍か?」
我「それを話すのは剛斗たちも帰ってきてからでいい」
蒼月「おっ! 宰川殿も伊海殿も無事そうでござるな!」
春日たちとともに戻ってきた。
我「おかえり。元気そうで良かった」
蒼月「華城もでござるよ」
豊も生還か・・よかった。
翔斗「結局、四天王とは遭遇したか?」
春日「遭遇したよ! いろいろ大変だったんだから!」
将英「大変だったのは春日も原因の一つだったが・・・・」
宰川「どういうことだ?」
宰川殿の少し顔がこわばった。
蒼月「まぁ、あれは仕方なかったでござるよ。悪いのは拙者らも同じでござる」
我「細かい話は後で聞く」
その後も十分ほど待っていると、馬がこちらに向かって走ってきた。
春日「あれ、味方っぽくない?」
我「誰だろうな」
了斎「おーい!!」
了斎か。
翔斗「久遠さんも大丈夫だったか!」
久遠さんもこちらに手を振っていたが、近くで顔を見ると目の周りが腫れていた。
久遠「ああ、大丈夫だった」
霧島「美咲が死亡した」
春日「本当に!?!?!?!?」
驚きすぎだ。
我「そうか・・久遠さんが背負っているのが美咲か」
久遠「ああ」
目の周りが晴れている理由はそれか。
春日「美咲さん・・・・いい先輩だったのになぁ・・」
了斎「だが、四天王を一人討伐した」
宰川「誰だ?」
信雄「榊原って人です」
獅電「梶田四天王をたった四人で討伐か。宰川軍も強くなったな」
我「獅電殿!!!」
了斎「清次!!!!」
この二人は一緒に行動していたのか・・・・
宰川「よく帰ってきた。獅電、清次」
獅電「何だよ急に。気持ち悪いな」
清次「生きてるに決まってるでしょ」
二人とも相変わらずだ。
了斎「清次、体がボロボロじゃないか! どうしたんだ?
清次「四天王のやつと戦ったんだ」
春日「二人で!?」
清次「いや、俺一人」
春日「一人で!?!?」
我「獅電殿は戦わなかったのか?」
獅電「清次が一人で戦うと言ったからな」
宰川「お前はそうやって無茶ばかり・・」
清次「なんかムカつく奴だったんで」
豊「清次はそこを直せば一流の武士じゃな」
おっしゃるとおりだ。
我「それで、四天王は倒したのか?」
清次「いや・・良いところまでは行ったんだけど、最後の最後で敵の救援が来たみたいでな」
宰川「取り逃したのか。まぁ、そのまま戦っていたらきっと清次が負けていただろうしよかろう」
清次「いつにもまして辛辣だな」
辛辣だが的確だ。
真剣に受け取って欲しいところだが・・・・
清次「まぁ、皆の言う通りだな。次から気をつける」
よかった。
将英「なんてやつだった?」
獅電「忠勝って奴だな」
春日「清次、本当に一人でそいつを追い詰めたの?」
清次「追い詰めるとまではいかねぇけど・・対等だったかもな」
宰川「清次の成長の話は置いといて・・まだここに来ていないのは?」
我「俊平、晃牙、繭、羽音、治療班、剛斗、美月、火蓮だ」
信雄「もうしばらく待ちますか・・・・」




