五十話 この物語
アストリア「本当に戦う気はないんでしょうね・・・・?」
めっちゃ疑われてる~
まぁ当然だし仕方ないけどな・・・・
宰川「戦う気はさらさら無い。ここで刀を捨ててもいいくらいだ」
アストリア「処理が面倒なので捨てないでください」
噛み合わないなぁ、この二人。
気まずい空気のまま歩き続けると、宮殿の入り口までたどり着いた。
アストリア「此処から先は完全に術師の管轄です。勝手な行動は厳禁ですよ」
しつこいなぁ・・
久遠「わかった」
赤い絨毯の上を歩き、団長の座る椅子の前まで来た。
術師が列になって俺たちを見つめている・・・・
獅電さん、団長に噛みつくの無理かもしれません。
アストリア「父さん、宰川上午たちを連れてきたよ」
父さん!?
団長の息子!?!?
団長「お会いできて光栄だ。宰川上午、真栄田斬豪、伊海美紀子」
ほう、名前は把握済みか。さすがの情報収集力だな。
宰川「今日は団長に話があって来た」
団長「私のことはレオナードと呼んでもらって構わない。そして話があるのも知っているさ」
それほど敵意を感じない。
なんか、いけそう・・?
宰川殿が天下統一から術師団との再戦までの計画の全貌を説明した。
アストリア「滅茶苦茶な申し出ですね・・・・」
重々承知だ。こんなところで驚かないでもらいたいんだが?
獅電「不完全な状態で星武の乱が再び起こったとしても、不完全燃焼で終わるだけだ。お互い準備をしてからの方が良いだろ」
ストーンハート「なるほど・・俺は気に入ったぞ。その提案」
意外と好意的だ。
レオナード「天下統一までは邪魔をするなということだね? それなら勿論構わないよ」
あっさり・・・・
俺が噛みつくところが無いじゃないか。どうしよう。
宰川「では、宰川・真栄田・伊海の連合軍と星界術師団での不可侵条約は締結された、ということでいいのだな?」
宰川殿が釘を刺した。
レオナード「良いぞ」
あー・・どうしよう。反抗するところがない・・
ストーンハート「せっかく遠いところから来てもらったんだ。食事でもしようじゃないか」
来た!噛みつくなら今!!
俺「はぁ!? 腹なんか減ってねぇよ!!」
全「・・・・・・・・・・・・」
えっ。
まずい。空気が。二つの意味で。
宰川「ど、どうした・・?」
俺「おい、術師団団長! 俺たちを舐めんなよ? お前らに食わせてもらわなくても飯は食えてんだよ!!」
言ってる俺が一番おかしいと思ってる。
レオナード「そうか・・・・」
獅電「清次、今じゃない。そして、もういい」
何だったんだ・・・・
俺「すみませんでした、術師団の皆さん」
謝ると、身構えていた術師の人たちがもとに戻った。
伊海「緊張でおかしくなってしまうことは、誰にでもあります。お気になさらないでください」
慰められると余計傷が痛む。
真栄田「天下統一をとにかく早く達成したいんだ。食事はお断りする」
レオナード「わかった。ではアストリア、連合軍の人たちを案内しなさい」
アストリア「わかったわかった」
なんか、星界術師団の内部って思っているより緩い雰囲気なんだな。
結局食事はせず、皆のもとへ戻ってきた。
宰川「不可侵条約は締結された」
その言葉を聞いて、皆が声を上げた。
全「うおおおおおおお!!」
イサベル「ちょっとウィリアム、どういうこと?」
ウィリアム「星武の乱を再び行うために・・・・・・」
その後、二人はずっと喋っていた。
俺「獅電さん、ちょっと良いですか?」
獅電「ああ」
俺「何がしたかったんです?」
恥をかかされただけ?
獅電「信頼を獲得するために『荒々しい兵士を抑え込む』みたいな演出をしようと思ったんだ」
何言ってんの。
俺「俺が失礼なことを言ったら注意して、『しっかりした人たち』って印象に変えようとしたってことですか?」
獅電「ああ」
何を言ってんの。
宰川殿たちのところへ戻ってきた。
真栄田「では、濱田軍領地へ早速出発するぞ!」
全「うおおおおおおお!!」
俺と久遠さんたちも馬に乗った。
アストリア「天下統一、応援してますよ」
術師にも優しい人は居るんだな。
まあ、俺は元々武士が善とも術師が悪とも思っていない。
この対立している関係を終わらせたいと思っているだけだ。
俺たちの時代がやってくるかもしれないし、敗北して術師が国を支配することになるかもしれない。
どっちでも良いんだ。俺は勝利ではなく、この物語の『結末』を求めている。
執筆が止まっていたこの壮大な物語を、俺たちの力で完結まで持っていきたいのだ。




