四十七話 備えあれば
五人による作戦会議が始まった。
各軍で大きな発言力を持つ六人が集まり、今後の動き方について話し合う。
宰川「その話の前に・・獅電と二人で話がしたい」
久遠「何だ? 珍しいな」
我「わかった、我らは部屋から出ておく」
理由を聞くべきではないと思い、すぐに我と真栄田と久遠殿と伊海殿は会議室を離れた。
一体何の話をするのだろうか・・・・
*
四人が退室し、俺と獅電だけが残った。
俺「獅電、天下統一のためにはお前の力が必要だ。これからは戦に出てくれないか?」
獅電のような圧倒的な戦力をくすぶっておくのは非効率だしもったいない。
天下統一を迅速に達成するとなると尚更だ。
獅電「十年以上変えなかった俺の方針を今変えろってことか」
俺「そうだ。獅電が居なければ天下統一は厳しい。勿論優秀な兵士も増えたが、お前はやはり別格だ」
宰川軍が十年以上無敗なのは、獅電の存在があるからといっても過言ではない。
窮地に陥ったとしても、城で待機していた獅電が出たらすぐに巻き返すことが出来る。
それほどの力を持つ人間に町の護衛は役不足だ。
獅電「そうか」
そう答えてから一分ほど沈黙が続いた。
獅電「大将の頼みならば当然受ける。あまり下手に出るな」
俺「いいのか?」
獅電「それもやめろ。大将が兵士にへりくだるものではない」
俺「わかった。ではお前も部隊に入れる方向で考える。皆を呼び戻してこい」
獅電は華城たちを連れて戻ってきた。
*
会議室に戻ってきた。
宰川「二人で話した結果、獅電も今後は戦闘に参加することになった」
オレ「どうしてそう決めたんだ? 獅電」
どうしても気になる。
獅電「時代を変えるんだろ、なら俺も一肌脱ぐ」
真栄田「お前はやってくれるやつだと思ってたぜ!!」
真栄田が獅電と握手しようとしたが、獅電は完全に無視していた。
真栄田「お、おい・・・・」
真栄田が手を開いたり閉じたりする。
華城「もういいだろ」
華城が真栄田の手を叩いた。
宰川「どういった順番で制圧していくかだな・・」
華城「宰川軍領地はこの星宇大陸の中心に近いところに位置している。山河軍領地の北東にある『濱田軍』から討伐していくのがいいんじゃないか?」
※星界術師団では『星宇大陸』ではなく『アストラノヴァ大陸』と呼ばれているが、どちらも同じ大陸を指している。
真栄田「そこから東へ、そして南へ・・と回っていくか」
伊海「そうですね。術師団領地に近い濱田軍であれば、不可侵条約の交渉をしてから素早く戦闘を始められそうです」
宰川「伊海軍は天下統一にも協力するのか? もちろん天下統一を達成したらそれなりの役職についてもらうが・・」
伊海「同盟を結びましたからね。あなた方の作戦には全面協力致します」
和平の道は諦めたのか・・?
まあ、そんな甘っちょろい事を言ってられなくなってきたのは確かだ。
獅電と同様、考え方を変えるのも無理もないな。
宰川「では、天下統一に向けての初戦は濱田軍とする。戦場はおそらく星界術師団領地の近くになるが・・術師団に被害は絶対に出さないことだ」
オレ「そうだな・・不可侵条約を破ったらどうなることか」
真栄田「精鋭部隊のみで動くという方針だったが・・精鋭とは厳密にいうと誰のことだ?」
宰川「宰川軍幹部・治療班・豪の武士。真栄田軍幹部・真栄田。元山河軍幹部。伊海軍幹部だ」
真栄田は大将だが、とてつもない武闘派の人間なので戦にも参加することになっている。
もちろん無茶はしないようにと言ってあるが。
真栄田「わかった。それを合計すると何人になる? 人数によって物資の量も考えなくては」
華城「物資の補給班があるからそこは大丈夫だ」
だが、一応人数は知っておいた方がいい。
オレ「宰川軍幹部が十六人、治療班が二人。真栄田軍幹部が六人、山河軍元幹部が二人。豪の武士は二十八人だ。伊海軍幹部は?」
伊海「十一人でございます」
オレ「わかった。伊海軍幹部が十一人。大将を含めて総勢六十八人だな」
豪の武士と真栄田軍幹部が減少した影響でかなり減ってしまったな・・・・
真栄田「移動する際の陣形はどうする?」
華城「豪の武士を外側に配置、宰川殿、真栄田、伊海殿を中心に幹部が囲む形で馬で移動だ」
オレ「流石だな。いつの間に考えていたんだ・・・・」
宰川「連絡方法は引き続き笛か?」
獅電「俺が山で敵に遭遇した時、笛を取り上げられて連絡が不可となった。笛での連絡は辞めた方がいい」
オレ「笛以外で何かあるか?」
華城「少し時間がかかるが、狼煙でいいんじゃないか?」
炎の術を使える者もいるし、それほど狼煙での連絡に苦労はしないだろう。
オレ「そうだな」
宰川「だが、万が一のために笛も配布する」
狼煙を上げる余裕がない状況も多いだろうしな。
伊海「合戦になった際の陣形はどういたしますか?」
そういえばオレたちは今まで陣形を組まずに自由に戦ってきていた。
だが、人数が減った今その戦法は危険だ。しっかりと考えなくては。
華城「最前線に清次・了斎・将英・火蓮・雷煌・美月・剛斗・俊平・獅電・真栄田を配置。中盤に繭・羽音・霧島・久遠殿・蒼月・美咲・晃牙・豊・春日を配置。最終防衛線には翔斗・信雄・豪の武士・真栄田軍幹部を配置する。治療班及び宰川殿、伊海殿、我は臨機応変に行動する」
すっげぇ・・・・華城って本当に天才なんだな。
宰川「完璧だ。あとで紙に書き起こすとしよう」
オレ「あとは・・」
獅電「明後日の術師団との交渉だ」
真栄田「それだ。どうする? 全員で押しかけるのは変だ。中心人物のみでいいか?」
オレ「交渉を得意とする人間、あとは大将か」
剛斗のような人間は宮殿に入れるべきじゃない。間違いなく失敗する。
宰川「手紙は俺が直々に書く」
オレ「交渉をするのは宰川殿と真栄田、伊海殿と華城とオレと獅電。だけでいいんじゃないか?」
あまり多くてもな。
獅電「清次も必要だ」
真栄田「清次・・? あいつ、面倒事を起こしそうだぞ」
清次も重要な人物だが、交渉の場にいるべき人間ではない。
獅電「清次の制御は俺に任せろ。必ず清次も入れる」
清次に固執する理由は不明だが、そこまで言うのであればオレたちは構わない。
オレ「わかった」
華城「っと・・・・あとは手紙と陣形図だけだな。我と宰川殿だけで終わらせられるから会議はここまでか」
オレ「よし、皆に伝えてくる。夕飯の時間だ~」
長かった・・・・




