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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
秋の祭典編

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四十三話 双子

 旧与根川軍からの防衛戦から一日が経過した。

俺たちはまたしても会議室に集まり、戦後処理と今後の動向について話すこととなった。


霧島「繭と羽音はどうした?」


久遠「羽音はまだ戦力として物足りないから繭に稽古をつけさせてるよ」


一晩経って久遠さんの調子もいつも通りになってきた。

でも、親の死によって負った心の傷は一日程度で癒えるものではない。

俺たちに心配をかけたくないのかな・・


霧島「そうか」


 まず一番に考えるべきなのが、今後の治療班をどうするかについてだ。


華城「結城さんと亜美が死んだのなら、もうこの軍に治療の術を使える者は残っていない」


美咲「将英の風刃術ってたしか治療もできるよね・・それじゃ駄目なの?」


華城「風刃術で治すことができるのはちょっとした傷のみだ。治療の担当としては心もとない。その上将英は攻撃に回したほうが活躍出来るから治療班に入れることはない」


獅電「豪の武士に一人居なかったか? 治療の術を使える奴が」


『嘘だろ!?』と言いそうになったが、獅電さんが言ってるんだもんな・・


剛斗「嘘だろ!?」

あのさぁ・・・・・・・


久遠「落ち着け剛斗。獅電、それは本当か? 居るならすぐに連れてこよう」


獅電「ああ。治療を行っている者を見たことがある」

すぐに久遠さんが立ち上がった。


久遠「今からオレが呼んでくる」


蒼月「拙者が探すでござるよ。久遠殿は会議でも重要な人物でござるからな」

蒼月が会議室を離れた。


華城「もし見つかったとしても、治療を行えるのは一人になる。もう班とは呼べないな」

術師団との対戦も今後あるかもしれない。

強敵との対戦で治療を行える人が居ないとは・・これいかに。


霧島「よーく考えろ。今回の防衛戦で主戦力から負傷者は出たか?」


俊平「確かに・・・・!」

治療班が行ったのは、豪の武士・避難した市民の治療のみだ。俺たちの負傷は治していない。


霧島「俺たちは強い。あの程度の敵を相手にするくらいで負傷するような貧弱な武士を治療する必要なんて無いんだよ」

かなりひねくれた言い方だが、言っていることは一理ある。


華城「もともと少数精鋭の考え方だった宰川軍が、これからはさらに少数になっていくってことか」


真栄田「吾輩から提案だ」


華城「急にどうした」


真栄田「防衛戦で実際に稼働してた戦力はどれくらいか分かるよな? ここに居る人間と豪の武士、真栄田軍幹部だけだ。山河軍元幹部なんて全く機能してねぇ」

確かに、ほとんど俺たちだけで戦ったようなものだ。


真栄田「術師との対戦も控えるんだろ? 術で一掃されちまうような奴らは、はなから戦に出さなくて良いんじゃねぇか?」

武士は質よりも量と言っていた真栄田とは思えない発言だが・・


宰川「なるほど」

宰川殿が髭をいじる。


華城「宰川軍は、離れた地方にいる別働隊の奴らを含めると総勢六万人を超える。だが、最近の戦では百人ほどで完結させてしまっている事がほとんどだ。実際、その方が作戦も立てやすい上に犠牲が出ないからな」


信雄「でも、残った武士はどうするんですか」


将英「町を防衛にあてるのはどうだ?」

確かに、町の治安維持や防衛のために武士をある程度配置しておくのは良いかもしれない。


俺「俺はその案に賛成だ」


春日「真栄田軍の海良城の付近の城下町、この爲田城の城下町、山河軍の老柁城の城下町。まずこの三つだけでもかなり守る価値があるでしょ!


久遠「そうだな。その上、周辺地域にある村や小さな町。やはり防衛を武士に任せるのは得策だ」


宰川「よし、良いだろう。各地の兵士に伝えさせる」


宰川殿が調査員を呼んだ。


 宰川殿が話の内容を伝えると、調査員は驚きながらも情報を伝達しに行った。


華城「豪の武士を残すかどうか・・」


美月「豪と真栄田軍幹部は残して良いんじゃないかしら? 山河軍幹部は老柁城の城下町を守ればいいと思うわ」

山河軍の幹部は繭以外に強い人が残っていない。

戦力として入れるより、防衛をさせた方が良いな。


華城「我は美月に賛成だ。実際に稼働するのは主戦力の百人程度、他は守護や雑務をこなすという方向性で問題ないだろう。宰川殿、いいか?」


宰川「いいだろう」

華城が微笑んだ。


霧島「何笑ってんだ、華城」

霧島は華城のどんな行動も見逃さない。


華城「笑うくらい良いじゃないか・・」

華城がうつむいた。

華城はたまにこういう人間味を見せてくるからたまらない。


久遠「組織図を作り直す必要がありそうだな」


雷煌「そうですね・・」


 会議室の戸が開けられた。


蒼月「治療の術を使えるものを見つけたでござるよ」

そう言いながら武士を連れてきた蒼月の隣には、何故か武士が二人いた。


宰川「随分と似た二人だな・・どっちが治療の術を使えるんだ?」


蒼月「二人ともでござるよ」

もしかして・・


俺「双子?」


蒼月「正解でござる」

蒼月が笑った。


久遠「そうなのか・・」

蒼月が自己紹介を促すと、片方が話し始めた。


?「私は神楽です。何でここに呼ばれたのかは分かりませんが・・」

神楽は長髪を後ろで縛っていた。

同じ男だが・・美しい!!


宰川「蒼月、説明しなかったのか」


~十分前~


蒼月「お主、治療の術を使えるものでは無いでござるか?」


神楽「はい、使えます」


蒼月「用があるから来るでござる」



美月「雑すぎるよ蒼月・・」


蒼月「すまん、拙者は口下手でござるからな・・」

蒼月が照れ笑いした。

口下手どころじゃないと思うが。


?「俺は風雅っす!」

もう一人が雑な挨拶をした。

風雅は神楽と対照的で髪が短かった。


久遠「二人をここに呼んだのには理由がある」


神楽「なんでしょうか」

神楽が跪いた。

丁寧だな・・・・俺と違って育ちが良いんだろう。


宰川「二人も知っている通り、今回の旧与根川軍防衛戦で治療班が壊滅してしまった。今後の我軍は今まで以上に少数精鋭で動いていこうと思っているが、それでも治療をの術を扱える武士は必要だ。そこで、君たちを治療班として精鋭の部隊に加えようと思っている」


神楽「なるほど・・それは昇級ということですか?」


華城「階級は変わらず『豪』だが、幹部と行動を共にすることが増える」


風雅「もちろん良いっすよ! 戦う機会は減るかもしれないっすけど、精鋭の部隊に加えてもらえるなら喜んでやるっす!」


華城「よかった」


結構馬鹿っぽいな風雅は。


久遠「では、君たちも会議室に残ってくれ。今から組織図を作り直す」


神楽「承知致しました」

本当に丁寧だ。



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