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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
秋の祭典編

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四十話 死の足音

 ん?

笛の鳴る方に来たけど、ほとんど敵は残ってないみたい・・

火球を飛ばしている了斎が見えたので、近づいて聞いた。


私「ねぇ、もう敵って残ってないの?」


了斎「美咲さんか。そうだな・・数人、強敵は残ってるみたいだが」

そう答えながらでも了斎は火球を飛ばし続けている。


私「船がどんどん爆発してるのは・・」


了斎「わしが着火して爆弾を爆発させてるからだ。気にしないで良い」


私「わかった。とりあえず、強敵を探してみるね」

といっても、本当に近くには屍しかない。


 目を凝らしながら歩いていくと、見慣れた眼帯が落ちていた。


私「これって、雷煌の・・・・」

眼帯を拾った。間違いなく雷煌のものだ。

雷煌はどこに居るの・・?

落ち着こう。近くにいるはずだから、ちゃんと探せば見つかる。


敵軍幹部「おや、捜し物かい?」

老けた武士が背後から現れた。


私「はっ・・!?」


敵軍幹部「その眼帯をつけていた少年には先程会ったよ」

何なのこいつ・・



私「あんたがやったの?」


敵軍幹部「別に、誰でも良いじゃないか」

確かに、誰で関係ないか。私はとりあえず、目の前の敵を倒せばいいだけ!

そう思い、両手に刀を持った。


敵軍幹部「ほう、二刀流なのかい」


私「うるさい! 仲間の仇は私が打つ」

雷煌・・いい子だったのにね・・


敵軍幹部「ちょっと待て、君は何か勘違いをしていないか?」


私「勘違いって・・何が?」


敵軍幹部「別にその眼帯をつけた少年は殺していないよ。術で眠っておいてもらっているだけさ」


私「眠るって、昏睡?」


敵軍幹部「ハハ、それに近いかもな」

一体何が面白いの・・!


私「喰らえ!」

手始めに、水で地面を湿らせた。

敵がこのぬかるみに足を取られたら、一気に有利な状況になる。


敵軍幹部「チッ・・姑息な真似を!」


私「戦わずに眠らせるほうが姑息じゃないかな」

こんな老けた武士に負ける訳にはいかない!

しばらく剣戟が続くが、敵に致命傷は与えられなかった。

私の二刀流が全て捌かれてる・・?この男は一つしか刀を使っていないのに・・


私「なんで私のことは眠らせないの?」

雷煌を眠らせたのなら、私も眠らせたほうが楽なんじゃなくて・・?


敵軍幹部「動いている人間は眠らせられないよ。だから眼帯の少年の時も不意打ちで術を使ったんだ。なのに君はあの少年とは比にならない速度で気がついたから戦うしか無いのさ」

不意打ちが決まらなかったらこんな泥仕合を繰り広げるのね・・

まぁ、武士は泥臭さが一番の売り。何時間かかってもこの男を倒してやる。


豊「遅れてすまんのう。危ない目には会っておらぬか」


私「豊さん・・・・!」

ゆっくりと豊さんが歩いてきた。


敵軍幹部「何だ。助太刀が来たかと思えば、のろまの爺さんじゃないか」


豊「それはお主も同じじゃ」


豊「どうせワシらはそろそろ死ぬんじゃ。病気や老いで死ぬくらいなら、ワシは戦って死にたいんじゃ」


敵軍幹部「とことん付き合ってやろう」

敵も乗り気のようだった。


豊「美咲、下がってなさい」

と言って豊さんと敵が対面した。


剣戟が始まった。


敵軍幹部「なっ・・こいつ・・!」

豊さんが敵を圧倒している!!

まあ、術を一切使わず真栄田軍の幹部になってるんだからね・・強いのは当然か・・


敵軍幹部「うぁぁっ!!」

情けない声を上げて敵が転んだ。


私「やった! 私の水術が効いてるよ豊さん!!」


豊「ああ、よくやった」

尻もちをついている敵に、豊さんが刀を向ける。


敵軍幹部「待て! 降参だ! 眠らせたやつを全員起こすから許してくれ!」

情けない・・・・


私「あんたが死んでも雷煌は起きるでしょ? あんたがわざわざ起こす必要なんて無いよ。豊さん、やっていいです」


豊「ああ」


豊さんが敵の首を一撃で斬り落とした。


私「敵を八つ裂きにする人が多いけど、豊さんは首を一撃で斬るんだね」


豊「なるべく、楽に逝ってもらいたいんじゃ」

敵の首を見つめて豊さんが呟いた。


私「そっか。豊さんって優しいんだね」


豊「死が近づいて来たら、きっと誰でもそう思うようになるものじゃ」

自分の死が近いからこそ人の死も大切に思う。

きっと、これは私も見習うべきだ・・


      *


僕「・・・・・・翔斗さん?」


翔斗「雷煌か・・? 何でここにいるんだ?」

僕もあまり覚えていなかった。


僕「老けた武士が目の前に現れてから、記憶がないです・・・・」


翔斗「おいらも同じだ。きっと同じ敵にやられたんだな」

とりあえず、翔斗さんも僕も生きててよかった。

これからはもっと周りを見ないと・・・・


      *


 華城と共闘していると、ほとんど敵が見当たらなくなった。


俺「もう幹部以外は居ないんじゃねぇか?」


華城「そうだな」


俺たちは二人で了斎の方へ向かった。


俺「了斎、もう船は来なくなったか?」


了斎「清次と華城か。先程ので最後だよ」

これで増援もおそらく来ない。勝ちは確実か。


了斎「それにしても・・本当に綺麗だな、あの花火は」


俺たちが戦っている間も、花火は上がり続けていた。


俺「できればもっと集中して見たかったが」

戦いに夢中になっていたので、あまり花火の方に意識が向かなかった。


華城「またやろう」

小さな声で言うと、


了斎「そうだな」と微笑んだ。


俺「さぁ、こんな事をしている場合じゃないぞ。残った敵軍幹部を探すんだ」


了斎「そうだな」

宰川殿と真栄田がどこかへ行ってから戻っていないらしい。

幹部と戦闘中か?


豪の武士「華城さん! 報告です!」

豪の武士が走ってきた。


華城「何だ?」


豪の武士「獅電さん以外の全員がこちらへ到着したようです。まだ見かけていない方も居ますが、敵軍幹部と戦闘中かと思われます」


華城「獅電殿はやはり笛が聞こえていなかったか・・。わかった。治療班は既に住民の方へ向かわせているからそいつらの手当を頼む」


豪の武士「はっ!」

そう言って走っていった。


了斎「働き者だな」

了斎が棒読みで言った。


俺「了斎が一番働いたよ・・よくあんな数の火球を飛ばし続けられたな」

素直に感心してしまった。


了斎「急に何だ・・・・?」


俺「ただの感想だよ。さっさと宰川殿を探そう」


華城「我はここに残る」


了斎「華城を一人にするのは不安だな。わしもここに居るよ」


俺「わかった。探してくるよ」

宰川殿、真栄田。大丈夫だと良いんだが。


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