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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
秋の祭典編

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三十六話 事実と解釈

 例のごろつきを処分するため、爲田城へ戻ってきた。


オレ「宰川殿、罪人を連れてきた。どうやら美月に手を出そうとしたらしい」


宰川「手を出すとは、どちらの意味だ?」

そんな事を気にするか。


オレ「おそらく、両方かと」


宰川「そうか」


オレ「処罰はどうする?」

正直、こんなごろつきは殺そうと全く問題は無いと思うが・・・・


華城「ごろつきか。なかなか力がありそうだな。労働力として受け入れるのもありだと思うが」

華城が大広間に入ってきた。


美咲「華城、それはいくら何でも・・」

確かに厳しいな。


宰川「まあ待て美咲、華城のことだ。なにか考えがあるに違いない」

華城への信頼が日に日に強固なものとなっている。


華城「お前は、宰川軍に貢献したい気持ちはあるか? もしお前が我らの利益となってくれるのなら今回の罪は放免にしてやる」


荒くれ者「もちろん、貢献して罪が無くなるのは本望だが・・それは、美月がよく思わないんじゃないか?」

男の一言で風向きが変わった。


華城「ほう?」


荒くれ者「俺が貢献して、美月への罪がなくなったとする。それは俺にとっても宰川軍にとっても利益となるのは間違いないだろうが、それで俺がまたのうのうと生活していたら美月に申し訳ないだろ。それなら俺はいっそ処刑されたほうがマシだ」

思っている以上に芯の通った男だった。


華城「なるほど。その回答、気に入った。美月には我が説明しておくから安心して働け」

しばらく沈黙が続いた。


華城「・・・・なんて言うと思ったか馬鹿野郎」

何を言ってるんだ華城は・・!?おかしくなっちゃった?

働きすぎた?


荒くれ者「そうだよな・・俺が許されていいはずがない。あんたたちには迷惑をかけちまったし、この身一つで償わせてくれ」

華城の衝撃的な一言の後も、男の態度は変化しなかった。

なるほど、そういうことか・・・・


華城「素晴らしい。一連のお前とのやりとりで十分わかった。お前は単なる悪人ではない」


荒くれ者「・・・・?」

男は困り果てていた。


荒くれ者「どうしてだ?」


華城「いい評価を得るために演じていたのであれば、我が嘘だと言った時点で怒るか諦めるかしていたはずだ。だがお前は変わらなかった。お前の言ったことが偽りでないという証拠だよ」

やはりか・・・・

華城が会話の中にいくつも罠を仕掛けていた。男は罠に一切かからなかったから、華城はこの結論を出したのだろう。


オレ「じゃあ、君には労働で罪を償ってもらうよ」

うーん・・土地づくりであれば男しか居ないから安全だな。参加させるとしよう。


オレ「じゃあお前は夜まで土地づくりだ。オレについてきな」


荒くれ者「ああ」


      *


俺「もうやめたい・・」

なんで幹部まで上り詰めたのに俺はこんな肉体労働をしてるんだ!


将英「清次、いつまでも弱音を吐いてるんじゃない」

叱られた。


霧島「ん? あれ、久遠さんじゃないか?」

霧島が指さす方を見ると、久遠さんが大柄な男を連れているようだった。


俺「久遠さん、そいつ誰?」


久遠「罪人だ。好きに使っていいぞ」

そう言って男を俺の方に押した。


俺「そ、そうなのか・・じゃあ俺の近くでやろう」

状況がよくわからないが・・やりながら聞いたら良いか。


俺「なんで久遠さんに捕まったんだ?」


荒くれ者「美月に手を出そうとしたって罪でな」


俺「最低じゃねぇかよ」

そこまで悪そうなやつには見えなかったんだが。


荒くれ者「実はそれは冤罪でな・・」

男の声が小さくなった。


俺「は? 久遠さんに言えよそれ・・」


荒くれ者「実は、金目のものがないかと思って色んな人の持ち物を漁ってたんだ。そこで美月の所持品も見ようとしたら男に見つかっちまってな・・角度的に触ろうとしているように見えたんだと思う」

結局、悪いことはしようとしていたんだな。


俺「男って?」


荒くれ者「なんか・・身長が高くて『ござる』とか言ってたな」

間違いなく蒼月だ。


俺「蒼月か。なんで襲おうとしたわけじゃないと弁解しなかった?」


荒くれ者「盗みも痴漢も許されることじゃない。盗みだから・・なんて言って罪を軽くしようとするのは嫌なんだ」

行動だけでその人の本質は分からないもんだな。


荒くれ者「まあ、このことは君以外には言わないから、君も内緒にしておいてくれ」


俺「そうか・・わかった」

不思議なやつだ。


俺「でも、金がないならこれからは盗みなんてせずに俺に頼んでいいぞ。たまには飯食わせてやるよ。金が無いのはお前だけじゃなくてこの時代も悪いしな」


荒くれ者「本当か!?」


俺「ああ。悪いことをしたのは間違いないが、やるしかない状況だったってことだよな・・」

俺も了斎も、孤児の時はしょっちゅう盗みをしていた。

やるしか無かったが、今でも申し訳なかったと思って引きずっている。

だから、こうやって困った人を助けて少しでも罪を償いたいんだ。


荒くれ者「ありがとう」

満面の笑みで言った。


俺「き、気にするな」

やっぱり悪いやつじゃないだろこいつは・・・・


      *


蒼月「美月、大丈夫だったでござるか?」


アタシ「ええ。大丈夫だったけど・・・・」

蒼月が首を傾げた。


アタシ「あの男、アタシを襲おうとしたわけじゃないのかもしれないわ・・」


蒼月「どういうことでござるか?」


アタシ「あの男、蒼月に怒鳴られたとき、アタシじゃなくて物に手を伸ばしてたのよ」


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