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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
秋の祭典編

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三十五話 悪巧み

 祭りの準備を初めて一週間が経った。

オレはここで進捗状況を確認しに行くことにした。


美咲「三分の一くらい行ってたら良いほうかな?」


宰川軍は仕事のできる人が多いが、どんな具合だろうか・・


 まず、土地づくりの皆を見に行くことにした。


オレ「清次ー! やってるかー?」

手を振ってみた。


清次「久遠さんか・・よくこんな仕事を与えてくれたもんだ」

汗を拭いながら言った。


俊平「本当だよ・・秋だからまだ大丈夫だけど、夏にこれをやったら誰か倒れる」

膝を抱えていった。


オレ「すまんな・・まあ、君たちがいちばん大変な仕事をしてくれているのは分かっているし、感謝してるよ。ありがとな」

あ、そういえば・・


オレ「清次、たしか十六歳になったんだっけ?」


清次「ああ。来月は了斎も十六になる」

清次との出会いはなかなか衝撃的なものだったが・・もう半年ほど経つのか。

あっという間だな・・


霧島「あれ、久遠さん来てたのか」

霧島が涼しい顔をして出てきた。


清次「霧島は良いよな! 術があればこんなに汗を流すこともないんだもんな」

清次はかなり不満がたまっているようだ。


霧島「術だって体力を使うんだぞ。しかも俺のほうが清次の何倍も仕事をしているんだぞ。文句を言うなよ」

かなり芯を食ったことを言ったみたいだ。清次が無言になった。


オレ「まあ、仲良くやれよ。これからも頼んだぞ」


清次「わかったよ!」

清次が投げやりな態度で言った。

獅電はどこに居るんだろうか・・


 まあ、清次たちは元気そうだ。

獅電を探し回っているうちに、オレも汗をかいてきた。

遠くに獅電がいるのが見えたので、走って会いに行った。


オレ「獅電!」


獅電「久遠か、どうした?」

獅電は全く疲れていなそうだった。

体力が段違いなのか仕事をしてないのか・・・・


オレ「進捗状況を調査しに来たんだ」


獅電「皆よくやってくれている。この調子なら間に合うだろう」


オレ「そうか。早く終わったらオレたちの手伝いもしてもらうかもしれない」


獅電「わかった」

獅電の元を離れ、花火の準備係の方に向かった。


 どうやら花火係の皆は親切な職人の作業場を借りているらしい。

また勝手なことをしおって・・・・・・

華城の言った通りに進んでいくと、作業場が見えてきた。

・・・・かなりしっかりとした場所だ。万が一、中で事故が起こっても近隣に迷惑がかからなそうだな。にしても、こんないい場所を貸してくれる人がいるとは。

宰川軍の権力か?まさか火蓮が脅したりしてるのか・・?


オレ「お邪魔します・・って、お前ら何やってんだ!?」

火蓮たちは何もせず中でくつろいでいた。


火蓮「この人が協力すると言ってくれたんじゃ」

悪びれる様子もなく言った。


オレ「協力って・・全部そこの者がやってるじゃないか」


春日「私たちが失敗して迷惑かけちゃったら悪いじゃん! だからちゃんと技術を持ってる人にやってもらった方が良いと思ってさー!」


オレ「はぁ・・・・あなたはそれで良いのか?」


職人「もちろん。最近は争いが絶えなくてこういった祭りが無かったんだ。僕たちははそれが寂しくってね・・・・こうやってまた花火を作れるのが嬉しいのさ」

嬉しそうに言った。

お人好しだな~~~~~~~~~!!!!


春日「ほらね! だから私たちは見張りをしてるの!」

勝ち誇った表情で春日が言った。


オレ「見張りなら一人で十分だ。了斎、お前は見張りをやれ。他の三人は土地づくりに加わってもらうぞ」


雷煌「待ってください! そんなのあんまりです!」

雷煌が服を掴んできた。クソ、オレはこういうのに弱いんだよ・・・・


オレ「雷煌もここに残っていいぞ。どうせ火蓮の悪巧みにうまく乗せられただけだろうからな」


雷煌「ありがとうございます!!!」

火蓮はずっと不服そうな顔をしている。


火蓮「聞き捨てならんのじゃが」


オレ「日頃の行いだ。二人はついてこい」


 土地づくりのところに向かっていると、春日が何回も背中に石を投げてきた。


オレ「痛いって・・」


火蓮「春日。お主、妾より歳上じゃろ? もう少し大人になったほうが良いと思うんじゃが」

まさかの発言だ。


春日「えぇ!?!? あんたそっち側につくの!?」

正直オレも同じ気持ちだ。


火蓮「もちろん妾も納得いってないが・・石を投げるなんて子供のやることじゃ」


春日「失礼すぎ!!」

実力も多分春日のほうが上なのにな。


オレ「将英、今日からこの二人も土地づくりに参加だからよろしく」


将英「良いのか?」

困った顔で言った。


オレ「ああ。二人ともやる気満々だ」


将英「そうか・・・・」

将英はいまいち理解していないようだった。まあいい。


 あとは・・屋台づくりか。正直真面目な人が集まっているから問題はないと思うが・・・・


荒くれ者「何をするんだオメェら!!!」

すまん、前言撤回だ。

荒くれ者と美月たちと揉めているみたいだ。


オレ「美月! 何が起こってるんだ?」


美月「久遠さん! 蒼月が怒ってて・・」

屈強そうな男が座り込んでいる。


荒くれ者「俺は別に何もしてねぇよ・・・・」

男が言った。


蒼月「拙者は見たでござるよ。美月殿を襲おうとしているのを」


美月「アタシ、別に怒ってないしさ・・最初に認めて謝ってればまだ良かったのに。変な言い訳するからよ」


荒くれ者「わかった!! 俺が悪かったよ!!」

男が頭を下げた。

情けない。


オレ「悪いが、ここは宰川軍の管轄だ。君のような荒くれ者は放っておけない。それに、近々祭りがあるんだ。君みたいな人がいると参加者も気が気じゃないだろう。しっかりと処分させてもらうよ」

こういう時は情を捨てるのも大切だと獅電から教わった。


荒くれ者「わかったよ・・・・好きにしろ」

男はようやく折れたようだ。


オレ「じゃあ、作業を再開してくれ」


美月「ありがと、久遠さん」


オレ「気にするな」


全く、何でこんな大男を連れて城に戻らなきゃならないんだ・・・・

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