三十二話 戯れ
何時間寝ていたんだろう・・頭が痛い。外を見てみるとすっかり夜になっていた。
流石に朝まで寝ているわけではなかったか・・
部屋に居てもすることがないので広間に行ってみた。
華城「清次! 良いところに来たな」
華城があぐらをかいて座っていた。
俺「なんだ?」
霧島「今日は綺麗な流星群が見られるらしい。見に行くか?」
霧島が言った。
俺「行く!!!」
今まで流星群が確認されてきた日の周期的に、今日見られる可能性が高いそうだ。
翔斗「どうせなら皆で行くか?」
翔斗が皆を呼び行こうとしたが、寝ているのところを起こすのも悪いので五人で行くことにした。
俺・華城・霧島・了斎・翔斗の五人で河川敷に向かった。
了斎「流星群なんて、華城も意外と趣があるものが好きなんだな」
了斎が茶化した。
華城「我はもともとそういうのが好きだ」
了斎「意外だな。てっきり情報意外には興味ないのかと思ってた」。
流石にそれは言い過ぎだが、確かに華城が所謂『美しいもの』が好きなのは意外だ。
華城「我を何だと思ってるんだ」
霧島「つーか、これから宰川軍ってどうなっていくんだろうな・・」
翔斗「先のことを考えても仕方ないさ」
俺も、今が幸せなら良いかな。
河川敷に着き、皆で草むらに寝転んだ。
俺「こんなに星空ってきれいだったんだな」
霧島「見たことがないのか?」
霧島って全く気を使わないよな・・まぁ、その方が気が楽なときもあるんだけどな。
俺「いや、孤児の頃は毎日野宿してたから見てたんだけど・・あの頃は星さえ憎かったよ」
翔斗「相当だな」
笑いながら言った。
ただ、孤児としての十年間は決して俺と了斎にとって無駄じゃなかった思っている。
俺と了斎の精神力とも体力とも違う『たくましさ』はこの十年間で鍛えられたのだろう。
孤児になったばかりの俺に伝えたい。十五歳の清次は楽しくやってるぞ。
華城「清次と了斎が入ってきて本当に良かった」
急。
了斎「急になんだ?」
了斎が起き上がる。
華城「実は二人が入ってくるまで我らはそれほど仲良くなかったんだ」
了斎「え? 元々仲いいみたいな感じじゃなかったか?」
確かに俺たちが入る前から仲がいいと思っていた。
華城「それぞれ仲の良い人は居たが、同期の全員で過ごすことは殆どなかった」
俺「そうなのか・・」
霧島「二人が入ってから全員で過ごすことが一気に増えたんだ」
空を眺めながら言った。
翔斗「特に霧島は馴れ合いを嫌ってたんだ。おいらは仲良くしたほうが良いと言ったんだけどな」
俺「へぇ、霧島は俺と考え方が似てるな」
了斎「そういえば清次も馴れ合いが嫌いとか言ってたな。ずっとわし以外の友達がいなかったし」
俺「今はお前以外にもいるし!」
いつまでも俺が昔のままだと思わないで欲しいな。
霧島「良かったな、宰川軍に入って」
了斎に乗っかってきた。
俺「別に友達作りで入ったわけじゃない!」
翔斗「まあ何でも良いじゃないか、理由なんて」
翔斗が最後の良心である。
俺「そういえば、三人は何で武士になったんだ?」
翔斗「おいらは他にやることがなかったから」
翔斗らしいといえば翔斗らしい理由だ。
霧島「俺は人を殺したかったから」
霧島らしい・・のか?
了斎「霧島ってやっぱりおかしいよ・・」
了斎は完全に引いていた。
霧島「おかしくて結構」
華城「我は霧島が武士になると聞いたからだ」
華城らしい!!!!!
了斎「腰巾着か」
華城「言い方が悪いぞ」
暗くてよく見えないが、華城の怒った顔が容易に想像できる。
了斎「おい! 見てみろ!」
そう言って空を指さした。
見てみると、幾つもの星が流れていくのが見えた。
霧島「綺麗だな・・・・」
そう呟いた。霧島にもそういう感情はあったんだな。
俺「流れる星を見ながら願い事をすると叶うって言うよな・・・・」
了斎「わしはもうしたぞ」
俺「早っ!」
俺もするか・・うーん・・・・悩むな・・・・
じゃあ、
『戦のない世の中になりますように』と。
俺は目を閉じて手を合わせた。
翔斗「よし、皆願い事はしたか?」
俺「したぞ!」
霧島「じゃあ帰ろう。これ以上遅くなると心配させちまう」
霧島ってやっぱり仲間思いだよな・・?
何ヶ月も一緒にいるが、なんだかんだ一番つかめないのは霧島だ。
華城「帰ろう」
俺たちは歩き始めた。
しばらくはこの星空の余韻に浸っていたかったので、特に会話は生まれなかった。
もしあの星に人間がいるなら・・・・あっちでも戦が起こっているのかな?
それともこっちより平和だったりして・・
そんな事を考えているうちに家まで戻ってきていた。
俺「ただいまー」
火蓮「何をしておったんじゃ?」
火蓮が広間に居た。
翔斗「流星群を見に行ってたよ」
火蓮「なぜ妾をのけ者にするんじゃ!」
火蓮、行きたかったんだな・・
了斎「すまん、寝ているところを起こすのは申し訳なくてな・・」
了斎は消えてしまいそうなほど小さくなっていた。
雷煌「おはようございます・・・・」
目を擦りながら雷煌が広間に来た。
俺「お、まだ夜だぞ」
雷煌「もう寝れないです・・・・」
その気持ちは分かる。あと、慣れない場所ではあまり長く寝られないんだよな・・・・
美月「アンタらねぇ・・声が大きすぎるのよ」
不機嫌な美月も来た。
霧島「俺らの声で起きたのか?」
美月「当然よ! 特に清次!」
俺「俺!?」
そんな大きい声出してたかな、俺・・
奥の部屋から大きな物音が聞こえた。
華城「何だ今の音は?」
華城が廊下を覗き込んだ。
美月「なんか嫌な予感がするわ・・」
廊下からドスドスと足音が聞こえてくる。間違いない!」
剛斗「お前ら、もう起きてたのか!!!!!」
全「剛斗だーーーーーー!!!」
同時に声を上げた。
剛斗「オレを化け物みたいに扱うんじゃねぇ!!」
いや、化け物だよ剛斗は・・・・
雷煌「絶対今の声で将英さんも起きましたよ・・・・」
しばらく皆で待ち構えていたが、将英は来なかった。
霧島「全然来ないぞ・・?」
霧島が不審に思い始めていた。
俺「心配だな。行ってみよう」
怯えながら皆で将英の部屋に来た。戸を開けるのが怖い・・・・
了斎「清次が開けろよ」
背中を押してきた。
俺「何で俺が・・・・」
戸を開けると、将英が思いっきり寝ていた。
全「眠り深っ!!!!!」
広間に戻ってきた。
霧島「ま、まあ無事だったから良いよな・・」
声が震えている。
霧島をここまで怯えさせる将英は流石だな・・・・
華城「もう皆寝ないよな?」
美月「寝ないと言うか、寝たくないわね・・・・」
俺もそうだ。
雷煌「僕も寝たくないですね・・・・」
雷煌はまだ眠そうに見えるが。
華城「朝まで何をする?」
水を飲みながら言った。
剛斗「何もしない!! だらけるぞ!!」
剛斗らしからぬ発言だが、それが一番だと思った。
俺「そうだな」
俺たちは一気に寝転んだ。
この体勢だと寝そうだが・・それもそれでいいか。将英に起こしてもらおう・・・・




