二十四話 調査結果
剛斗「起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ!!!!!」
宿が揺れるほどの剛斗の声で起きた。
俺「うるっせぇ剛斗!!!!」
と叫ぶまでが一連の流れである。
霧島「おはよう、今日はすぐに城へ出発か?」と目を擦りながら言った。
将英「ああ。朝飯食いに行くぞ」と言って布団を直した。
朝飯を平らげ、城に向かおうとしていたその時、火蓮が言った。
翔斗「一回、霧島の瞬間移動で移動してみないか?」
どう考えても無理だって・・・・
霧島「お、やってみるか」
意外と乗り気だった。
了斎「今できる最大の距離をやってみてくれ」
体力が心配だ。
霧島「ああ。俺のとこに固まれよ」
霧島が霧を生み出したあと、一瞬くらっとした。
了斎「まだ半分も来てないか」
不満げな口調で言った。
霧島「まあ、俺の瞬間移動はこんなもんだ」と、膝に手をついて言った。
俺「体力大丈夫か?」
基本的に霧島の瞬間移動は移動手段ではないので、距離は長くなくて構わない。
そこからは普段通り将英の風刃術で向かった。
美月「やっぱ早いわね~風刃術!」と露骨に煽った口調で言った。
霧島「俺が無能みたいな言い方するなよ」といじける。
爲田城に着き、久遠さんと軽い会話を交わしたあと、調査員を見送った。
将英「帰ってくるのははいつ頃だ?」
久遠「あっちの状況次第だな。今日中に帰ってこない可能性もある」
俺「え、今日帰ってこなかったら俺たちが来た意味なくないか?」
久遠「そうだ」
俺「えー・・・・」
久遠「まあ、ゆったり過ごしてくれよ」
全「はーい」
*
与根川軍兵士「与根川殿、真栄田軍がそろそろ気づく頃でしょう。これからどういたしますか?」
わたし「どうするって、あの阿呆が突撃してくるのを待つのみだよ。真栄田は脳まで筋肉で出来てると有名なんだ」
与根川軍兵士「ははっ! 引き続き見回りをして参ります」
真栄田軍総大将・真栄田斬豪。長年宰川上午と対立している。
きっと今も宰川軍をどう叩き潰すか考えているだろう。わたしがあいつの娘を攫うなんて考えても居ないはずだ。
そしてわたしが今のうちに真栄田を叩き潰し、領地を拡大する。
完璧だ。
だがおかしい。真栄田のような馬鹿は何も考えず突撃してくると思ったんだが、一向にその気配がない。
わたし「君たち、まだ真栄田軍は来ないの?」
与根川軍兵士「はい、周辺地域も確認したのですが見当たりません」
わたし「なるほど・・・・山河殿はそろそろ来るかな?」
与根川軍兵士「はい。十分以内には到着するかと」
わたし「まあ真栄田軍が来なくても問題はない。いつ来ても問題がないように罠は十分仕掛けてあるし、来ないのであればこちらから攻めれば良いだけだ」
つまり、真栄田軍に勝ち目はないってわけだ。
柵の外から物音がした。
わたし「ん? 今、がさっと音がしたような・・」
与根川軍兵士「何でしょうか・・確認してまいります」
侵入者か?・・流石に考えすぎか。
与根川軍兵士「木の実が落ちた音のようです」
わたし「そうか。真栄田軍だと嬉しかったんだけど」
わたし「おぉ、山河殿じゃないか」
山河「少々遅れてしまったな」
わたし「構わん構わん」
山河「真栄田軍はまだ来ていないのか・・ここまで音沙汰ないのは想定外なんじゃないか?」
わたし「そうだね・・まあ問題ないよ。あんな領地だけの軍に負けるはずないし」
山河「まあ、そうだな。それどころか宰川軍も参戦して真栄田を倒してくれるかもな」
わたし「あはは、あんたの軍は宰川軍に最近負けたんだろ? 情けないもんだ」
山河「新たな勢力が加わったみたいなんだ。目撃情報によると、十五歳前後の子供らが我軍の幹部を二人殺したらしんだ」
わたし「それはかなりの痛手なんじゃないのか?」
山河「ああ。それ以上の被害を出さないために降参した。ただし、与根川殿とこれから巻き返していくだけだ」
わたし「よし。まだ真栄田軍は来ないみたいだし、お茶でもしようか」
山河「そうだな」
*
ずーっと城でだらけていた。
こんなにだらけて良いのか?と不安になるほどだらけた。
霧島「もう晩飯の時間じゃねぇか・・」
雷煌「なにか問題が起こったんですかね」
翔斗「じゃないと良いがな」
俺「うーん・・・・」
剛斗「もう夕飯の時間になっちまったじゃねぇか!」
了斎「仕方ないだろ。ほら食うぞ」
幹部と真栄田と宰川殿での食事がまた始まった。
久遠「真栄田はそろそろ落ち着いたか?」
真栄田「ああ。今突撃しても意味がないとわかったよ」
久遠「なら良かった」
沈黙がしばらく続いた。
宰川軍兵士「宰川殿! 調査員が帰ってきた模様です!」
宰川「よし、今すぐにここへ連れてこい」
ついにきた。
宰川軍兵士「ははっ!」
宰川「来たな・・今日来たのであれば、明日か明後日には奪還作戦を開始できるだろう」
真栄田「よし!」
真栄田の声には力がこもっていた。
ぞろぞろと調査員が大広間に入ってきた。
調査員「調査結果の報告です。まず、罠の位置はこの地図に・・・・」
調査員の見せた地図には、いくつかの印が書かれていた。
華城「印が何種類かあるみたいだが、これは何だ?」
調査員「罠の種類を示しています」
華城「なるほど。踏むと爆発するものもあるのか?」
調査員「はい。今の技術でこれを作ることは困難ですので、術で生み出されたものかと」
久遠「罠を扱う武士が居るとは・・面倒なこった」
調査員「そして、与根川と山河の会話を一部聞いてまいりました」
久遠「そこまでいったのか!?」
危な。
調査員「はい、俊平殿は地下に潜ることが出来ますので、気づかれずに聞くことが出来ました」
宰川「でかした。話の内容は?」
調査員「あまり大きな情報は得られませんでしたが・・どうやら与根川は真栄田軍がすぐに攻め入ってくると思っているようです。じっくりと作戦を立てているとは思っておらず、ましてや、宰川殿との同盟は考えても居ない様子でした」
宰川「なるほどな・・罠を破壊される可能性は考えてたか?」
調査員「いえ、『罠は十分仕掛けてあるから大丈夫』と高を括っていましたのでその可能性は考えていないかと」
宰川「よし。戻っていいぞ」
調査員「はっ!」
よし。同盟には気づかれていない上に、罠の位置も判明した。
俺「明日、俺と久遠さんと雷煌と蒼月で向かってもいいか? さっさと罠を壊しておきたい」
宰川「気づかれずに壊せるのであればいいだろう」
霧島「俺も同行する。危なくなったら霧で隠れて逃げよう」
宰川「よし、それでいいだろう。華城、問題ないか?」
華城「ああ。くれぐれも無理をするなよ。全ての罠を壊す必要はない」
久遠「わかった。では罠を壊したあとどうする?」
華城「修復される前に攻めたいが・・それだと万全の状態の連合軍と戦うことになるか」
久遠「やはり奇襲か・・?」
真栄田「吾輩は奇襲が最善策だと思っているが」
宰川「俺もいいと思うが・・不確定要素が多い上に、出たとこ勝負の俺らのやり方で成功するかが怪しい」
俺「良いじゃないか、出たとこ勝負で。宰川軍はずっとそれで勝ってきたんじゃないのか?」
宰川「そうだな・・」
蒼月「拙者も賛成でござるよ。罠は拙者らにまかせてほしいでござる」
俺もそう思うでござる。
美月「アタシも奇襲に賛成だわ。夜ならアタシの光刀も輝くし」
火蓮「娘さんを救い出したあと、妾が火を付けてやろう」
剛斗「オレが与根川の頭蓋骨をかち割ってやるぜ!!!」
・・・・場が一気に静まった。
久遠「剛斗・・そんな事言う人だったのか」
剛斗「おいやめろ!!!」
華城「皆が奇襲で良いのであれば、我から言うことはない」
宰川「では、奇襲で決定とする! 異議のあるものは?」
霧島「居ないだろ」
宰川「よし。では明後日の夜に奇襲をかける。明日真栄田軍幹部と我軍の豪の者を集め、大まかな流れを決める。明後日の奇襲で決めるぞ」
全「おー!!!!!」
今までにないほどの一体感だ。
美咲「こんなに大胆のことをするんだ、宰川軍って・・・・」
久遠「先代幹部は堅物ばかりだったからな。今くらいの方が良いんだよ」
美咲「そっか」
美咲は嬉しそうだった。
久遠「今日は城に泊まろう。明日もずっとここで行動するからな」
俺「だな」




