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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
出世編

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二十一話 曲者と強者

 十五時になった。


翔斗「そろそろ皆戻ってくるか」


しばらく待ち、全員が会議室に戻ってきた。

いらないやつも一人来たが。


真栄田「おい! 面接に吾輩も参加していいか!!」

戸を開けて言った。


獅電「駄目だ」

死んだ目で言う。


真栄田「何故だ!」


久遠「お前は宰川軍じゃない、それだけだ。戻れ」


真栄田「宰川軍って冷たいやつが多いよな。吾輩の部下は皆優しいぞ」

いじけてるな。


華城「それはお前に気を使ってるだけだ」

冷たい口調で責め続ける。


真栄田「わかったよ・・・・」

ぶつぶつ文句を言いながら真栄田は広間に戻っていった。


久遠「よし、三人目の面接を始めよう」

久遠さんが次の人を呼びに行った。


女性「失礼します」

大人の女性が入ってきた。かなり重そうな服装だ。


女性「美咲と申します。よろしくお願いします」

とても生真面目そうな雰囲気だ。


久遠「そんなに堅くなくて良いんだが・・まず自己紹介をしてもらう」


美咲「豪の武士の美咲です。使用術は水術、山河戦での功績は六十八人の討伐です」

一切無駄のない自己紹介だな・・・・


宰川「なるほど。水術か。名字は?」


美咲「志賀です」


宰川「やはりか」


久遠「というと?」


宰川「志賀家は代々水術を継いできた家系だ。早田家と似たようなものだな」


久遠「そうなのか・・」

水術。おそらく使用者が女性なのも多少影響して、蔵兵衛の水神に比べたら威力も弱いだろう。

ただ、水は炎よりも汎用性が高い上に幹部に水を扱うものは居ない。


美月「アタシ、美咲さんを戦場で見たことあるんだけど・・刀二本持ってなかった?」


俺「まさか・・二刀流?」


美咲「そうなんです」

刀は一本でも十分重いので両手に持って扱う。俺も一度二刀流を試したが、思うように振ることが出来ず断念した。

将英のような体格の人間しか出来ないと思っていた。まあ将英は風刃の関係上一刀流だが。

この人は見た目のそぐわず怪力なのか・・?

しかもこの重たそうな服装だ。筋肉が凄いのかもしれない。


華城「二刀流か・・自由に扱う力があるのなら、二刀流は基本的に利点しか無い。お主は思うように振るえるのか?」


美咲「はい。山河戦でもほとんど術ではなく刀で倒しました」

強っ。


宰川「相当な戦闘技術だな・・・・」


華城「単騎行動か?」


美咲「もちろんです」

単騎行動で術を使わず六十八人!?

獅電さんや久遠さんのようなおかしい人ばかり見ていたせいで麻痺していたが、この人も普通に考えてとんでもない精鋭だ。


獅電「宰川、この者は幹部に入れるか?」


宰川「もちろんだ。お主も好きなように刀を振るえる場がほしいだろう」


美咲「はい!」


宰川「二刀流専用の鍛練場を設置しよう。これからはそこで鍛練に励むと良い」


美咲「ありがとうございます!」


俺「この人専用ってなんか・・ずるくねぇか? だったら地割れ専用の場所も用意して欲しいところだな」

二刀流って大して変わらないし・・・・


宰川「ハハ、それは洞窟で十分だろ」

と笑った。


俺「ったくもう・・・・」


雷煌「清次さんが地割れを使いすぎて洞窟がもう城くらい広くなってるんですよ」


久遠「何だと? じゃあそこに施設を建てるのもありだな・・・・」

まずい、大きく話が脱線し始めた。俺のせいなんだが。


俺「美咲さん、広間に戻っていいですよ」

小声で言っておいた。

その後もしばらく洞窟の使い道に関する話は続いた。


宰川「店を地下に集めたら賑わいそうだな」


雷煌「鍛冶屋を地下にたくさん配置するのも良さそうです!!」


霧島「最後の人をそろそろ呼ばないか?」


獅電「だな。行ってくる」

と言って獅電さんが離席した。

戸が開き、がっしりとした体格の青年が入ってきた。


青年「よろしくお願いします」

これまた真面目そうな。


宰川「ああ。まず自己紹介から頼む」


青年「はい。オレは俊平です。土遁術を使えます」


久遠「土遁術? 聞いたことないな」


俊平「基本的に岩を扱う術ですね。地面の振動を感じて索敵も出来ます」

また索敵か。

同期組は戦闘に長けた人が多かったが、今回の四人が加わることで均衡を保てそうだ。


宰川「なるほど。なかなか便利そうだな」


俊平「はい。地中の移動も出来るので奇襲が出来ます」

索敵して、確実に敵がいるところで地上に出て奇襲。一人で戦闘を完結できるのはとても優秀だ。


久遠「なるほど・・・・優秀だな」

優秀過ぎて逆に言うことがなさそうだ。


獅電「ちなみに、山河戦の功績は?」


俊平「数えてないので分からないですが、百人は超えてると思います」

百人・・・・・・おそらく俺よりも討伐数は多いな。

俺らは幹部と戦っている時間が長かったから仕方ないが。


宰川「よし。幹部としての実力は十分だ。入ってもらおう」

かなり早く結論が出たな。もちろん異論はない。


俊平「ありがとうございます」


雷煌「俊平さん、何歳ですか?」


俊平「オレは十五歳だよ」

同い年か!落ち着きを感じるので歳上だと思っていた。


宰川「広間に戻っていいぞ」

お辞儀して俊平が戻っていった。


雷煌「先代幹部と比べてどうですか?」


宰川「流石に先代幹部のほうが戦力では上だ。ただ戦力を重視しすぎて人間性を度外視してしまった。最も大事なのは信頼関係だからこれからは人間性にも重きを置くようにしたいな」


久遠「したいではなく、そうするんだよ」

久遠さんは宰川殿に対しても遠慮しないな。

それは俺も同じか。


華城「では十九時までは自由にしてくれ。夕食後、真栄田と新しい幹部で会議をするぞ」

華城の参謀の立ち位置も板についている気がする。


善「おう!」

皆、笑顔で散っていった。


 広間に戻ってくると、蒼月が縁側に座って茶を飲んでいるのが見えた。皆が談笑している中、このような過ごし方をするのはやはり流浪していたのも関係しているのか?

いや、何でも流浪に結びつけるのもおかしいか。


俺「何してるんだ? 蒼月」


蒼月「清次でござるか。特になにもしてないでござるよ」


俺「そうか。隣に座ってもいいか?」

ある程度新入りの皆と話しておきたい。


蒼月「もちろんでござる」

なんだろう、蒼月と話していると不思議な気持ちになる。心が浄化されるというかなんというか・・・・


蒼月「清次は、直径六丈の地割れを起こせると言っていたが・・それは本当でござるか?」


俺「まあ・・そうだな。ただ、それは最初に真栄田軍の奴に追い詰められたときだけだ。実際にあんな大きいのを起こしたら気を失っちまう」


蒼月「そうでござるか・・拙者はどれだけ頑張ってもそこにはたどり着けないでござるよ」

少し寂しそうに笑う。


俺「きっと、命の危機になったら勝手に最大の術を使うように本能でなってる。無理して大きいのを使い必要もないさ」

偉そうに言ってしまったが、蒼月は俺よりもきっと武士の歴は長い。流浪者だった時も含めると圧倒的に蒼月のほうが・・・・


蒼月「それにしても、清次たちは凄いでござるな。歳下もいる中で拙者は穴埋めのような形でしか幹部になれないとは・・・・」

蒼月はあまり自分に自信がなかった。


俺「そう卑屈になるなよ。実力で考えたら全然俺らと変わらないし、今まで機会がなかっただけだよ。俺たちは運が良かったんだ」


蒼月「そう言ってもらえると嬉しいでござる」


雷煌「清次さーん!」

向こうから声が聞こえた。


蒼月「呼ばれてるでござるよ、清次」


俺「ああ、何だー?」


雷煌は「信雄が皆と話したいらしいんです」

近くに来て言った。


俺「わかった、蒼月もくるか?」


蒼月「拙者は遠慮しておくでござるよ」


俺「そうか・・じゃあ行ってくるよ」

俺が離れたあとも、蒼月は外を眺め続けていた。



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