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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
出世編

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十八話 宴

真栄田「お前ら、帰ってきたか! 無事だったか?」

真栄田は砂遊びをして待っていたようだ。馬鹿なんだな・・・・


華城「見ての通りだ」


真栄田「おいお前、何でそんな血まみれなんだ」

真栄田が俺を指さして言った。


俺「答える義理はない」

突き放しておいた。


真栄田「そうか。まあ無事ならいい、ゆっくりと後で話そうぜ」

真栄田斬豪。もっと卑劣で冷酷な男と聞いていたのだが・・実際に目の前にすると『気のいい中年男性』といった感じだ。今まで聞いてたのは脚色された情報だったのか?


真栄田「お前・・吾輩が想像と違ったって顔だな」


俺「何故分かる?」

とてつもなく勘が鋭いのか、洞察力があるのか。


真栄田「人の心を見透かすなど、吾輩にとっては容易なことだ。教えてやろう」

やはり侮れない男だ。俺が反抗心を持っていることも薄々勘付いているのだろう。


真栄田「真栄田軍総大将なんだから、『残酷で冷酷で無感情な男』って感じのほうが格好良いだろ? だから部下にそういう情報を流させたんだ」

ふんぞり返って言った。


清次「やっぱり馬鹿だな、お前」

死んだ目で言った。


真栄田「馬鹿とは何だ!」


清次「馬鹿は馬鹿だ。それ以上でもそれ以下でもない」

清次は真栄田に対して凄く当たりが強い。どうしてなんだ。


華城「関係ない話は終わりだ。豪の武士と真栄田軍の者を爲田城へ招く。皆で話しながら食事でもしよう」


霧島「ちょっと待て華城、お前正気か? 一番の天敵を城に入れてどうすんだ!」

霧島の言うとおりだ。


真栄田「ハハ、しばらくは宰川軍に対して手を出さないと約束する。というか、部下にはそう口酸っぱく言ってある」

真栄田はそう言うが・・一応敵なんだぞ。


了斎「信用できんな」


華城「我が真栄田に直接依頼をしに行った際、真栄田軍の者の対応はとても丁寧なものだった。教育・指導が行き届いている証拠だろう。我は今、真栄田を信用している」


清次「華城がそこまで言うなら・・真栄田! 裏切ったら許さねえからな」


真栄田「わかったよ」

真栄田が頭を搔きながら言った。どこまでも適当な野郎だ。

話には聞いていたが、華城は想像以上に大胆な行動をする奴だな。基本的に賢いやつほど慎重になりがちだが、頭脳と判断力を併せ持つ華城は確かに異端だ。皆に信頼されているのもそれが理由なんだな。

というか、清次は華城が十三歳と言っていた。本当に十三なのか?

言動があまりにも大人びすぎている。まるで大人が子供に入り込んでいるような・・・・

いや、華城に失礼だな。こんな考えはやめておこう。


      *


久遠「豪の皆に連絡だ!! 長いこと待たせてしまい申し訳ない。このあと、真栄田軍と共に爲田城で食事をする。そこで今後の宰川軍についての話も」

説得力を持たせるために、久遠殿に話してもらった。


我「よし。城に入ろう」

ぞろぞろと武士たちが城に入っていった。真栄田軍の者を合わせると百人を超えるが、大広間であれば問題なく全員収まるだろう。


宰川「感謝している。ありがとう」

門のところには宰川殿が居た。回り道をして戻ってきていたようだ。


久遠「宰川殿!!」

久遠殿が嬉しそうに近寄っていく。


宰川「ありがとう、久遠、獅電、華城。そして反乱者を蹴散らしてくれた清次たちも」

宰川殿が優しい表情で言った。


真栄田「おっと、吾輩への礼は無いのか?」

後ろから真栄田が出てきた。


宰川「お前に礼など死んでも言わんぞ」

一気に宰川殿の顔が険しくなった。

ちなみに、宰川殿にだけは真栄田を呼んだことを伝えていた。


真栄田「ほう・・じゃあここで死んでもらおうか」

やはりこの二人は近づけてはならないか・・・・?


清次「おい真栄田! 調子のんなよー」

清次が真栄田を叩くと、真栄田は『すまんすまん』と笑った。

見れば見るほど、真栄田が悪人のようには思えなくなってくる。

いや、天敵であるという先入観から勝手に悪人だと思っていただけで、元々真栄田はこういう人間なのかもしれない。

やはり、実際に会ってみないとわからないものだ。


結城「あら、やっと来たのね。燃えた部分の補修で大変だったんだから・・・・」

広間で結城殿が待っていた。


我「感謝する、結城殿」


結城「良いのよ。反乱を鎮めてくれた君たちにお礼が言いたいくらいだわ」

久遠殿が一度死亡したことを伝えるか迷った。だが、言ったところで気まずくなるだけだ。実際に今生きているのだからもういいだろう。


結城「幹部の皆さん、宰川殿、真栄田殿はこちらへ」

すごく丁寧に案内された。


清次「俺たちも幹部として座れる時が来たか・・・・」


了斎「良かったな、清次」

我も正直気持ちが昂った。幹部として、か・・・・良いな。


清次「ああ。ようやく一段落がついたな」


結城「では、皆がここに入ったら始めますよ」

結城殿が言った。


将英「まるで宴会だなこれは・・・・」


      *


 全員が広間に着き、自分の場所に座ったようだ。

宰川「では・・」

そういって宰川殿が立ち上がった。


宰川「俺への反乱を鎮めるために尽力してくれた皆に、最大限の感謝を伝えたい。本当にありがとう。そして、敵対していたにも関わらず反乱を鎮める手伝いをしてくれた真栄田斬豪及び真栄田軍兵士にも感謝している。ありがとう」

皆から拍手が起こった。


宰川「今日は酒もたんまり用意してある! 皆、好きなだけ飲んで楽しんでくれ!」

歓声が起こり、大宴会が始まった。


結城「幹部の皆さんはお酒を飲まれますか?」

結城さんは盆を持っていた。


久遠「オレと獅電だけでいいよ!」

爽やかに言った。


結城「かしこまりました」

真栄田、宰川殿、久遠さん、獅電さん以外は水で乾杯をした。


剛斗「今回は前回に増して華城の活躍が凄かったじゃねえか!!!!」

剛斗が華城の肩に手を回して言った、


了斎「そうだな・・華城が居なかったら今頃どうなっていたことか」

水を飲み干しながら言った。


華城「我のことは良いから」

華城が顔を赤くした。


霧島「てか、真栄田って宰川殿より若いのか? 結構な年齢差を感じるんだが」


真栄田「吾輩は三十二歳だ!」

いちいち声が大きい。

剛斗と同じ匂いを感じるな・・・・


宰川「俺は三十六」

控えめに言った。


霧島「やっぱり真栄田の方が若いんだな・・明らかに宰川殿の方が大人だ」


久遠「というか、真栄田は獅電よりも若いだろ?」

衝撃の事実をさらっと言ったな。


雷煌「え、獅電さんは何歳なんですか?」


獅電「三十三」

顔色ひとつ変えずに言ったけど・・


俺・雷煌・了斎「えええええぇぇぇぇ!?」

あまりにも見た目が若すぎる。


美月「本当なの?」

興奮気味に聞いた。


宰川「やめとけ、獅電は年齢を気にしておる」


俺「あ、ごめん・・・・獅電さん」


獅電「気にするな」

そう言って獅電さんがお酒を飲み干した。


獅電「おかわりを頼む」


華城「これからの宰川軍と真栄田軍の関係性はどうするんだ?」

気になっていたところを華城が聞いてくれた。


宰川「しばらく敵対はしないと約束した以上、戦をすることはないが・・」


真栄田「宰川、吾輩から提案がある」


宰川「聞くだけ聞いてやろう」

やはりこの二人の会話はところどころに棘があって危なっかしい。


真栄田「最近、山河軍と与根川軍が同盟を結んだのは知ってるか?」

与根川軍・・名前だけは聞いたことがある。


宰川「知らない。というかそれは事実なのか?」

肘をついて聞いた。


真栄田「ああ。しっかりと確認してある」


雷煌「与根川軍って、北東にある大きな範囲を支配してる奴らですよね?」


真栄田「ああ。あの二人が手を組んだという事は、吾輩たちを狙ってくるに違いない」

中々深刻そうだな。


宰川「間違いなくそうだな。こんなに大きな領土を持っている軍をあいつらが狙わないはずがない」


真栄田「そこで。吾輩たちも同盟を結ばないか?」

急展開だ。天敵だった真栄田が俺らとの同盟を提案してくるなんて・・・・

宰川殿を殺すってのは冗談だったのか・・?

一厘の確率を引いたのか?


宰川「俺はまだお前を信用しきれていない。助けてもらったとはいえ、ここで軽率に決める訳にはいかない」

宰川殿はやはり堅実だ。


真栄田「そうか。だが、与根川軍は新しい軍にも関わらずどんどん勢力を伸ばしている、油断できない相手なことは確かだ」

酒を飲みながら言った。


宰川「わかった。今決定することは出来ないが、前向きに考えることにする」


真栄田「さっすがだぜ宰川」

うーん・・・・普通にこの二人、噛み合っている気がするんだが・・・・・・


久遠「宰川殿。いいか?」

笑顔だった久遠さんの表情が少し堅くなった。


宰川「どうした久遠?」


久遠「反乱者だったから仕方ないが、今回の件で二十人以上の幹部を失っちまった。清次たちがいるとはいえ、幹部の人数は半分以下になった」

確かに、大事な戦力だった先代幹部がいなくなってしまったのはかなりの痛手だろう。


宰川「そうだな・・・・」


久遠「豪の武士から何名か幹部へと昇格させるのはどうだ? 宰川軍の新体制を築き上げるとしたら今だと思うのだが」

軍内で改革を行うのか・・

面白そうだ。


華城「賛成だ。正直、今のままだと宰川軍は衰退していくだろう」

はっきりと言ったな。


宰川「そうか・・・・」


将英「オレから一つ良いか?」


久遠「どうした?」


将英「今回の件で確信したんだが、華城は前線に立たせるべき人間じゃない。参謀にしたほうが得策だと思うんだ」

確かに、戦闘は俺たちに任せてくれても良い気がする。


宰川「なるほど、参謀か・・」


火蓮「妾もそう思う。華城は武術も優れているとはいえ、真骨頂はこの頭脳。宰川殿のそばで指揮を取る立場のほうが活躍できると思うんじゃ」


華城「我が参謀? 待てお前ら、我をのけ者にするな」

華城は不満げだ。


霧島「のけ者になんてしない」


霧島「華城が参謀になったとしても、俺たちと一緒に暮らすし、今までと同じように接する。少し役割が変わるだけだ」

ずっと一緒に居た霧島がここまで言ってくれたら安心するだろう。


将英「宰川殿はどう思う?」


宰川「うーん・・・・」

腕を組んで長考した。


宰川「確かに、今までの幹部よりも華城一人の方が圧倒的に優秀だ。さらにまだ十三歳となるとこれからの成長の伸びしろもある。参謀として申し分ないな」

宰川殿はかなり華城を評価していた。

まぁ、実力的にも功績的にも当然だな。


霧島「本当か!!」


了斎「良かったな華城!」

了斎や霧島が華城の肩に手を回した。


華城「ああ、よかった」

言葉の割には、華城は寂しそうな顔をしていた。


俺「そういえば宰川殿、俺たちの家出来るの遅くねぇかー?」

まさか・・忘れてたりしないよな?


宰川「あと二日で完成の見込みだそうだ。かなり広いから楽しみにしておくんだぞ」


霧島「部屋の数はどんなもんだ?」


宰川「十五部屋だ」

聞いて俺たちは舞い上がった。


華城「内訳は?」


宰川「個人の部屋が十部屋。そして大広間、食堂、便所、風呂、客室だ」

やったぞ!!! 風呂が家に!!!


将英「凄いじゃないか」

将英も意外と嬉しそうにしていた。


剛斗「ありがとな、宰川!!!!!!」


久遠「こらこら、宰川『殿』だろ?」

久遠さんが剛斗の頭を叩いた。


宰川「気にするな、働きに見合った報酬を与えただけだ」


獅電「仲がいいな。本当に・・・・」


雷煌「獅電さんと久遠さんは仲良くないんですか?」


久遠「仲が悪いわけでは無いが、獅電がすぐに照れるんだ」


獅電「俺は別に照れてるわけではない。久遠の距離感がおかしいだけだ」


久遠「またそんなこと言っちゃって・・」

年齢は十個も離れているのに、こういった関係を継続できているのは凄い。

きっと俺たちと変わらないくらい信頼しあっているのだろう。


 その後も宴会は続き、楽しく夜は更けていった。


久遠「ああ・・気持ち悪い・・・・」


俺「飲み過ぎ、久遠さん!」


久遠「ごめん・・・・」


雷煌「眠い・・静かにしてください・・・・」




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