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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
星武決戦編

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最終話 ありがとう

 星武の乱終戦から二ヶ月。

仕事によって、俺たち同期組が家に帰ってくる時間はバラバラになった。


華城「ただいま」


全「おかえりー」

基本的に華城は最後に帰ってくる。


俺「今日もお疲れ様だな」


華城「皆、分かってくれたか? 働く人間の気持ちが」


了斎「ああ。この二ヶ月で痛感したよ」


俺「俺ら、これを数十年続けていくのか・・?」


華城「まぁ、そのうち慣れる。我も段々と感覚が狂ってきて苦痛ではないんだ」


俺「まぁ苦痛じゃないのは同意だ。やってて楽しい仕事もいろいろあるしな」


霧島「あと、仕事が終わって帰ってきてからこうやって広間でくっちゃべる時間が幸せでしょうがない」


俺「わかる」


了斎「間違いないな」


俺「でもさ、俺らって大人になってもずっと一緒に暮らせるのか・・?」


火蓮「妾はずっとここで暮らしたいんじゃが・・」


俺「俺もそうだけどさ・・」


華城「まぁ、遠い未来のことは考えなくてもいい。結婚をしたら二人暮らしをしたくなるかもしれないぞ?」


俺「そうだな」


火蓮「清次、早速二人暮らしを・・」


俺「ありえない」


火蓮「ひどいのう・・」

星武の乱が終わって、火蓮のおふざけ具合も増してきたな。


      *


 翌朝、城に招集がかかった。


俺「なんだ、久しぶりだな」


宰川「ああ。皆の墓が完成したから、墓参りにと思ってな」


俺「なるほど」


獅電「墓場には京夏が案内してくれる」


京夏「はい。皆様の準備ができましたら出発します」


坂本「そういえば、今日って八月十五日・・お盆だな」


俺「そこまで計算済みか・・流石だな」


華城「当然だ」


 墓にやってきた。


俺「なんだこれ、すげぇ・・」

見ただけで誰のものかわかるほど、一つ一つがその人の特徴を表したような墓になっていた。


京夏「かなりのこだわりを持って作っていただきました」

こだわりが伝わってくる完成度だった。


まず、椿さんの墓だ。

あの頃は戰場に出始めたばかりであの人の凄さが実感できていなかったが、今思うと化け物だ。

おそらくまだ生きていたら、星武の乱でも大活躍だっただろう。

そして、美人だった。忘れない、あの人の笑顔を。


椿「可愛い後輩だったよ、みんな。もっとお世話してあげたかったな・・」

そうか、お盆だもんな。

みんな、帰ってきてるんだな・・・・

気のせいでもいい、皆の声が聞こえるなら。


美月の墓にやってきた。

俺、まだ信じたくないよ・・美月がもう居ないなんて。

同期組の中でも数少ない女性で、美月が居ることで一気に華々しい雰囲気になっていた。

美月、お前が居ないと男ばっかで暑苦しいよ・・


美月「どうして同期には爽やかな男子がいないのよ」


俺「武士だぞ、暑苦しくてなんぼだ」


結城さんの墓だ。

俺の・・初恋。

初恋が先輩のお母さんなんて・・俺の心も相当歪んでるな。

バレてないといいな、結城さんに。


結城「たった一年ですごく立派になったね。本当の息子みたいで可愛かったよ」

心臓を撃ち抜かれたような気持ちだった。

大好きです、結城さん。


火蓮「まさか結城さんに気持ちが傾いてたりしないじゃろうな?」


俺「いつの間に後ろ居たんだよ・・」

愛が重い。が、今回は俺が悪い。


俊平の墓だ。

俺たちよりも幹部になったのは後だけど、頼もしい味方だなったな・・

術も強かったし、判断も早かった。

一緒にまた戦いたいぜ・・


俊平「ありがとね。清次、星武の乱でも大活躍だったね」


俺「へへ」


彰の墓だ。

話を聞いた感じ、相当格好良い死に様だったらしいな。

茜を守ってくれてありがとう。お前は強い男だよ。

削氷の屋台の時、手伝ってくれてありがとな。


俺「あ」

真栄田の墓だ。

真栄田・・・・お前には言いたいことがありすぎるよ。


まず、宰川軍内の反乱が収まったのは間違いなく真栄田の協力のおかげだ。

頼もしかったし、面白かったぜ。

大きかったよ、お前の背中。


真栄田「俺の娘をこれからも頼むぜ」


俺「ああ、きっと京夏なら大丈夫だよ」


晃牙の墓だ。

もう少しで、一緒に星武の乱で戦えたんだけどな・・夜叉衆め・・・・

寡黙だけど優しくて強い晃牙は、本当に俺の憧れのような武士だった。


晃牙「ありがとう」


豊さんの墓はかなり精巧で、彼の戦い方を表しているようだった。

めちゃくちゃ強いジジイ、年齢の割に衰えを全く感じなくて本当に驚いたよ。

豊さんに剣術を教わっておけばよかったな、と今でも思う。


豊「見事に成し遂げたな。誇りに思うんだぞ」


俺「ありがとな」


将英「オレがいなくなっても同期皆仲良くやっていくんだぞ」


俺「おう! 任せとけ!」


忠勝「清次と真っ向勝負で勝てなかったの、今でも悔しいよ。次は僕が勝つ!」


俺「ああ、楽しみにしてるぜ」


直政「精進したまえ! 清次、君は才能の塊だからね。道を踏み外さなければ!!」


俺「最後の余計だよ!」


雷煌「寂しいです、清次さん・・・・」


俺「悪い。数十年、待っててくれ・・。俺もまた雷煌に会いたいよ」


羽音「いい出会いだった。これからも繭をよろしくね」


俺「繭、凄い忙しそうだ。繭が辛そうな時は支えてやってくれ。俺からもお願いだ」


信雄「面接の時、隣にいてくれて助かりました。もっと一緒にいたかったです」

信雄らしい、まっすぐだけど淡白な言葉。


俺「あの時俺無理やり隣に座らされてたんだけどな?」


 一通り皆の墓参りが終わった。

泣いている人も、涙をこらえた表情の人もいた。

俺は後者である。


宰川「誰ひとり欠けてはいけなかった。蒼天幕府は、今は亡き英雄たちの力のおかげで成り立っている」


華城「皆、定期的に通ってやってくれ。寂しがってしまうかもしれないからな」


俺「もちろんだ!」


宰川「別れは悲しいが、永遠に会えなくなるわけではない。きっと、天国でまた会えるだろう。地獄に落ちそうだという者は、今後の行動で挽回していけ」


久遠「天国で宴をやるときは、誰ひとり欠けないで欲しいからな」


伊海「天国でもお酒を飲むんですか・・?」


久遠「だって・・酒飲みたいじゃん・・」


俺「久遠さん、俺も酒飲めるようになったら一緒に飲むぜ」


久遠「流石清次。オレの見込んだ男だ」


坂本「ほどほどにな」


右京「お前が言うな」


坂本「てへぺろ」


茜「えぇ・・」


霧島「きっつ」


俺「しばくで」


不満の声が止まない。


坂本「ごめんなさい」

しょんばり坂本だ。


宰川「お盆、皆と再会できてよかったな。皆、きっと俺たちの今後を見守ってくれる。決して見られても恥ずかしい行動はしないように」


坂本「何で俺のこと見るんだよみんな」


宰川「では、各自家なり城に戻っていいぞ。仕事があるものは仕事もしていくように」


俺「俺今日休みっす」


霧島「俺も」


 実は、みんな休暇だった。

ので、大広間でお茶をしばくことにした。


華城「たまには上層部も休まなければ」


獅電「そうだな」


久遠「最高の時間だ・・」


 両親が見ても恥じない結末を見せることはできたのではないだろうか。 

まぁ、俺の人生はまだまだこれからなんだが・・


時代を変えるってのには成功したな。

しかも、きっかけは俺の一言だぜ?俺主人公かよ、たまんねぇな。


俺「なぁ、俺たち十年後どうなってると思う?」


獅電「老けてると思う」


俺「そういうことじゃなくて・・」


宰川「何も変わっていないことを望むが、変化というのは嫌でも訪れるものだからな・・」


霧島「俺、大人になったらどんな感じなんだろうな・・」


俺「霧島が大人になって丸くなっちまったら俺寂しいよ」


了斎「言い合いする相手が居なくなるもんな」


霧島「心配するな。俺はこのままだよ」


久遠「いや、二人とも大人になって言い合いなんてやめろよ」


茜「私は見てて面白いからずっとやっててほしいけど」


俺「見世物じゃねぇんだぞ」


宰川「ここまで来たら見世物だろ・・・・」


獅電「十年経てば俺も四十代後半。もう女子からの黄色い声援は聞けないだろうな」

あ、やっぱり声援をもらうのはちゃんと嬉しいんだ。


俺「獅電さんは十年経っても老けなそうですけど」


獅電「俺だって人間だ。老けるさ」

少し淋しい表情をしていた。


右京「俺なんて十年後は五十代に突入してるぞ。もう体が心配で仕方ない」


俺「やめとけ。嫌な未来ばっかり想像したくねぇよ」


火蓮「清次は十年後妾と結婚しておるかもしれんな、楽しみじゃ」


俺「性別はどうすんだ」


火蓮「妾に性別はないが・・清次のためなら女になってもよいぞ」


俺「火蓮、愛が重い」


火蓮「なんじゃ、清次は軽い女が好みか」

不満げな顔をしてきた。


俺「もう勘弁してくれ・・」


霧島「お似合いだよ、お前ら」


俺「霧島と茜もな!」


茜「そんなこと言ったら春日さんと華城だって」


華城「我か」

また春日に愛でられていた。

お幸せにな。あの二人、十歳くらい離れてるけど。


宰川「どんな風に変化していても構わない。ただ、十年後もこうやって皆で笑っていたいな」


俺「今思うと、いつも笑いが絶えない一年間だったな」


春日「そんな軍、普通はないよね」


俺「これも、大将のおかげですか・・」


獅電「いや、清次のおかげだ」


久遠「そうだな。この軍を変えたのは清次だよ」


獅電「ここまで過ごしやすい軍ではなかった。清次の存在がすべてを変えた」

急に恥ずかしさがこみ上げてきた。


霧島「時代を変えた清次に質問なんだが、お前が求めてるのは『結末』だって前から言ってたよな? どうだった? 結末は」


確かに、今は一つ大きな区切りの時だ。

新たな時代の始まりを迎えたが、結末も迎えた。


俺「そんなの決まってるだろ」


霧島「何だ?」


俺「最高の結末だ。執筆が長らく止まっていたこの物語は、最高の結末を迎えた。きっと次の時代、俺らが作っていく物語はもっと最高なものになるだろうぜ」

長い間、「戦国の術師」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。

小説を連載するのは初めてで、至らぬ点も多々あったかと存じますが、私もこの小説を通して多くのことを学ばせていただきました。

いくつかの番外編や本編では描かれなかった日常の一面も、時折投稿していきたいと考えておりますので、これからもよろしくお願いいたします。

この小説には、「正しさ」という裏テーマが存在しました。物語の中でも、正解や不正解に関する発言が多くあったかと思います。

その方の正解は私の不正解、その方の正義は私の悪となるかもしれません。世の中は、そういったもので溢れていると言えるでしょう。

ただし、自分の内なる正解を信じて堅持することが大切だと存じます。人生の主人公は貴方であり、他にはおられません。ですから、貴方の内なる正解以外はどのようなものであっても構わないのです。

そう思える勇気を、清次たちは与えてくれました。

これにてお別れとなりますが、宰川殿もおっしゃっていたように、永遠に会えなくなるわけではありません。

時折、清次たちの顔を覗きに来ていただければ、喜ぶと思います。


8ヶ月間、どうもありがとうございました。

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