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戦国の術師  作者: 葉泪 秋
星武決戦編

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百十六話 来世では

 獅電さんとストーンハートの激しいぶつかり合いが始まった。


僕「二人の戦闘は激しすぎて僕たちの入る隙がありません!」


繭「ああ。おそらく伊海さんの結界で術も使えなくなっている」


僕「え!?」

木を生やせるか確認したら、確かに出来なくなっていた。


羽音「じゃあ私たちも・・ああやって戦わないといけないの?」


霧島「こんなところで三人も突っ立って、何してんだ?」


羽音「霧島は術、使える?」


霧島「ああ。普通に瞬間移動でここまで来たし・・」


僕「なんでですか!?」


霧島「なんでって?」


繭「術を封じる結界で今、誰も術を使えないはずだけど」


霧島「え、何で俺術が使えてるんだ・・?」


僕「まぁ、使えるならそれを活かさない道はありません!」


繭「まず、あの二人の戦闘についていく必要がある」


羽音「ねぇ、五感操作を逆にいい方向に使うことって出来るの?」


霧島「やったことねぇけど・・」


繭「やろう。視覚を強化して敵の攻撃を見やすくするんだ」


霧島「やってみるか・・」

すると、僕たちの視界が一気に鮮明になった。


繭「何だこれ、人の動きも少しだけ予測できる」


霧島「・・なるほど」

少し考える素振りを見せ、霧島が言った。


霧島「俺はこれで触覚・・つまり痛覚を消す」


僕「それは危険すぎます!!」


霧島「良いんだ。気にせず戦ってくれ。というか、危険なのはお前らの方だぞ!」

走っていった。


確かに、今からストーンハートと戦うんだ。

僕たちの方がよっぽど危ない。


羽音「それじゃあ、とにかく攻撃に当たらないようにね!」


ストーンハート「はぁっ!!」

特攻するとすぐさま殴ろうとしてきたが、問題なく避けることが出来た。


ストーンハート「何? 今のを避けるか・・」

見える。二人の攻撃が見える!!

これならなんとか援護も・・


羽音「うっ・・」


繭「羽音!」

羽音さんの肩からかなりの出血だ。

戦闘の続行は絶望的・・どうしよう・・


獅電「悪いが俺に助けている余裕はない!」

獅電さんが手を止めると僕たちが全員殺されてしまう。


繭「羽音、立てるか・・?」


羽音「まだ、戦える」


僕「無理はしないでくださ・・」

ストーンハートの指が僕の腹に触れた。


僕「ぐあ!!!!」

激痛とともに僕は飛ばされた。


繭「信雄!!!」


羽音「私が守る・・!!」


繭「腹がえぐれたか・・治療班は!?」


僕「今から探しても間に合いません・・どうかお二人で生き残ってください・・!!」


繭「見捨てるわけにはいかない」


羽音「はあああっ!!!」

ストーンハートのもとへ突撃した。


術師「何だこいつ、動けないのか?」

まずい、他の敵が・・


繭「私が相手をする」


術師「その前にこいつだ」

早く起き上がって倒さないと・・!!!

でもどうしてだ、動けない・・何をしてるんだ僕!!!


『人体には限界がある。どれだけ強い意志があろうと、体が言うことをきかなくなる時が必ずある。我らは武士である前に生命だからな』


華城がそんな事を言っていた。

もう僕、駄目なんだな・・


僕の近くで繭さんが激しい戦闘を繰り広げている。

その音も段々と遠くなっていって、視界がぼんやりとしてきた。


繭「敵は排除した」


僕「繭さん・・戦いが終わったら・・皆に・・」


繭「まだ死ぬんじゃない!」


僕「もう・・無理なんです・・皆に、ありがとうを伝えておいてください・・」


繭「わかった、必ず生き残って皆に伝えるよ!!」

繭さんが僕の拳を強く握る感覚だけが、最後まで残っていた。


      *


ストーンハート「その体ではもう戦えないだろ」


羽音「諦めたら負けだから!」


獅電「もう逃げろ!」


わたくしがたどり着いたその時、羽音の首が飛ぶのが見えた。


わたくし「羽音!!!」

そんな、分かれの言葉もなしで・・・・


わたくしが記憶を失ってから最初に、色々と教えてくれたのは羽音だった。

もともとわたくしたちが恋仲であったことを踏まえなくても、わたくしはこの人に魅力を感じていた。

好きだった。

武士としての道も、この人と頑張るのだと思っていた。


わたくし「羽音・・・・」

涙が止まらなかった。


ああ、最後に少しでも話したかった。

・・伝えたかった、愛していると。


羽音の首を抱きしめ、戦場の中で泣き続けていた。


術師「どうした、恋人を失ったか? 気の毒だな」

目の前に現れた術師のその言葉を聞いて、果てしない怒りがこみ上げてきた。


わたくしは心を無にして、敵を斬り続けた。


数十人殺して回ったところで正気に戻った。


わたくし「はぁ・・・・」


守れなかった。

二人とも死んだんだ。信雄も羽音も。

もうわたくしに生きている価値などあるのだろうか。

あるはずないか・・


諦めてわたくしは横たわっていた。


『ありがとうを・・伝えておいてください』


信雄の言葉が頭をよぎった。


待て、今死んでしまったらその言葉は誰が伝える?

信雄の意志は誰が継ぐ?


わたくししか居ないだろ。

駄目だ、ここで死ぬなど無責任すぎる。

そして、伝えなければならない。

信雄は確かに戦ったのだと。


ストーンハートのもとへ走ってやってきた。


獅電「繭、無事か!」


わたくし「ああ、あとは任せろ!!」


ストーンハートの攻撃を全ていなし、膝裏に斬撃を食らわせた。


ストーンハート「なっ!?」

明らかに動きが鈍った。やはり狙うべきは関節部・・


獅電「もう、大丈夫だ」

そう言い放ち、完全に優勢となった獅電がストーンハートの両腕を斬った。


ストーンハート「はぁ・・一回止めてくれ」


獅電「動くなよ」

刀を向けたまま後退した。


ストーンハート「どうやってこの状態で戦うってんだ」

ストーンハートがため息をついた。


ストーンハート「やっぱりお前に負けるのか、俺は・・」


獅電「最初から決まっていたことだ」


ストーンハート「ハハ、そうなのかもな」

少し諦観の表情をしていた。

そして、寂しさも感じる。


獅電「ここで死ぬが、悔いはあるか?」


ストーンハート「そうだな・・もう諦めたことなんだが、立場関係ない状態で、お前たちと友達になりたかったよ。正直、辛かったんだ。お前らが良い奴らだって知ってしまったからこそ、殺したいと思えなかった。けじめとして戦いはしたが、気は乗らなかったな」


獅電「・・そうか」


少し沈黙が続いた。


獅電「まぁ、俺もお前と飲む酒は悪くなかったと思っている。また来世は、仲間になれるといいな」

獅電の言葉を聞いて、ストーンハートは瞳に少し涙を浮かべた。


ストーンハート「ああ。また来世で、だな」


わたくし「またいつか、楽しい宴をやろう。その時は・・レオナードも呼んでくれよ」


ストーンハート「ああ、そうだな・・」

あぐらをかいた状態で天を仰いだストーンハートの首を、獅電が斬った。


そして、最強が決まった。

この大陸に存在する最も強い人間は、獅電だ。

長い頂上決戦だった。


しかし、わたくしはこの終わり方で良かったと思う。

また会おう、ストーンハート。

いい仲間であり厄介な敵だった。

次は、全てのわだかまりが解けた状態で・・友達になろう。


獅電「レオナードが残っている。数人精鋭を拾ってから行くぞ」


わたくし「了解」

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