百十四話 邂逅
久遠「本当に俺は大丈夫だ。そもそも、直接戦う側の武士でもないからな」
俺「なら良いけどさ、無理だけすんなよ!」
二号館の方から獅電班が出てきた。
俺「獅電さん!」
久遠「制圧したか?」
獅電「ああ。ストーンハートも殺した」
レオナード「なっ!?」
流石だぜ獅電さん。
繭「しかし、雷煌が・・」
獅電「俺の口から言う。雷煌は、ストーンハートの攻撃から俺を守って死亡した。・・庇ってくれたんだ。これはすべて、弱い俺が悪い。俺の責任だ」
霧島「違う!!! 俺のせいなんだ!!!」
俺「おい!」
辺りが静まり返る。
俺「雷煌が誰のせいで死んだかなんてどうでもいいんだよ!」
羽音「・・そうだよ」
小さな声で呟いたので、俺が続きを促した。
羽音「きっと雷煌も、自分が死んだあとに仲間が『俺のせいで死んだ』って言い争いをするのは望んでないはず」
春日「そうだよ。もちろん、雷煌が死んだら悲しいけどさ・・私たち、仲間じゃん。いちいち『誰が誰のせいで死んだ』なんて決めなくていいよ・・」
火蓮「雷煌の死、仲間の死は全員の責任じゃ。自分がこうしていれば、こうだったら・・なんて考える暇があったら、昨日出た糞の話をするほうがまだマシじゃよ」
良くない締め方をしたな火蓮。
俺「まぁとにかく、誰も獅電さんや霧島は責めないし、雷煌も二人のことを責めないはずだ。それより・・俺たちは、命を擲ってでも獅電さんを守った雷煌を称えるべきじゃないか?」
獅電「そういえば・・礼を言っていなかったな。ありがとう。お前の命が無駄にならないように、必ず勝つ」
ストーンハート「いい場面を邪魔して悪いが・・」
俺「はっ!?」
二号館からストーンハートが飛び降りてきた。
獅電「俺が殺したはずだが・・?」
ストーンハート「ああ、悪いな。当然お前たちに隠してたこともあるんだよ。俺は一回だけ、死んでも生き返ることができるんだ」
俺「はい、ズルしたなコイツ。何が生き返るだよ馬鹿馬鹿しい、正々堂々戦えや」
ストーンハート「酷い言われようだな・・仕方ないだろ、俺はそういう人間なんだ」
俺「んで? 誰の術なんだ? その馬鹿げた生き返りとかいうやつは」
レオナード「当然私だ」
何が当然だよ!イライラするな!!!
坂本「やっぱり、あの団長を殺さないと勝てねぇな。あいつを狙うしか無い」
レオナード「そうだ。言い忘れていたが、君たち・・もう私と戦えると思っていたのかい? だとしたら甘すぎだよ」
若干、嘲笑うように言ってきた。
彰「皆さん気をつけて!!」
その直後に、数多の術師が一気に庭園及び宮殿に現れた。
坂本「クソッ! また転送か!!」
レオナード「本番はここからだよ、楽しもう」
久遠「先程までオレたちが戦っていた敵数とは比べ物にならない! お前ら絶対に死ぬな!!」
全「はっ!!」
獅電「ストーンハートは俺が殺す。今度こそ間違いなく!!」
一号館にいる皆が来てくれねぇと勝てる気がしねぇ・・!!
俺「うおおおおお死ねお前らあああああ!!!」
地割れをひたすら発生させ、数十人ずつ敵を葬っていった。
将英「畜生、攻撃を仕掛ける隙がない・・」
霧島「久しぶりに五感操作でも使ってみるか。案外初歩的なやつが効いたりするかもしれねぇな」
五感操作によってもがき苦しむ敵を蒼月が一掃した。
火蓮「妾も直接戦うか・・」
体を彩色炎で包み、敵の攻撃を躱しながら斬っていく。
信雄「僕の術を使っちゃうと、皆さんの出る幕が無くなるので抑えてましたけど・・これだけ敵が居れば大丈夫そうですね」
信雄の対複数の強さはかなりのものだ。
流石に俺には敵わないけどな!!!
俺「剛斗、久しぶりに『アレ』やるぞ!!!!」
剛斗「わかった!!」
俺が地面に生み出した無数の棘を剛斗が引っこ抜き、敵にひたすら投げ続けた。
かなり単純で馬鹿らしい戦い方だが、嘘みたいに強い。
敵は順調に倒せるわけだが・・もちろん強者もたくさん残っている。
*
アストリア「みんな、僕が強いってこと知らないでしょ」
そう言いながら前に出てきた。
私「確かに、戦ってるのは見たことないけど」
蒼月「イサベル殿との取っ組み合いだけでござるな」
アストリア「ちょっと、そいつの名前は出さないで」
蒼月「悪かったでござる」
私たち、アストリアと戦うの?
正直一番戦いたくないんだけど。いい人だし、優しいし・・
と思ってしまう自分の弱さが嫌になる。
彰「・・戦おう」
アストリア「さぁ、何をしてきてもいいよ」
両手を広げる。
蒼月「拙者が気を引くでござる。茜殿は隙を狙って射るでござる!!」
私「はいよ・・!」
蒼月と彰がアストリアのもとへ走っていく。
私なら大丈夫。大一番で外したことなんてないし・・
アストリアが軽々しく蒼月を蹴り飛ばした。
私「大丈夫!?」
蒼月「拙者のことは放っておくでござる!!」
その選択肢だけはないね。
私「霧島!!!」
すぐさま現れた霧島が隣に跪いた。
霧島「何だ!」
私「蒼月の護衛をお願い!!
霧島「クッソ、厄介だなアストリア・・了解!」
蒼月のもとへ駆けていった。
私「あとは私が・・」
必死にアストリアを狙っていたが、目の色を変えた彰がこちらへ走ってきた。
彰「茜!!」
刀を奪った敵が背後に居た。
私「あぶねぇな!」
矢をそのまま敵に刺した。
アストリアの掛け声に合わせて周囲の術師がこちらへ杖を向けてくる。
まずい、私は近距離だと友好な攻撃手段がない・・
彰「危ない!!」
私を守るために彰が周囲の術師とずっと一人で戦っている。
術師「ただの槍じゃねぇか」
術師が増えてきた。
彰も限界が近そうだと思っていたら、一号館から現れた兵士がこちらへ走ってきた。
宰川「皆、よく持ちこたえてくれた!!」
清次「宰川殿!!!
久遠「一号館攻略組が戻ってきたか・・・・となると兆しはある!」
華城「現在の状況は?」
春日「えーっとねぇ!!」
了斎「ストーンハートが・・」
霧島「おいどうなってんだよ! 死んだはずの奴が・・」
どんどん華城のところへ皆が集まっていく。
華城「一人で十分だ! 了斎以外は戦闘に戻れ!!」
春日「はーい」
*
了斎「ストーンハート・レオナード・アストリアは全員生存している」
我「そうか。獅電班は討伐に失敗したのか?」
了斎「いや、どうやら倒したらしいんだけどな・・ストーンハートは一度死んでも生き返ることが出来るらしい」
我「そうか。もはや何でもありになっているが仕方ないだろう。今は誰が対峙している?」
了斎「ストーンハートは獅電さんのみが相手をしている」
我「把握した。宰川殿! 我らは各自敵を減らす動きで行く」
宰川「了解だ」
*
清次「大丈夫かお前ら!」
彰がかなり追い詰められている。
私は弓でちょっとずつ敵を減らすことしか出来ないから・・清次みたいな人が来てくれるとかなり心強い。
私「清次!!」
清次「彰がやべぇってのは見てわかる」
彰を取り囲む術師を一掃した。
やっぱり主力の人は次元が違う・・頼ってばかりで申し訳ない。
清次「んじゃ気をつけろよ!」
また別の戦地に移動していった。
アストリア「あーあ、やっぱり清次は強いね。全員やっちゃったかぁ」
こちらめがけて光線を撃ってきた。
他の術師より光線が太い。ただ、避ける時間はない!
彰「間に合ええええ!!!
氷槍術を活用して光線をなんとか食い止めていた。
彰「速く逃げて!!」
私「そのままじゃ彰が死ぬでしょ!!」
そういった瞬間、光線が彰を貫いていった。
私「彰!!」
彰「俺のことは気にしないで」
蒼月「追撃が来るかもしれないでござる!!」
彰「俺は放っておいていいから逃げて」
私「放っておけるか!!」
彰「・・言ったじゃないですか」
私「は?」
彰「茜の面倒は・・最後まで僕が見るって、言ったじゃないですか」
私「ほんっっっっとに馬鹿!!!!」
彰「最初は俺のことをうるさいって何回も突き放してきたくせに、今は茜の方がよっぽどうるさいね」
私「・・・・」
彰「君を守って死ねたのなら本望だよ。必ず生き残って、必ず勝って欲しい。頼んだよ」
もうそれ以上喋らないで欲しい。
涙が止まらなくなる。まだ私は戦わないといけないのに!!
私「もう、ゆっくり休んでいいよ。お疲れ様」
彰はゆっくりと瞳を閉じた。




