百十話 頂上決戦
出発初日。
久遠「山河軍本拠地、老柁城だな」
なんだかんだ久しぶりに見た気がする。
霧島「正直、見た目だったら海良城が一番だよな」
春日「わかる~私も好きなんだよね~」
京夏「先代の大将がかなりこだわりの強い人だったらしく・・あのような形になったそうです」
こだわりか・・当時建設した人たちは苦労したと思うが、後から見るとやっぱりこだわった方が良いと思うよな・・しかも城なんて軍の顔だ。格好良いほうが良いに決まってる。
俺「俺は爲田城のどっしり構えた感じが好きだな」
獅電「建物が横に連なってるからそう見えるのだろう」
そうかもしれない。
宰川「いや、一番美しいのは宮殿だろ」
一同「それはそう」
出発して三日。霧島が体調不良のため一時停止。
霧島「俺のせいで数万人が止まってんのか・・申し訳ねぇ・・」
珍しく参っているようだ。
獅電「一日程度の停滞は想定内だ。気にするな」
霧島「みんなありがとな・・俺死ぬわ・・」
俺「縁起でもねぇ」
出発して一週間。
ついに俺たちは宮殿にやってきて・・・・いない。
宰川「ここからはどこで術師が現れてもおかしくない!」
前も聞いた気がする台詞だ。
俺「つまり?」
宰川「ここからは徒歩で向かう」
俺「よし、馬はどうする?」
久遠「少々心が痛むが、春日の鋼糸で動けないようにしておく」
俺「そうか」
了斎「徒歩であの宮殿まではどれくらいだ?」
華城「どれくらいだ?」
?「一時間程度です」
華城「らしい」
俺「使いこなしてんな」
華城「便利だろ。我の知識内の事象であればこいつが代わりに思考してくれる」
当然ながら、華城の知識を超えることはないってことだな。
獅電「行くぞ」
宰川「ここからは班に分かれて移動だ。後ろの兵士たちは予め分かれているから問題ない」
全「はっ」
宮殿の道中で術師に会うことはなかっ・・・・
術師「前方より敵襲! 幕府軍です!!!」
数十人の術師が一気に姿を現した。
おぉ、ついに始まったなぁ!!!!
宰川「戦闘開始いいいいいいいい!!!!」
班に分かれ、俺たちは本館を目指した。
道中で現れた術師は久遠さんたちが倒すことになっている。
将英「皆ついてきているか!」
俺「ああ! 問題ねぇ!!」
*
さあ、まずはオレたちが庭園の奴らを蹴散らさなきゃ始まらない。
そして道中のこいつらもオレたちが殺す。
術師「雑魚が!!」
坂本「かかってこいやぁ!!!」
まぁ・・坂本の実力は言うまでもないか。術を使わず大将になった男だ。
当然頼りになる。
剛斗「その程度の術じゃ死なねぇぜ!!!!」
二人の術師を蹴り飛ばし、さらにもう一人の杖を奪い取って顔を殴りつけた。
術師「ぐぁぁぁあ!!」
まぁ、所詮雑魚か。
羽音「もうめんどくさいから蔵兵衛に任せた!」
蔵兵衛の亡霊を呼び起こしたようだ。
術師「何だこいつ!」
信雄「さようなら」
ほとんどの敵を信雄と火蓮が殺していった。
美咲「こりゃあ強敵が来るまで私たちの出番はなさそうだね・・」
オレ「そうだな」
濃霧衆を引き連れ、オレたちは庭園に侵入した。
オレ「ここは多分術師がうじゃうじゃいるぞ! 術を出し惜しみしないように!!!」
久遠班「了解!!」
火蓮「ハハッ! 楽しいのう!!」
笑顔で火蓮が敵をいたぶっていく。
オレ「一応、これもやっとくか・・」
数人が固まっているところに雷を落とした。
美咲「でも、妙だね。敵数がこんな少ない訳なくない?」
オレ「そうだな・・」
すると、数千人の術師が一気に庭園へ降り立った。
坂本「畜生! 転送だ!! 別の場所に待機させてやがった!!!」
信雄「囲まれましたよ・・?」
オレ「関係ない! 術をぶちまけ!!!」
オレは七発の雷を落とした。
火蓮「こんなに人数が居ればこの術も輝くじゃろ!!!」
特大の彩色炎を全方向へ放っている。
信雄「はい! はい! まだまだ!!」
どんどん敵の足元に樹木を生やしている。
敵の視界も遮られるし、一石二鳥だ。
百人くらいは倒せたんじゃないか?
亡霊の蔵兵衛もいい仕事をしている。
オレ「もう一発雷を・・」
オレの左腕を、光線が貫いていった。
信雄「久遠さん!?」
オレ「クッソ・・出処はあいつだ!!!」
なんとか敵を指さした。
火蓮「おのれぇぇぇぇぇ!!!」
刀に彩色炎を纏わせた火蓮が特攻していった。
オレ「待て火蓮・・! お前も撃たれる・・」
火蓮は軽々と敵の光線を避けた。
何だ?いつもの火蓮の動きじゃない・・柔軟な動きではなく、鋭い動きだ。
この一ヶ月で何かを掴んだのか?
・・って、今すべきは自分の心配か・・・・
火蓮は光線の術を使った敵を切り裂き、その後も戦闘を続けていた。
美咲「手当は私がする! 皆戦闘に注力して!!!」
全「了解!!」
大丈夫、少し出すのが遅れたがオレたちにも秘密はある。
オレは剛斗に目で合図を出した。
剛斗「かかれええええええええ!!!!」
庭園の外から数千人の忍者が一気に飛び出した。
術師のざわめきもあっという間に止み、庭園にいる術師は八割がた死亡した。
剛斗「残った奴らはオレたちが行くぜ!!!」
美咲「とりあえず巻いたけど・・大丈夫そう?」
オレ「なんとか・・」
とりあえず立ち上がることは出来た。
戦闘に復帰は厳しいかもしれないな・・・・
数分オレが休んでいる間に、庭園の術師は全滅していた。
想定外の攻撃には想定外の攻撃で返す。
これこそが華城の作戦だ。今回は大成功だったな。
けど、やっぱり腕が痛い・・・・
美咲「新たに敵が出てくるまで私はたちはここで待機だから大丈夫。休んでいよう」
坂本「よりにもよって久遠が撃たれちまったか・・光線を撃ってくるやつも居るってのは把握しておかなきゃだな」
火蓮「そうじゃな。さっきは通用した妾の力押しも、きっと上級の術師相手では焼け石に水じゃろう」
オレ「濃霧衆はざっと見た感じ・・二百人ほど死んでしまったか」
坂本「あれだけ術を乱射されてしまっては仕方ない。無駄な死ではなかったさ」
羽音「そうだね・・一応、今死んじゃった人たちも、次の戦闘で召喚するからね」
死してもなお戦い続けられるってのは嬉しいよな・・まぁ、蔵兵衛あたりは本望じゃないだろうが。
*
獅電班と坂本軍兵士で二号館を攻略する。道中の術師は問題なく殺してきたが、おそらく強敵は宮殿の中に潜んでいる。
俺「一切気を抜くな。そしてストーンハートを発見した場合は絶対に戦わず、俺に報告しろ」
獅電班「はっ!」
俺「お前たちはこの辺で待機だ!」
坂本軍兵士はかなり人数を絞り、百人程度が宮殿に入る。
残った数千人の坂本軍兵士は宮殿の横の余白に駐屯させる。
俺「精鋭のお前らは正面入口から入れ。繭、雷煌、霧島。俺たちは窓を割って侵入だ。霧島は瞬間移動でもいいが」
全「了解!」
坂本軍兵士が宮殿に入って少し経過した。
そろそろ術師は坂本軍兵士のところに集まってきているはずだ。
俺「行くぞ!」
同時に窓を割り、二階から侵入した。
術師「奇襲だ! 迎え撃て!!」
部屋に居た術師が一斉に攻撃してくるが、俺は壁を伝って走り全員を斬った。
ハズレだ。こいつらは精鋭じゃない。
*
術師「侵入者だ!!」
その言葉を言い終わる前に僕は全員を斬った。
僕「ふぅ・・精鋭はここじゃないかな」
廊下に出ると、繭さんが居た。
一緒に別の部屋を覗いてみると、見覚えのある人が居た。
繭「ケプラーがいる。こいつは生かしておくと厄介だ」
僕「そうですね・・」
すると、ケプラーを囲むように術師が出てきた。
なるほど、ケプラーがあの駒を動かす遊びをする時間を稼ぐためか・・・・
僕「敵の密度が高すぎる・・」
高速移動をしくったら絶対に死ぬ。
かといって雷刀だけで凌げる人数じゃないな・・どうしよう・・
繭「一旦逃げよう。二人でこの人数には勝てない」
僕「はい!」
これは戦略的撤退で、別にビビってるわけじゃないもん・・
坂本軍兵士を二十人ほど拾ってさっきの部屋に戻ってきた。
ケプラー「きた!!!」
駒を返す音と同時に、部屋の中で暴風が巻き起こった。
繭「クソ、発動しやがったか・・」
発動条件が特殊だけど、ケプラーの術は威力が非常に高い。
僕「駄目だ、飛んでく・・・・!!」
兵士「俺に捕まってください!!」
大柄な兵士が手を伸ばしてくれた。
僕「ありがとうございます・・!!」
暴風が止んだところで、僕たちは戦闘を開始した。
術師「ケプラーさん! 早く四枚を!!!」
四枚・・?四枚返すと何かまずいことが起こるのかな?
それまでに倒さないと・・
ケプラー「この盤面だと無理かもー!!」
兵士「おらぁぁぁ!!!」
術師が半分ほど片付いてきた。
繭「くっ・・術が使えなくなった!!」
僕「角を取ったんですね・・じゃあもう生身で行きましょう!!!」
僕はただの刀で敵と戦った。
高速移動を使えないのがきついな・・・・
ケプラー「きたあ! 四枚!!!!!」
軽やかに駒を置く音が鳴り響いた。
すると足元に魔法陣のようなものが現れ、激しく炎が燃え上がる。
繭「危ない!!!」
繭さんが僕を抱えて部屋の外に飛び出した。
繭「はぁ・・あんなこともしてくるのか・・坂本軍の人は重傷かもしれない」
僕「魔法陣が消えたら一気に全員を倒しましょう、もう術も使えるようになりましたし」
繭・僕「せーの」
部屋に入ってひたすら敵を斬り続けた。
兵士「アイツを囲んでる敵は俺たちが引き剥がします!!!」
よかった!まだ生きている兵士もいた!
僕「了解!!」
坂本軍兵士の連携のお陰で、ケプラーの討伐に成功した。
繭「よし・・これでようやく精鋭一人か」
僕「厳しいですね・・」
坂本軍兵士は、ほとんど焼け焦げていた。生き残ったのは五人。
うじうじしている時間はない、また敵を探そう。
*
霧島が瞬間移動で俺のいる部屋に来た。
霧島「この隣の部屋にストーンハートがいる」
俺「わかった。班の三人は敵の殲滅が終わり次第俺とストーンハートのところへ来い」
霧島「御意」
俺はストーンハートの居る部屋まで移動した。
ストーンハート「だよな・・やっぱり俺のところには獅電が来ると思ってたんだよ」
俺「お前の首を落としに来た。他に用はない」
ストーンハート「ああ、分かっている。しかし、本当にお前と俺が戦う日が来るとはな・・てっきり口だけかと思っていたよ」
俺「その場しのぎの雑談はよせ。俺が何でこの部屋に来たかは分かっているだろ?」
ストーンハート「まったく、ツレない男だな。わかった。始めるとしようか」
ストーンハートが指の関節を鳴らす。
俺・ストーンハート「最強を決めようじゃねぇか」




