百八話 革命
今日は休みなので、俺たちは家の広間で雑談していた。
火蓮「清次はどちら派なんじゃ?」
俺「絶対に長髪の方が可愛いだろ。色っぽさがあるじゃねぇか!」
了斎「清次は分かってないな・・幼さを感じる短髪こそが至高なんだよ」
俺「短髪だったら男にいくらでもいるじゃねぇか! 希少性が低いんだよ!」
火蓮「別に長髪の男もたくさんおるじゃろ・・」
俺「そういう話をしてるんじゃない」
霧島「だったら男の短髪だって関係ねぇじゃん」
無言で俺たちの話を聞いていた華城がしびれを切らして口を開いた。
華城「そんな事を話している場合か?」
俺「場合だよ! でもやっぱり長髪は・・・・」
華城「待て、清次。長髪の方が好きだというのは同意するが、今はもっと話すべきことがある」
華城も長髪派だったか。まぁ、華城が好きな春日も長髪だもんな。
将英「そうだ、派生の件に関しては皆どうだ? 間に合いそうか?」
俺「俺はもう出来てるぞ~」
華城「派生が既に出来ている者は手を上げてくれ」
俺・火蓮・雷煌・将英・了斎が手を上げた。
将英「悪くない進捗状況だな」
華城「実はなんだが、我も一つ見つけたことがある」
なんと!!
了斎「とりあえず、出来た派生を披露し合うか」
俺「そうだな。でも俺のやつはここじゃ出来ない。一旦草原まで行こうぜ」
全「了解」
術を使っても被害の出ないところまで離れてきた。
俺の派生は人というより建物への被害が大きいからな。離れ過ぎなくらいがちょうどいい。
将英「誰から見せる?」
俺「俺がやる。皆気をつけろよ・・・・」
俺は小範囲で強い地震を起こした。
霧島「うぉぉ!!」
全員がよろけて倒れた。
俺「どうだ。地震だぞ」
華城「理不尽な術だな」
霧島「これ、お前の術だけで宮殿を崩せるんじゃないか?」
俺「耐久性によってはあり得る。窮地に陥ったらこれで緊急脱出するよ」
華城「それがいい。人に直接の被害が出づらいのも一線を画しているな」
火蓮「次は妾が見せてやろう」
俺たちから数歩離れた火蓮は、術を使って全身を彩色炎で包んだ。
俺「すげぇけど・・これなんか意味あんのか?」
火蓮「発見してからしばらくして気づいたんじゃが、こうしていると体を普段よりも速く動かせるんじゃ」
俺「試してみてくれ」
火蓮が刀を抜き、その場で素振りして見せた。
確かに、今までよりも動きが洗練されている。
火蓮「そして、炎に包まれているから敵からしても動きを読みづらいじゃろ」
霧島「なるほどな」
強いし便利だ。
雷煌「僕の派生は大したことないんですけど・・」
将英「気にしなくて良い」
雷煌「ありがとうございます、見ててください」
雷煌が手から電気の球のようなものを放った。
俺「火球の雷版? にしては動きが遅いか」
雷煌「火球に似てるんですが、これは時間が経てば経つほど大きくなっていくんです。仮にこの派生は『雷電』とでも名付けておきましょう」
剛斗「本当だ! 大きくなってるぞ!!!!」
雷煌「当たると痛いし痺れますけど、死に至ることはないと思います」
妨害的な使い方が多いのか。
将英「次はオレの派生を見せる」
将英は数秒力を溜めたあと、一気に前方へ風を放出した。
放った先の地面はかなりえぐれている。
俺「おぉ!!」
将英「溜めが必要なせいで実践で使えるかは怪しいが、風刃よりも威力は高い」
雷煌「試しに受けてみていいですか? 飛んだらすぐに高速移動で戻れるので」
将英「わかった」
将英の前に雷煌が立ち、術を受けた。
雷煌が遠くへ吹っ飛んでいく。
雷煌「おおおおおお!!!」
高速移動で目の前に戻ってきた。
俺「思っている以上に飛んだな・・」
雷煌「術師にも通用しますよこれ!!」
嬉しそうに言ってきた。
将英「そうか。よかった」
了斎「わしの派生は単純なものだが、見ててくれ」
了斎が刀を抜くと、刀が炎を纏った。
俺「雷刀みたいなもんか」
了斎「ああ。これならたとえ敵を切り落とせなかったとしても、炎での攻撃はできる」
俺「切れ味が良くなるとかは無いのか?」
了斎「試してないからなんとも言えんな」
霧島「まぁ、刀の質はもともと高いし問題ないだろ」
俺「そうだな」
華城「我は派生というより術を使えるようになっただけだと思うが、一応術のようなものは使えるようになった」
翔斗「期待大だな」
華城が刀を抜くと、刀が喋り始めた。
?「戦闘態勢に移りますか?」
は???
華城「清次と戦闘をする。決して殺さないように、手加減して戦ってくれ」
?「承知いたしました」
華城「清次、我を殺さない程度に戦ってくれ」
俺「おい無茶振りすぎんだろ!」
俺は華城と交戦した。
確かに華城とは思えないほど動きが激しいし、技術も高い。
俺「へっ、力は俺のほうがありそうだな!!」
思い切り華城の刀を弾くと、華城が後ろにのけぞった。
華城「おしまいだ、平常運転に戻れ」
?「承知いたしました」
俺「何なんだこれ・・」
華城「我はこいつの名も顔も知らんが、そもそも名や顔が存在するのかも分からないが、我の思考能力はどうやらこいつのおかげで成り立っているらしい」
華城の中に存在する相棒みたいなものか・・?
俺「よっくわかんねぇなぁ」
華城「とりあえず、これのおかげで我は戦える」
将英「華城のやつが一番衝撃的だったな」
華城「常に最善の選択をして、負けにくい戦闘を行ってくれるらしい」
?「先程のように、力で押されると敗北することもありますが」
若干話し方が華城に似てる。本当にこいつのおかげでもあるのか。
俺「あんた、名前とかはあるのか?
?「ございません」
俺「そうか」
?「ええ」
なんか普通に会話できてるな・・不気味だからもう話したくないけど。
華城「まだ派生ができていない人もなるべく派生させられるように頼む」
霧島「了解」
*
俺「華城を前線に立たせるのに関しては反対だ。実力云々の問題ではなく、万が一負傷や死亡した場合の損害があまりにも大きい」
直政「そうですね・・しかし華城は頑固なところもありますから、『皆が戦うなら自分も戦う』の一点張りな気もします」
久遠「うーん。華城の戦いたいという意志をこちらの都合で無下にしたくもないし、あくまで華城の意見を尊重しよう」
俺「それだと『戦わせる』ということになるが」
久遠「華城なら大丈夫さ。もし戦場で危なくなったら守ってやれよ、直政!」
直政は無言で頷いた。
宰川「幸い、そっちには翔斗もいる。過度な心配は逆に失礼だろう」
久遠「そうだな」
会議室の戸が勢いよく開いた。
清次「聞いてくれ! 華城がすげぇんだ!!」
久遠「どうした? 朝から元気だな」
清次「本当にびっくりするどころじゃ済まないからな!!」
久遠「分かったから、早く教えてくれ」
こんなに盛り上がっているのは久しぶりだ。
清次「華城が術を意図的に使えるようになったらしいんだけど、その術がすげぇんだよ! 実際に見せたいから道場まで来てくれねぇか1?」
直政「わざわざそこまで・・? まぁ良いけど・・忠勝も今は道場に居るからね」
清次「じゃあ決まりだ! 行こうぜ!!」
なんで清次が一番盛り上がってるのかは分からないが、とにかく凄いらしい。
忠勝「みんないらっしゃい」
右京「・・それで、ここで何をするんだ?」
清次「とりあえず・・久遠さん、竹刀を持ってここに立って!」
久遠「ああ」
清次が華城にも竹刀をもたせた。
清次「華城は、術で自動的に戦闘ができるらしいんだ。自分の意志で動かなくても、常に最善を出せるらしい」
宰川「何だと?!」
俺「とりあえず見せてくれ」
?「戦闘を開始しますか?」
謎の声が聞こえた。これが術なのか?
華城「ああ。今回も相手を殺さないようにしてくれ」
?「承知しました」
久遠と華城が戦い始めた。
通常ではありえないが、華城が優勢だ。
久遠「なにっ・・!」
霧島「すげぇだろ、獅電さん」
俺「久遠の攻撃を完全に捌けている」
清次「はい、やめ!!」
?「戦闘を中止しますか?」
華城「ああ。ご苦労様」
宰川と久遠が目を輝かせている。
久遠「おいおい、華城の欠点がなくなるんじゃないか?」
華城「その場の最善の戦闘をするというだけで、力で圧倒的に劣っていれば普通に負ける。油断禁物だ」
宰川「しかし、これで華城の戦闘能力が大幅に向上したのは確かだ」
俺と宰川と久遠は目を見合わせた。
俺「これなら、星武の乱でも戦える」




