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私の話。  作者:
34/125

三十四編

 聞いた話。


 神や物の怪はいつからいて、いつからそうなるのだろうか。

 少なくとも最初からそこにいた、というわけではなさそうだ。


 彼女は両親と共に、祖父母の家へと顔を出しに来た。孫が着たからか祖父母は顔を綻ばせて喜んだ。

 夕飯になり談笑しながら箸を動かしていると、祖父が怪訝そうな顔でいった。

「○○、影歩きになっとるな」

 どういうことかと思って彼女は振り向いた。影が二つにぶれ、重なりあっている。

「ああ、こっちで食べなさい」

 そう祖母がいう。彼女はそれに従い、座る場所を変えた。

 不思議なことに影は光が当たっているのに、消えずにそこに残っていた。自分の影は着いてくるが、その影はそこに留まり続けている。まるで最初からその部分が黒く(にじ)んでいたかのようだった。

 両親は珍しい虫がいた程度の表情で、また食事を再開している。

「おじいちゃん、影歩きってなに?」

 祖父は何でもないことのように彼女に教えた。

 影歩きとはその場に影が張り付く現象のことで、放っておくと畜生、つまり鬼に変わるのだという。

「もし出ても、こうやって光を当てとけば直ぐに消えるよ」

 確かにいわれてみれば影は先ほどとは違い、少し薄まっているように見えた。


「よくよく考えれば凄い体験よね」

 おかしそうに彼女は笑った。

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