表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の話。  作者:
33/125

三十三編

 聞いた話。


 工事現場で働いている人はそういう話を多く持っている。

 土を掘り返すということは時間を掘り返す作業なのかもしれない。

 私の兄の友人の話。


 彼はその日、ある小さな神社の整理をしていた。

 高速道路を通すためにそこを潰さなければならなかった。潰すといっても場所を移すだけであって、禁忌に触れるようなことはしない。

 一応、名のある神主に頼み、関係者全員でお祈りをした。

 神主が去り、作業が始まる。祠を取り壊し、鳥居の根元を掘り起こす。

 通常は別の高名な神社で鳥居やら祠やらを燃やしてもらうのだが、使えるものは神様を移動する時にそれも移転先に持っていくのだという。


 途中、問題が起こった。

 古ぼけた鳥居を掘り起こしていると、地面の中から奇妙な箱が顔を覗かせた。年配の男達はそれを手にすることを渋り、一番若い兄の友人がそこに呼ばれた。

 彼は年配の人間の指示に従って穴からそれを掘り起こした。サッカーボルくらいの大きさで正方形の木箱。不思議なこと箱に腐敗は見られない。

 年配の人間はそれを空けずに燃やして来いといった。

 何が入っているのだろうと彼は思い、仕事仲間の友人とその場で開けた。

「……うわっ!」

 人間の首の干物が入っていた。

 痩せこけ、髪が伸びきった人の首。

 投げ出すように箱を落とす。首が地面をくるくると転がった。


 年配の数人が今すぐお祓いしてもらってこいというのに従い、彼は仕事場を離れた。

「でも作業が……」

「そんないい。お前がいたらこっちまで祟られるわ」

 そのおかげか、何も変わったことは起こらなかったというが、何故そんな場所に首を埋めたのかと考えるとぞっとすると彼はいった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ