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私の話。  作者:
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18/125

十八編

 聞いた話。


 自然にまつわる話は不思議なものが多いような気がする。それを聞いた私は恐怖を感じるよりも心の底から不思議だと思ってしまう。

 霊的なものとそうでないものの境界とは何なのだろうか。


 ある男は夜中、彼女と一緒にドライブに来ていた。

 狭い山道でかける音楽はどこかロマンチックな雰囲気だ。

 上り下りをするわけでもなく、ただひたすらに真っ直ぐ車を走らせ、他愛のない話をする。

 それだけで彼らは幸せだった。

 休憩所を通り過ぎた辺りで木々の背が高くなる。道は蛇行していて、すぐ横は未舗装の山が大きく夜空に向かって伸びている。落石防止の看板。

 彼はライトの光りを強め、対向車に注意を促す。といってもその道を通ってから、かれこれ三十分以上は走っているが、すれ違ったのはたったの一台だけだった。


 急なカーブを過ぎた辺りにそれはあった。

 なんでこんなところに!

 悲鳴にも似た心の叫び。

「危ないっ!」

 彼女の声が掛かるまでもなく、彼には分かっていた。

 危ないことも、このままでは追突することも理解していた。

 大きな丸い石。黒ずんでいてコケのようなものがこびりついたそれ。

 スピードを落とし、ブレーキをかけるが間に合わない。彼は岩にぶつかるよりかはと思い、ハンドルをきって白いガードレールに車体をぶつけた。

 金属の拉げるような音と共に車は止まった。首に若干の痛みがあるが、シートベルトのおかげかどこにも怪我はない。

 何でこんなところに岩が、と愚痴を零しながら彼らは車をバックさせる。運のいいことに車はまだ動いた。

 一端、彼女を降ろし後ろを見てもらう。

「オーライオーライ」

 そんな声を聞きながら彼は後ろを窺い、車体を下げる。

 不意に甲高い笑い声が聞こえたかと思うと彼女が悲鳴を上げた。

「おい、どうした?」

「…………あ、あ」

 彼女は何も言わず、指を岩の方向に向ける。

 彼はそちらを向いた。

 岩がなくなっていた。

「は?」

 変わりに岩のあった場所には何かの大きな足跡が残っていた。


「彼女がいうには岩が急に動いて笑ったかと思ったら、森の中に消えてったっていうんだ」

 彼は神妙そうな顔で私にそういった。

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