百八編
聞いた話。
神を弄んではいけない。彼らを弄んではいけない。
私達は彼らと対等ではないのだから。
それらを捕らえる方法というのは結構な数である。それに伴って従わせる方法というものも多い。
ある男は好奇心からそれを行い、ビンの中にそれを閉じ込めた。それを従えることができれば、自分の未来は明るい。
そんな気持ちでその日は眠りについた。
夢に自分が出てきた。
真っ白な部屋。ミニチュアのベットで寝そべる小さな自分が見える。自分を俯瞰の位置から見つめるもう一人の自分。
ミニチュアの置かれたテーブルを囲み、見下ろす人々がいる。それらは異形の姿のものいれば人の形をしてるものもいた。
彼らは男には分からない言葉で何かを相談している。議論が終わったのか、一瞬の静寂が場を包む。次の瞬間、ツルでできたヒトガタの化物が肉厚のナタを持ち上げた。宣告に似た言葉をその場で告げる。
彼にはそれが分かった。その化物が何をしようとしているのか分かった。
「殺さないでくれ!」
声を張り上げてベットから起きた。
辺りは薄暗闇で何もいない。何も映さない。彼は自分の夢を笑い、部屋の灯りをつけた。ビンを見るとそれはまだそこにいた。ふと、カーテンのはためく音。彼は窓を閉めようとカーテンを開いた。
窓を覆うような大きな目玉が彼を見ていた。
「うわああっ!」
彼がその場で尻餅をつき、顔を上げる頃には目玉は消えていた。
男はすぐに捕まえたそれを逃がした。