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私の話。  作者:
100/125

百編

 私の話。


 例えば床に落ちている十円玉。

 人は自分からそれを意識しようとしないかぎり、それらを見ることはできない。認識することができない。

 だから私たちは。

 目の前の、草陰の、暗闇の、池の底の、森の奥の、竹やぶの、ベットの下の、押し入れの、クローゼットの、階段の隅の、天井裏の、地下の、物陰の、後ろのそれに気がつかない。

 息を潜めている彼らに気がつかない。じっと見つめている彼らに気がつかない。

 意識したとき、私達の世界は変わる。

 変わってしまう。


 この話を書いていて「私も同じような現象に遭いました」だとか「○○のことですよね」とか「同じような夢を見ました」というメッセージやコメントを頂くようになった。

 今まで意識しなかったものが見え、今まで気がつかなかったものを感じ始めた人が出てきた。

 それは何故だろう。

 あちら側のものが彼らの現実を侵食しているのか、私の書く話が彼らの現実を侵食しているのか、それは分からない。ただ私は話を書き続け、メッセージを返した。

 “恐怖”を畏怖し、敬意を示しながら文字を書き続けた。


 この話も終りに差し掛かり、今までのことを振り返っていると、ちょっとした違和感に気がついた。

「私もそういったものに気がつくようになった」という人や「今度、そこのことを調査してみる」といっていた人たちの連絡がある日を境にぱったりと無くなっているのだ。

 彼らは単純に私の話に飽きただけなのかもしれない。超常のものと思っていたものが何でもない何かで、失望しただけなのかもしれない。

 でも、もしかすると踏み込んではいけない領域に彼らは入ってしまったのかもしれない。

 それは誰にも分からない。

 ただ連絡はずっとない。

 ずっと。

これにて終ります。

ありがとうございました。

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