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サポーター  作者: エサミ
第1章
9/12

8

宜しくお願いします。

※side律


「足立眠そうだな」


講義室の隣の席に座っていた成瀬がノートパソコンで講義資料をまとめながら言った。律は欠伸をしながら弟と幼馴染とで遅くまでゲームをしていた事を話していると、いつも後ろの席を陣取っている佐藤が、律の斜め後ろの席に移動して来て律に話しかけてきた。


「足立、今日サークルの飲み会があるから来ないか?」


律は佐藤が好きではなかった。人を見て態度を変える奴で自分が少しでも相手よりも上だと感じると威張って自分を大きく見せるような奴だった。なぜか大学に入ってから、仲良くないのに何かと飲み会に誘ってくるのだ。


律は見目がよかった。彼は律が友達だったら周り特に女性が寄ってくるとでも思っているのかもしれない。そういう所も嫌いな理由だった。


「ごめん、今日バイトがあるから」


「お前いっつも、断るよな。たまには俺らと遊ぼうぜ。今日1年で一番可愛い近藤も来るし」


声を潜めて言っているが、いつ自分が近藤の事が好きだと言ったのだろうか?きっとこいつは近藤を狙っているのだろう。可愛いという理由で。付き合うことができれば、皆に自慢ができると。


「俺の家貧乏だから、バイトして少しでも大学の学費の足しにしたいんだ。だからゴメン」


嘘である。こうでも言わないとしつこいのだ。


「そっか。じゃあ、また何かあったら誘うわ」


誘うのをやめてくれ。そう心の中で呟いて、嘘笑いをすると、佐藤はいつもの席に戻っていった。

律は来週薬学の試験があるのを思い出して。


「成瀬、明日俺の家来て薬学の勉強しないか。わからない所教えてほしいんだけど」


成瀬は真面目な男だった。周りに流されず自分が興味のある事にはトコトン追及する男で周りを気にしない。そういうところが好ましく律は大学に入ってから成瀬と行動をする事が多かった。たまに空気が読めず周りをイラつかせることはあるが。


「明日はゲームの発売日だから駄目だ。明後日なら大丈夫だ」


「そっか。じゃあ明後日な。晩飯母さんに言っておくから食べて行けよ」

「オッケー」


講義が終わり、昼ご飯を食堂で食べる為に成瀬と移動していると外が少し騒がしいように感じたが、律はあまり気にせずに歩いているとなぜか走っている学生がチラホラいるのには気になった。室内にいる為外の声が聞こえにくかった。


「何かあったのか?」


成瀬に聞いても成瀬は今気づいたみたいで、何だろうと言っている。普段はバカ騒ぎしている人がいても気にならないが、今日はなぜか胸騒ぎがする。何が起こっているのか走って外に出たとたん、たくさんの人の叫び声であふれていた。


皆が何かから走って逃げているようだ。元をたどると、犬のような形だが真っ黒で大きく開いた口からは鋭い牙と涎が地面に垂れていた。体長は大きく、立つと2メートルはあるように見える。その犬のようなものは学生を追いかけては鋭い牙で噛んでいた。律は成瀬の腕を取り今きた道を戻って一旦講義室に逃げることにした。


講義室に入ると後ろと前のドアを閉め、カギを閉めてから律は声を張り上げた


「開いている窓を全部閉めろ!」


普段静かな律が声を張り上げた事によって講義室に残っている学生は何かとは思ったが、指示に従って急いで窓を閉めてから鍵を掛けた。


「足立君、どうしたの?」


吉田が体を律にくっつけて言った。律は成瀬に


「成瀬あれ、見たか?」


「いや、叫び声しか聞こえなかった」


「なんだよ、怖いこと言うなよ足立君」


山田が汗を拭きながら顔を強張らせて言った。律は犬のような物の事を講義室に残っている生徒に説明した。すると講義室のドアが


ドンドンドンドン


と乱暴に叩かれてはドアノブを回している。皆話を止め声を出さないようにしていると


「開けてくれ、化け物が来る。お願いだ」


一番近くにいた学生が律を見たので、律は開けるように促した。そして転がる様に学生が3人入ってきた。


律は彼らに化け物の事を聞くと1人が見たと言い、化け物に噛まれると人を襲うと言った。


「えっ?ゾンビになるのか?」


「いや、殴ったりしてたからゾンビではないと思う。わからないけど」


すると


「♪♪♪♪YMCA♪YMCA♪」




大音量で音楽が流れだした。


「何だ、誰か放送室で音楽をならしているのか?」


「わからない」


成瀬が壁に掛けてあるスピーカーを見るとスピーカの真下に小学生低学年くらいの女の子がいた。すごくゴリゴリのロリーター服を着ていて手には傘を持っている。


「もう、面倒くさいからまとめて発表しま~す」


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