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宜しくお願いします。
「撃て―――」
ババババババッ!
各々のゲーム画面を見ながら小倉 那智と足立 樹は2人でチームを組んでオンラインゲームをしていた。
「左75度、左下28度」
「了」
土曜日・日曜日と連日雨の為、那智は樹の家でゲームに明け暮れていた。外では雷の音がゴロゴロと鳴っている。
「那智、今日も泊まってく?母さんが聞いとけって」
「あ〜ライン見たら、母ちゃん帰ってくるって。晩飯作んないと」
二人はゲーム画面を見ながら話している。
那智は母子家庭で母親は某有名メーカーの自動車工場で働いている。夜勤がある時はマンションの隣に住んでいる樹の家に泊まることはよくあることだった。
「へーじゃぁ俺今日那智の家で晩飯食っていい?」
「了、何食いたい?」
「ハンバーグ!!」
「了」
那智は小さい頃から母親が仕事にいっている時は自分でご飯を作っていた為何でも作れるようになってしまった。そしてそのご飯はプロ並みである。
「俺も食べに行っていい?」
声のするほうに目を向けると足立 律が部屋のドアの前で顔を覗かせていた。2つ上の律は今年大学に入学し今バイトから帰ってきたところだった。
「了!律兄、あとで俺たちと対戦しようよ~」
「了!飯食べたあとなら大丈夫。それまでレポートしあげるわ」
律は笑いながら手を振って自分の部屋に行ってしまった。時計を見ると15時43分になっていたので、2人はきりがいいところまでゲームを進めて電源を切った。
「材料たぶん揃ってるから、飯作ってくる。出来たらラインするわ」
「へーい」
那智は樹の部屋を出てリビングにいる樹の母親に声を掛けた
「樹の母ちゃんお邪魔しました。樹と律兄俺んちで今日ご飯食べるって」
「はーい。那智君宜しくね~」
「はーい。また来まーす」
那智は家に帰ってから手を洗った後に手際よく晩御飯を作りだした。
今日の晩御飯は樹のリクエストのハンバーグ(デミグラス)とサラダとオニオンスープと白ご飯だ。
作り終わると母親の分のハンバーグとサラダは皿によそったあとにラップをして冷蔵庫に入れると、樹にラインをした。
「めっちゃいい匂い~」
樹と律はラインをいれると同時に入ってきた。樹は那智の家の合鍵を持っている。そして那智も樹の家の合鍵をもっているのだった。
「天気予報は明日晴れってなってるけど、雨止まないな。今すっげー光ったし」
「いやまじで怖かった。玄関出たとたん光ったから」
「へー、全然気づかなかった。もう出来たから食べよう」
那智はエプロンを外しそれを椅子の背もたれにかけてから座った。
「「「いただきます」」」
樹はまずハンバーグを一口食べると
「ん~これこれ~最っ高にうまい~~~」
「美味しそうに食べてくれるとこっちも作り甲斐があるってもんだよ」
「いや、本当にうまいよな~。将来は料理人か?」
「これは、ただの趣味みたいなものだからね」
最初の話題は料理の事だが、次第にゲームの話になり3人で今度はあそこを攻めようだとかそんな話になっていた。
ご飯を食べ終わった後皿洗いをしていると母親が帰ってきたので、ご飯を温めてテーブルに置いてから自分の部屋にいる樹と律の元に行っていると母親が、
「那智いつもありがとう~。樹君達泊まるならかってにしていいからね~」
「了解―」
そして、寝るまで3人でシューティングオンラインゲームをしてから樹と律は那智の部屋で寝た。