顔面偏差値
おはようこんにちはこんばんはsakanaです。3作品目のこの小説のタイトルは顔面偏差値。気にしたくなくても気にしてしまう時のあるものだと思います。ちなみに私はこの小説の主人公が最低すぎて書き終えた頃には嫌いになりました。読者には嫌われないことを願ってます。
私は好きなYouTuberがいる。彼の名はユウだ。彼はユウちゃんねると言う名前のチャンネルを運営している。彼の投稿スタイルはボイスのみだが彼の出す動画はすごく面白い。彼の声はすごくかっこいい。だからいつの日か顔を出してくれるのではないかと期待しながら見ている。声に合うかっこいい顔に違いない。私はイケメン好きだ。面食いだ。私の今まで付き合った人も告った人も皆イケメンだ。だからこのYouTuberも私が認めた声なのだから絶対イケメンだと思っていた。私は彼の声に恋をしていたのだ。
ユウさんは初めは体も見せず完全に声だけで出してたのだが、最近ちょくちょく首より下を出すようになってきた。私は今日もかっこいいと彼に向かって思いながら彼の動画を今日も開いた。動画を見終わった後私はある人を思い出した。同僚の男だ。そいつはどんなに盛って言っても決してイケメンとは言えない。本当にブスだ。私はイケメンにしか興味がない。なので私の同僚には興味がない。なので会社で会う度にお前のことは好きにならんと心の中で言っていた。
今日もユウさんが動画を投稿した。今日の動画も服が映ってる。私は服に見覚えがあると感じた。ただ気のせいだろうと流した。しかしこの気持ちを抱くのは一回だけではなかった。体を映す度にだった。私は知らないふりをした。
ユウさんの声に惹かれて今日も動画を開いた。今日はたまたま朝投稿だった。しかもライブだ。私はユウくんを朝から見れたとウキウキしながら通勤した。
会社に着くといつも通りブスな同僚が仕事をしてた。彼は毎日早くくるそこだけは尊敬できるところだ。彼の近くを通った時にどこかでこの服見たと思った。私は頭の引き出しを精一杯探り出して一つの信じたくない真実に行き着いた。通勤前に見たユウくんの動画で着ていた服だ。私はさらに記憶を掘り起こし。体が映る撮影の度に見たことあると思ってたことを思い出した。私は信じたくなかった。だってあんなにイケボな彼がこんなブスだとは思いたくない。だけどいくら記憶を探っても、ブスの同僚とどんどん繋がるだけだった。私はまだ希望があると思い、どうか違うと言ってくれと願いながら同僚に質問した。
『YouTuberのユウくん知ってる?』
彼は私にこう言った。
『もちろん知ってるよ』
もちろんに恐怖を抱き私はさらに質問した。
『彼の動画見てるの?』
彼は誰にも知られたくないと言うかのように小声で私に止めの一言を放った。
『だってあれは僕だもの』
私は信じたくなかった。だってブスは私の恋愛対象じゃないもの。ブスを選ぶのはブスの仕事だと思っていたからだ。すごくショックを受けた私はしばらくユウくんの動画を見れなくなった。
何日経ったかわからないくらいユウくんの動画を見ていないと、ユウくんが重大発表の動画を上げた。私は流石に興味を示し、気付いたら動画を再生していた。
動画を開くとユウくんは驚く姿で写ってた。顔を公開していた。顔がはっきり写ってた。彼の顔はやはりあの同僚だ。そして私が前に思ったことと同じようなことを他の視聴者も思ったらしく、コメント欄でブス、きもい、失望などの言葉を残していた。私はやはりどうしても彼への愛が止まず、好きの一心でコメント欄にこう書いた。
〝私はどんな顔だって貴方のことを愛してます‘’
私の恋愛のルールが崩れた瞬間だった。