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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第一章 夫婦の日常
8/25

夫 VS 妻 5

本日8話目です


子どもを『つくる』と言う不快な表現が有ります

私自身6年不妊治療を経験していますので、子どもは『授かる』と思っています


視点切り替え続きます


 何でそんな義務で子どもを作る()()()()()をいうのよ、か。みたいな事じゃなくて、子どもを作るなんて義務じゃなければやらないさ。

結婚は愛する人と家族を作る事とかも言ってたな。

「さっき香織は『愛する人と家族を作る』って言ったよね? 僕、香織に愛してるって言った事あったっけ? 好きだとも言った覚えはないんだけど」


 私は結婚前も、結婚してからも香織にそんな事を言った覚えはないんだけどな。

 そもそも私は、“私の唯一”以外に愛する(ひと)などいない。いないものは言えない。彼女が逝ってしまって以来、誰にも言った事はない。



▲▽▲▽▲


 武尊は何を言ったの?

「僕、香織に愛してるって言った事あったっけ? 好きだとも言った覚えはないんだけど」

聞こえてはいるけれど、内容が理解できなかった。


私たち恋愛結婚だったよね。

結婚しようって言ったのも武尊の方だよね。

抱き締めて『可愛い』って言ってくれたよね。


 混乱して何を言っていいのか解らない。

「な、んで……?えっ、? 花束と指輪持って、結婚しようって……。結婚してからも、私を抱く時には、可愛いって……ずっと香織の中に挿入(はい)っていたいって……」

「だから、愛してるも好きだも言ってないだろう? 僕は香織に嘘は吐きたくないからね」


 嘘は吐きたくないとか、何を誠実そうな事を言っているのだろう。

「私を愛しているからプロポーズしたんじゃないの? 愛してないなら何で私と結婚したの?」

あの優しかった武尊は全部嘘だったと言うの?


「香織の事を可愛いと思っているのは嘘じゃない。大切な妻だと思っているよ」

そう言いながら武尊は私の手を握って顔を覗き込んだ。



▼△▼△▼


 しまったな。思わず本音を言っちゃったよ。

もっとオブラートに包んで言うべきだったな。

「香織の事を可愛いと思っているのは嘘じゃない。大切な妻だと思っているよ」

そう言ってから香織の手を握りながら顔を覗き込んだ。

「結婚は日常生活だろう? 愛って必要なのかな。少なくとも僕の結婚生活に愛なんて不確定な物は必要ない。」


 この先も女を抱きたくなった時には香織を抱いただろう。身体の相性は良いのだから。

「結婚って共同生活だよね。嫌いな人とは暮らせないよ。香織は一緒にいて気が楽()()()し、結婚相手(パートナー)としては最高()()()よ」

こんな面倒な事を言い出さなければね。

見た目も好みだったし、私の生活に干渉してこなかった。

此のまま良い関係を続けたかったよ。



▲▽▲▽▲


 武尊の纏う空気がどんどん冷えていくのが解る。

「一緒にいて気が楽()()()し、結婚相手(パートナー)としては最高()()()よ」


 私は武尊に愛されてなんかいなかったんだ。

Sex付きの共同生活者、しかも今では只の共同生活者なのだ。

いや、過去形で話していると言う事はそれすらも無くなるのかも知れない。


 憮然としている私の手を握ったままの武尊が優しそうな声で聞いてきた。

「それで香織はどうしたいの? 離婚して『愛のある結婚』とやらの相手を探す?」

それとも、と冷たい声になって続けた。

「僕と此のまま、『愛のない結婚』を続けたい? 僕としてはどちらでも良いけどね。」


本日のみ一時間に1話投稿します

最終投稿は午前9時の予定です


1話が短いので纏めてお読みいただいても時間はかからないと思います。

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