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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第一章 夫婦の日常
7/25

夫VS妻 4

本日7話目です


子どもを『要る』『要らない』と言う不快な表現が有ります

子どもを物扱いしている訳ではありませんが、不快な思いをされる方も多い事も承知しております


視点変更有ります

香織→武尊→香織

 今、武尊は子どもが欲しく無いと言ったのか。

「香織だって避妊していたじゃないか。要らないのかと思っていたよ」


 確かに結婚当初はピルを飲んでいた。仕事が忙しい時期だったし、会社を辞めたくなかったから。

だけど思っていた以上に武尊は家事も出来るし、上司からも育休を取っても部署を変わらなくていいと言って貰えた。



 そもそも女性が子どもを産むのはタイムリミットがある。私にはもうあまり時間は残されていないのだ。

「私ももうすぐ36歳だし、ヒナに聞いたら武尊の職場で男の人も育休を取っているみたいだから。私の上司も育休取ってもいいって」


 どうして私の方が言い訳をしているんだろう。

怒っているのは私の方だった筈だよね。

「うちの両親もそろそろ孫の顔を見たいって言ってるの。武尊のご両親だって……」

そう言いながら武尊の顔を見たが、その先を続ける事はできなかった。

 さっき迄は優しそうな顔をしていた武尊の表情が一変したからだ。

「うちの親はそんな事は言ってない筈だけど?」



▼△▼△▼


 自分が仕事を辞めるのが嫌で避妊してた癖に、抱いて欲しい言い訳に子どもが欲しいだなんて無様だな。

「武尊の職場で男の人も育休を取っているみたいだから」

 私の育休を当てにしているのか? 勝手な事ばっかりいってるな。

仕事を休みたくないのは自分だけだと思うなよ。何で私が育児休暇を取らないといけないんだ。


 両親が孫の顔が見たいだって? 人の所為にするなよな。

「うちの親はそんな事は言ってない筈だけど?」

思ったより冷たい声が出てしまった。

「うちは兄夫婦に3人も子どもがいるし、昨年結婚した妹ももうすぐ出産予定だからね。僕の子供なんて必要ないのさ」


 香織は驚いた顔で何か言おうとしているが無視して続けた。

「子どもが欲しいのなら、基礎体温表くらいつけなよね。排卵日には協力するよ。但し僕は別に子ども何て欲しくは無いから、育休は取らないよ」


 言外に排卵日だけは義務で抱くよ、子育てには協力しないよと言った。此れで諦めてくれれば良いのだが。

妊婦が家に居るなんて考えただけでも寒気がする。



▲▽▲▽▲


 確かに武尊の両親からは子どもを催促されたことはない。でも義妹の美和(みわ)ちゃんが妊娠中だなんて聞いていない。

 驚いて聞き返そうとしたのに、武尊は続けた。

「子どもが欲しいのなら、基礎体温表くらいつけなよね。排卵日には協力するよ。但し僕は別に子ども何て欲しく無いから、育休は取らないよ」


 排卵日だけは()()で抱くって事?

育児は手伝わないので、勝手に産んで勝手に育てろって事よね。


 少しだけ冷静になっていた頭が、また沸騰してきた。

「ふざけないでよっ! 何でそんな義務で子どもを作るみたいな事をいうのよ!」

私は愛する人と家族を作るって言ったのに、何で武尊は義務みたいにいうのよ。



 真っ赤になって叫ぶ妻に武尊は冷静に答えた。

「さっき香織は『愛する人と家族を作る』って言ったよね? 僕、香織に愛してるって言った事あったっけ? 好きだとも言った覚えはないんだけど」


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