夫VS妻 3
本日6話目です
かなり切り替え多いです
香織→武尊→香織→武尊→香織
こんな時まで武尊は冷静に話すのね。
「だいたい香織だって昨夜もしてたじゃないか」
え、武尊は今何て言ったの?
昨夜もと言ったわよね? 何時もひとりでシテいる事を知っていたの?
知っているのに知らない振りをしていたの?
羞恥と怒りで頭がグラグラしてきた。
「何でっ! 何で知ってて知らない振りをしてたの!? 浅ましい女だって笑ってたの!? 気付いてて、何で抱いてくれなかったのっ!」
言いながら涙が溢れてきた。涙と鼻水でとんでもない顔になっているだろう。
▼△▼△▼
あぁ、本当に面倒くさいな。余計な一言を言ってしまったばっかりに怒らせてしまった。
いや、風呂場で見られたのが不味かったんだよな。
「気付いてて、何で抱いてくれなかったのっ!」
ひとりで抜く方が楽だから、何て言ったら絶対に怒るだろうな。何て言って誤魔化そうか。
「笑うなんてとんでもない。それより香織は僕に抱かれたかったの? そんな事は言ったことなかったじゃないか」
香織にティッシュの箱を差し出しながら言った。
「何で抱いてくれなかったのって言われても、そもそも香織は抱いて欲しいなんて言ったことないよね。結婚するときに言ったよね。お互いにして欲しい事があればその都度伝えるって」
まぁ、気が付いていたけど、面倒なので気付かない振りをしていたんだけどね。
そう心の中で呟いた。
▲▽▲▽▲
武尊が物凄く優しそうな顔をしている。
彼がこんな顔をする時は話を誤魔化そうとしている時だよね。
「香織は僕に抱かれたかったの?そんな事は言ったことなかったじゃないか。」
え?何ですって?
「結婚するときに言ったよね。お互いにして欲しい事があればその都度伝えるって。」
差し出されたティッシュの箱を叩き落として叫んでしまった。
「私は抱いて欲しいって言わなきゃ抱いて貰えないの!?私はお願いしないと抱いて貰えない程つまらない女なのっ!?」
なんで、なんで?なんでっ!?
武尊にとって私は女としての価値は無いの!?
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全く面倒くさい事この上ない。やっぱり結婚なんかしなければ良かったかな。
「逆に聞くけど、何で抱かなければいけないんだ?香織だって自分でしてるんだし、お互い様だろ。それとも結婚したらSexは義務なのかい?」
ティッシュの箱を拾ってテーブルの上に置いた。
「僕は超能力者者じゃあ無いからね。して欲しい事、して欲しく無い事はきちんと伝える約束だったよね」
私は言われてもいない事をする程親切ではない。
其処までして結婚を維持する気もない。
結婚相手が香織である必要もない。相手何て誰でもいいのだ。
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今まで私は武尊の何を見ていたのだろうか。
「逆に何で抱かなければいけないんだ?」
「結婚したらSexは義務なのかい?」
これが彼の本音なのだろう。武尊はこんな男だったのか。
ティッシュで鼻水を拭いてごみ箱に棄てる。
少し頭が冷えてきた。
「愛する男に抱かれたいと思うのは当たり前じゃないの?武尊は私を抱きたいとは思わないの?」
勿論、肉欲もある。だけど何より私は武尊の子どもが欲しかった。
「武尊にとって結婚って何なの?愛する人と家族を作る事じゃあないの?」
好きな男のDNAを残したいと思うのは女の本能なのだ。
「結婚って夫と、子どもと、家族になることじゃないの?」
結婚は家族を作る事じゃないのか、そう言った私に武尊は躊躇なく答えた。
「僕は子どもが欲しいと思った事は無いな。香織だって避妊していたじゃないか。要らないのかと思っていたよ」
本日はあと4話投稿します
9時に本日分の最終話を投稿します