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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第一章 夫婦の日常
5/25

夫VS妻 2

本日5話目です


香織→武尊→香織→武尊と視点切り替え有ります


 風呂から上がると、晩御飯の用意が出来ていた。

「時間がなかったからパスタにしたよ」

そう言いながらもサラダとスープも並べてある。

「何で平気な顔をしているの?」

私はこんなに傷ついているのに、何で武尊(たける)は平気な顔をして晩御飯の仕度なんかしているのだろう。

「うん、その話は食べた後にしてくれ。明日も仕事だろう? 取り敢えず食べてからにしよう。」


 武尊のこういう冷静な所が好きだった。だけど今はそれが余計に腹立たしい。

「逃げないよ。食べたらちゃんと話をするから」

そう促されて席に着いた。

相変わらず武尊の作るご飯は美味しい。多分私より料理は上手だ。

こんな時にも食べられる自分の図太さに呆れながらも完食してしまった。



▼△▼△▼


 香織(かおり)が風呂から上がってきた。

泣いていたらしく眼は真っ赤だった。

「何で平気な顔をしているの?」

感情的に言われたので内心うんざりしたが、悪いのは私なので(つと)めて冷静に対応した。

「うん、その話は食べた後にしてくれ。明日も仕事だろう? 取り敢えず食べてからにしよう」


 不満げな顔で睨んできたが無視して続けた。

「逃げないよ。食べたらちゃんと話をするから」

そう言いながら香織の席の椅子を引いた。


 香織は怒りながらも黙々と食事をして完食した。

彼女のこういう所に好感を持ったのだった。食事をする動作もきれいで、残さず食べてくれる。

一緒に生活するのなら、美味しく食事が出来る人が良い。


 食器の汚れを軽く拭き取って食洗機に入れた。

料理は洗い物をして食器を片付けるまでが料理だ。


食洗機が止まるまでの間に話をする事にした。

「さっきは締め出してごめんね。扉が開いていたら寒かったからね」

そう言って話を切り出した。



▲▽▲▽▲


 食事が終わって食器を下げていたら、武尊が汚れを拭き取りながら食洗機に入れてくれた。

包丁や鍋もすでに片付けられていてコンロ周りも拭いてあった。

武尊のこういう所が凄いと思う。同居人としては完璧なのだ。


 武尊は食洗機のスイッチを入れて、リビングのソファーに腰掛けてから話し始めた。

「さっきは締め出してごめんね。扉が開いていたら寒かったからね」

この(ひと)は一体何を言っているのだろう。謝るのは其処(そこ)なのか。

「其処じゃないでしょう? 何でバスルームであんなことしてたのよ!」



▼△▼△▼


 私は冷静に話し合いをしたいのに、やはり香織は怒りだした。

「其処じゃないでしょう? 何でバスルームであんな事をしてたのよ!」

「何でって、風呂だと後始末が楽だからね。ティッシュとか棄てるのが面倒だし、匂うだろ。風呂だと流すだけでいいからね」


 当たり前の事を答えたつもりだったのだが香織は逆上した。

「はぐらかさないでよっ! そんな事を聞いてるんじゃないでしょ! 何であんな事をしてたのかって聞いてるのっ!」

「何をそんなに怒っているのか理解できないな。あんな事って只の排泄行為だろ? 溜まったから射精()しただけだよ。だいたい香織だって昨夜もしてたじゃないか」


 最後の一言は余計だったなと思った時には遅かった。

香織の顔色が一瞬で変わった。


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