夫の日常 2
本日3話目です
宜しくお願いいたします
杉下武尊は最近帰宅するのが憂鬱だ。
妻の香織が欲求不満を溜めているのが解っているからだ。
この結婚に不満はない。家事の分担も苦にはならないし、独り暮らしの時に比べれば楽になった方だと思う。
自分は特に結婚したかった訳ではない。両親や職場の上司からの煩わしい『結婚はまだか』攻撃から逃れられれば誰でも大差ないと思っていた。
香織とは同僚の八代比奈子から紹介されて付き合い始めた。香織も家族から結婚について煩く言われてうんざりしていたらしい。
容姿も程々に良く、性格もさっぱりしている所に好感が持てた。
特に恋愛感情はなかったが、嫌悪感もなかった。
一緒にいても気を使わなくてよい所は心地好かった。
何度目かのデートで流れでホテルに行った。
男としての欲望はあったので自然な事だった。
身体の相性も良かった。自分の下で何度も果てる香織を可愛いと思った。
家族も香織に対しては好意的だったので、知り合って一年目に結婚した。
最初の二年は特に問題なく過ごした。
ただ、徐々に夫婦生活を減らしていった事に香織が不満を持っているのは解っている。
他に女が出来た訳ではないし、香織に不満がある訳でもない。只々面倒くさかっただけだ。
欲望はあるが、自分で抜く方が楽だった。
風呂に入った時に自分で処理すればそれで良かったからだ。
私が寝たあとで香織が自分で慰めている事も気が付いている。時折、誘っているのだろうなという時もあるが、気が付かない振りをしている。
自分で脱いでくれて、足を開いていてくれれば、挿入れるだけなので楽なのだが。
もしくは自分で上に乗って勝手に腰を振ってくれれば付き合ってもよいが、自分の方から妻にそれを要求する様な鬼畜ではないつもりだ。
20代の頃は其処に至る手順も楽しかった。解して啼かせる行程で興奮したものだ。
結婚して当たり前に妻が抱けるのだと考えると、自分がイクだけでいいやと思ってしまう。
小夜子は論外だが、もしかしたら外の女なら抱きたいと思えるのかも知れない。
だが、浮気してまで女を抱くぐらいなら妻を抱くだろう。香織に女としての不満はないのだから。
帰宅する足は重かったが、家の近くに差し掛かった時に薄明かりの中に桜の花が浮かび上がった。
足を止めて見とれていたら、桜の樹の根元に少女の幻が見えた。
あれは私が愛した少女だ。私の唯一だ。
気が付けば下半身に熱が溜まっていた。
少女を滅茶苦茶にして欲を吐き出したいと思った。
急いで帰宅して、風呂にお湯を張っている間に服を脱ぐ事さえもどかしかった。
少しでも早く欲を吐き出したい。それしか頭になく、玄関の開く音に全く気が付かなかった。
先走りでぬるぬるのソレに手を充てたところで風呂場の扉が開いた。
振り向くと、其処には妻が茫然とした顔で立っていた。
夢中になっていて妻が帰宅した事に気が付かなかったのだ。
本日分は9時に投稿終了の予定です
1話が短いですので纏めて読んでいただいても時間はかからないと思います