人の振り見て
サブタイトル変更しました
朝食を食べ終わって後片付けをしている香織に武尊がリビングから声をかけた。
「今日は何か予定はある?」
「うーん、特に急ぎの用事は無いわね」
香織としては武尊を抱き潰す予定なのだが、それは口には出せない。
「武尊は何処かに出掛けるの?」
食器を棚に戻し終えた香織はリビングに移動してテレビのチャンネルを変えながら訊ねる。
「いいや、私も特に予定は無いんだ。――…それで香織に予定が無ければ昨日の話の続きを……茉莉の話を聴いて欲しい」
まさか武尊の方から話を振ってくるとは思ってもいなかったから大変驚いた香織だが、武尊が何故あんなにも妊婦を忌避するのかを知りたかったので慌てて武尊の横に腰掛けた。
直ぐにでも問い質したかったのだが、『信頼を得る』事が当面の課題であると思い直して武尊が話し始めるのを待った。
武尊は膝の上で両手の指を忙しなく動かしながら考えを纏め様としている。
「武尊、辛いようだったら無理に話そうとしなくても、、「否、大丈夫だ」」
香織の話を遮った武尊は、何かを決意したかの様に膝の上で両手を固く握った。
「私は大丈夫だ。只、香織に取って不愉快な話になるので、どう言えば良いのか悩んでいたんだ」
そうか、武尊は私に嫌われたくはないんだ、香織はそう思って何故かほっとした。
「私の事は気にせずに武尊の思ったままを話してくれれば良いのよ」
そう言って武尊の膝の上の手にそっと自分の手を重ねて、安心させる様に微笑みながら話を促した。
武尊は小学校の入学式で桜の樹の下に立つ茉莉を初めて見た日の事からポツポツと話し始めた。
「私が初めて茉莉に、ああ彼女の名前は月元茉莉といって私と同じ歳だった――…」
大学で再会した時の事まで話して武尊は言葉に詰まった。
「……茉莉との初体験の話は……聴きたくは、無い、よ…な?」
「うーん、どうかなぁ。武尊が話したくないのなら聴かないけど、何方でも構わないわよ」
そう答えたのだが武尊の話を此処まで聴いて、香織は既に内心ではドン引きしていた。
『小学校の入学式で一目惚れして、告白も出来ずに12年間片想いしてたの?しかも中学からの6年間は逢ってもいないのに妄想の彼女をオカズにしてたって…――あ、』
そこまで考えて、武尊の話を我が身に置き換えた香織は自分の異常さを再確認して自嘲してしまう。
『逢ってもいないのにって其れは私も一緒よね。十年以上逢ってもいない、年賀状と数年に一度メールするだけの貴男の事を想いながら他の男に抱かれているのだから』
考え込んでいる妻の様子を窺いながらも武尊は話を続けた。
「二人とも初めて同士で、はっきり言って情けないSEXだったよ。だけど幸せだった。だからあんな事を言ってしまったんだ」
膝の上で握り締めている両手の拳を震わせ虚ろな目をして独り言の様に続ける。
「『茉莉さんが初めてで嬉しい、もう誰にも渡したくない』と言ったんだ」
「香織は昨日の夜『武尊が『唯一』とか言って押し付けていたから、他の男に抱かれてしまった自分を許せなかったんじゃないのか』って言ったよね」
「その通りかも知れない。私のあの時の言葉が茉莉にとって呪縛になっていたのかも――…」
終わらない
8月中に終わらせるつもりだったのに終わりそうにない
薫ちゃん復帰祝いのコンサート迄にはR18版も終わらせたいのに(ToT)
※洗脳はちょっと違うかな、と思って第三章改稿しています




