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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第三章 歩み寄り
20/25

違う、ちがう、チガウ

R18版に合わせて改稿した物と差し替えています

 自分でも解っている、此れは只の八つ当たりだ。

だけど其れでも“自分が世界で一番不幸です”みたいな顔をしている武尊はどうしても許せない。

 何時も取り澄ましているその顔を絶望でぐちゃぐちゃに歪ませてやりたい。

「さっき武尊は言ってたわよね。『誰に何を言われても会いに行けば良かった』って。『土下座してでも愛を乞えば良かった』とも言ってたわよね」


 武尊は相変わらず私の顔を睨んでいる。

ふふふ、そんな顔をしていられるのも今の内よ。

「武尊は自分が会いに行けば、自分が愛を乞えば彼女は自殺しなかったって思っているのよね。それを彼女の家族の前でも言ったの?」


 武尊は何か反論しようとして口を開きかけたけど、何も言わずに口を閉じたまま考え込んでいる。私が何を言いたいのか解らないって感じかしらね。

「大切に育てた娘を亡くしてしまったばかりの御両親に『自分が側にいれば死ななかったのに』と、それと『お前たちでは何の役にも立たなかった』って言ったのと同じよ?」


 私が何を言いたいのかやっと理解した武尊の顔色はざっと青ざめた。

「えっ、、何を、私はそんな事は―……」

武尊は(かぶり)を振りながら何か言い返そうとしている。


 未だまだこれからが本番、絶対に泣かせてやる。

「そもそも彼女が自殺したのだって本当は武尊の所為じゃないの? ああ、『私が殺した』んだったわね、何だちゃんと理解(わか)ってるじゃない」


 そう、その顔が見たかったのよ。後悔で絶望している顔よね。

「何だったっけ? 『唯一』で『最愛』だったっけ、彼女にもそれを押し付けていたんでしょう? それで他の男の子どもかもって云う事はレイプでもされたのかしらね。武尊が『唯一』とか言って押し付けていたから、マリ?さんは他の男に抱かれてしまった自分を許せなかったんじゃないの?」


 彼女が自殺したのは貴男の所為よ、それに気が付いていなかったの? 私が言いたい事がやっと理解できたみたいね。

「そんなっ、そんな事はっ!!」



▼△▼△▼


 私が茉莉の両親に『自分が側にいれば死ななかったのに』と、『お前たちでは何の役にも立たなかった』って言ったも同然……?

 茉莉が私に会うことを拒否したのは、他の男に汚された事を私が許さないと思ったから?


 嘘だ、そんな筈はない。


 だけど、あの時私は茉莉の両親に何て言った?

『こんな事になるなら、誰に反対されても会いに来れば良かった』

違う! 私は面会を断られた事を非難したんじゃない


『就職したら、何て言わずに直ぐにでも結婚すれば良かった』

違うっ! 家族じゃなくて自分が側に居たら茉莉は死ななかったと言ったんじゃない……


 初めて結ばれた時に私は茉莉に何を言った?

『茉莉さんが初めてで嬉しい。もう誰にも渡したくない』

違う、違うっ! 誰にも渡したくないと言ったのは、他の男に触らせたくないと何時も言っていたのは、茉莉が大切で誰にも取られたくなかったから。

汚れた茉莉を許せないと言ったんじゃないんだ……


 違うんだ、そういう意味じゃなかったんだ。

違う、ちがう、チガウ……

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