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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第一章 夫婦の日常
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妻の日常 1

相変わらず場面転換が苦手なのと、自分が画面をスクロールするのが嫌いなので1話が短いです

 杉下香織(かおり)は最近少し焦っていた。

結婚してもうすぐ4年目に入るのだが、子どもはいない。年齢もあと二週間で36歳になる。


 昨日も又、会社で係長にセクハラ紛いの厭味を言われた。尤も彼には厭味を言った自覚はないのだろう。

『高齢出産はリスクが大きいだろう。少しでも早い方が良いと思うんだが、どうだね』


 子どもなど出来る筈はない、何故ならここ一年以上レスなのだから。

『いや、結婚当初から週一()()()いい方だったわよね……』

自虐的な笑いが込み上げてくる。

週一が月一になり、そのうちに記念日のイベントのオマケみたいなベッドインすらなくなった。


 香織と武尊(たける)は知人の紹介で付き合い始めた。

香織の大学からの友だちである八代(やしろ)比奈子(ひなこ)が同僚である武尊を紹介してくれた。

親からの『結婚はまだか』攻撃が面倒になっている者同士を引き合わせたのだ。


 武尊の第一印象は“誠実そうな(ひと)”だった。

数回目のデートで、ホテルに行ったが、想像していたのと違って手慣れていたので驚いた。

過去の男が屑に思えるほど丁寧に解され、何度も絶頂を迎えた。


 その後プロポーズされて、出会ってから一年で結婚した。

顔こそ飛び抜けて良いわけではないが、スタイルもセンスも良く、高学歴で中堅企業にお勤め、紹介してくれたヒナに拠ると会社での人望もあるらしい。

香織よりひとつ年下なのだが、両親に言わせると香織は『当たりくじを引いた』らしい。


 夫婦仲が悪いわけではない。私の仕事も理解してくれているし、炊事や掃除もきちんとやってくれる。

「家事を()()()っていう言い方嫌いだから。二人で協力してやろうな」

結婚前にそう言っていた通りに、当たり前の様に家事をしてくれる。


 この結婚に不満が有るとすれば、『セックスレス』という点の只ひとつだけだ。

切っ掛けがあったわけではない。何となく回数が減っていき、気がつけば一年以上のレス。


 最初の頃は浮気を疑ったが、金銭の流れに不明瞭な所はないし休みの日に一人で出かけることもないので、浮気ではないだろう。

 彼を紹介してくれたヒナの話では最近チョッカイをかけようとする泥棒猫が武尊の周りをウロチョロしているらしいが、武尊は歯牙にもかけていないそうだ。


 それとなく雰囲気をつくってみても、優しく抱き締めて頭を撫でてくれるだけ。

同じベッドで寝てはいるがそれ以上は何もない。

欲求不満で武尊が寝たあとでコッソリ自分で慰めているのが惨めだ。


 いっそ目の前で堂々と自慰をしてやろうかしら。どんな反応をするかしらね。

そう思っていても実行は出来なくて此処(ここ)三ヶ月近く悶々としている。


 クリスマスにシャンパンを飲んだあと少し良い雰囲気になったのだが、風呂から上がると武尊は既に寝ていた。

バレンタインは武尊の体調が悪くてそんな雰囲気にすらならなかった。


 駅に向かう途中に有るお宅の桜がとても綺麗に咲いていた。

『ソメイヨシノ』じゃあないからね、と武尊は言っていたが違いがよく判らない。

それでも桜の花を見るとテンションが上がるのは日本人のDNAだろうか?

『今日こそは武尊を襲ってやる』そう考えながら駅に急いだ。


本日だけ一時間に1話投稿します

本日分は9時に投稿終了の予定です


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