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櫻の樹の下に埋まっているのは  作者: 朝倉メイ
第三章 歩み寄り
17/25

夫を泣かせたい妻

自殺者を冒涜する台詞が有ります


読み飛ばしても話の流れは変わりません

内容は、香織が武尊を泣かせる為に甚振る話です

 武尊が目の前で涙を流している、そんな事に愉悦を覚える私だから()()()も好きになってくれなかったんでしょうね。まあ、私の感傷何て今はどうでもいいわね。

 明日は休みなんだし、もう少し武尊を甚振って泣かせる事にしましょうか。


 ソファーに(うずくま)っている武尊の前に(ひざまず)き、その手を取って顔を覗き込みながらゆっくりと、できる限り優しく囁くように言った。

「武尊とマリ?とかいう(ひと)の間で何が或ったのかは知らないわ。だけど武尊は本当に幸せ者よね?」


 幸せ、と言う私の言葉に武尊の肩は大きく揺れた。

「幸せっ! 愛する、唯一の、最愛の(ひと)(うしな)った私が幸せだって!? お前に何が解るって言うんだ!」

うふふ、武尊が私の事を『お前』ですって。完全に仮面が剥がれているわよ?


 だけど、未だまだ()れからよ。

「解らないわよ、他人(ひと)の心なんて解るわけないじゃない。じゃあ、武尊は私の気持ちが解るって言うの? 自分が世界一不幸な人間だって思っているんでしょうけど、私からしたら武尊は幸せにしか思えないわよ」

 

 武尊が私を凄い目で睨み付けているけど、そんな顔も良いわね。何時もの取り澄ました顔じゃなく、もっと色んな顔を見せて頂戴ね?

「可哀想なのは家族を亡くしたマリ?さんの家族だけよ。自殺したのならマリ?さんも加害者よね、『自分』を『殺し』たのだから」

「いい加減にしろよっ! 茉莉が加害者だって!?何も知らないくせにっ、勝手な事を言うなっ!!」


 私の手を振り払い、膝の上で拳をきつく握って震わせている。

武尊と知り合ってから4年以上経っているが、こんなに感情を露にするのを見るのは初めてだわ。

 でも、もっと、もっとよ。もっと怒って、もっと泣いて頂戴。

私が貴方の殻を全部壊してあげるから、丸裸の傷だらけの心を曝してね?


 怒りで真っ赤な顔をして震えている武尊の前から立ち上がって、少し距離を取る為に後ろに下がった。

武尊は暴力を振るう男ではないけれども、怒りで我を忘れる事も考慮した方が良いからね。

「何があったとしても、自殺するなんて卑怯よ。生きているのが辛いから逃げたんでしょう? 武尊が悲しんでいるのは、そんな辛い思いをしていたマリ?さんを助けられなかった自分の無力さを誤魔化す為でしょう?」


 自分は世界一不幸だなんて、そんな安っぽい自己愛に浸らせてやらない。

もっと突き落として、ぐちゃぐちゃに泣かせて、後は這い上がるしかない所までドン底に落としてあげる。

「マリ?さんが自殺するくらい辛い思いをしていた時に武尊はちゃんと寄り添わなかったって事でしょう? マリ?さんを助けようとしなかったという事でしょう? 家族といるから安心していたの? その程度でよく『唯一』とか『最愛』とか言えるわね。ああ、だから『私が殺した』って言っていたのね、ちゃんと解ってるじゃないの。なのに自分は不幸ですって顔をするのね」

「なっ……!」


 私の安い挑発に乗ったわね。さあ、反論してね?



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