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1 酷暑でも通うは学校

今日は一段と暑い。肌を焼くような鋭い日差しを遮るものは少なくて、気持ち程度に電柱の影を利用しながら足早に歩く。

隣に視線を移すと、そこに彼女の姿はなくて、私の少し後ろをへばった様子でついてきていた。あついよぉ、アイスをおくれぇ、と言葉を吐き出す彼女を横目に、さっきまでと変わらないスピードで足を動かす。

「ちょ、ちょっとは待ってよぉ、薄情者ぉ」

「あと少しで着くんだから我慢しなよ」

暑いのはこっちも同じ。今日は風もろくに吹いていなくて余計に暑く感じられる。

後方では、さっきよりも一層減速して、カタツムリくらいの歩行速度になった彼女が大声で文句を垂らしている。

立ってるだけで体力が奪われるほどなのに、よくもまぁそんなに大きな声が出せることで。

朝のチャイムが鳴るまで、あと五分。

「そもそもコノハが寝坊したのが悪いんでしょ」

元はと言えば、後方を歩く彼女、コノハがベッドにしがみついて限界まで粘ったからこんな時間になったのだ。

私の発言がクリーンヒットしたようで、彼女は文句を口に出すことを諦めて、小走りで私の隣についた。


最近は、大きな雨粒がコンクリートを強く叩く日も多くて、今日みたいな快晴はそんな日よりはマシなのかなとは思うことがある。でも、やっぱり暑いのも暑いので別の辛さがある。共通しているのは、どちらの天気であっても気が滅入るということだ。


結局、私たちが教室の扉を開けたのはチャイムの鳴る一分前で、そこでは既に席に座った三人の生徒が雑談をしていた。それから直ぐに、教師が扉を開ける音がして、それからしばらく経ってもう一人が息を切らしながら教室に入ってきた。

これですべての生徒が揃った。全校生徒六人。年齢は様々。私たち二人と、まだ到着していない男子一人が最年長の十五歳で、一番下の子は七歳にもなる。大都市に住む人からすると、人数が少ないように感じるかもしれないが、どこかもわからないような辺境に位置する小さな村にしては、まだ生徒が多い方であるように思う。

ここの学校では、三人の大人が手分けをして六人の生徒に様々な教科を教えてくれている。この時代、もう勉強なんていらないようにも思えるが、ありがたい話だ。


そうだ。この時代と言ったが、この機会に現在の三十一世紀にいたるまでの歴史を少し復習しようかと思う。今回のテスト範囲にも入っているしね。

読んでくださり、ありがとうございました。

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