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平宰相〜北条嫡男物語〜  作者: 小山田小太郎
西堂丸の巻(1543年~)
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士官養成学校

 早雲寺は臨済宗大徳寺派に属し、北条家の菩提寺として建立されている。


 小田原から一刻(約二時間)程で目的の早雲寺に到着した。忠貞と共に書院に通されると高齢の僧侶が待っていた。開山の以天宗清である。


「西堂丸様、お初にお目にかかります。住職の以天宗清と申します。こちらでは氏康殿や綱成殿も共に学んでおりました。その縁で北条家の子弟の方々が大勢学んでおります。」


 学問の内容は足利学校を模範として四書五経に始まり、武経七書を学ぶようだ。教養の内容は和歌や漢詩に始まり、絵画・音楽や宮中作法の有識故実もある。こればかりは夢の経験も役に立たない。これから学んでいこう。寺には農政学や医学書といった多くの専門書も集められている。夢の知識を用いる際にこれらの蔵書の知識として誤魔化すのに役立つだろう。


 学問の話題で驚いていると忠貞が笑いながら付け加える。


「座学ばかりではありませんよ。弓や刀、槍といった武術、馬術・水練・砲術等も学ばなければなりません。弓術と馬術を合わせた弓馬術では流鏑馬という娯楽もあります。競い合っている内に上達することでしょう。」


 話を聞いてる内にさらっと聞き逃してしまうところであった。砲術って何?鉄砲があるの?慌てて問い質す。


「砲術とは鉄砲のことか?当家には既に鉄砲があるのか?」


 忠貞が目を見開いて驚いたように見えたが、すぐに表情を戻し、落ち着いて答えてくれる。


「砲術とは火薬の使い方です。瀬戸内や畿内の海賊衆が使う焙烙玉という武器があります。根来金石斎こと大藤信基様がご教授下さることでしょう。当家に鉄砲はまだありませんが、機密に関わることゆえ御内密にお願いします。」


「そろそろ学問の時間が終わる刻限です。西堂丸様が来られると知らせておりますので、皆が心待ちにしているでしょう。」


 和尚に促されて本堂に向かうことになった。本堂には30名程の子供達が勢揃いしている。年齢も入門したての6歳から元服直前も幅広い。早速顔合わせとなった。


 一門衆からは北条幻庵の子で長順と綱成の子で氏繁。


 御家門からは小笠原康広と大和晴統。御家門衆は元幕臣で早雲公の同僚の家系。有識故実を司る家で、畿内との関係も深い。


 譜代衆からは大道寺政繁と荒川国清、有竹又太郎、荒木右衛門尉。物語等で有名な御由緒六家の者達だ。


 国人衆からは遠山政景、富永政辰、笠原康勝・康明兄弟、清水康秀、大藤政信、諏訪部定勝、江川栄吉、狩野泰光など全員が北条家の次代を担う若者達で士官候補生だ。共に学び切磋琢磨している。


 嫡男という立場に甘んじる事無く、認めて貰える存在にならなければと決意を新たにした。


登場人物

以天宗清(1472-1552)早雲寺の開山。


今回は多くの人物が登場しましたが、今のところモブ扱いなので割愛します。ご了承下さい。後で登場する予定の人物も多く入っております。

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― 新着の感想 ―
[一言] 富永政辰は、史実では政直の孫だった筈・・・。 史実では第二次国府台の戦いで討ち死にした、富永直勝(康景。政直の子)は何処へ行ったのでしょうか?
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