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平宰相〜北条嫡男物語〜  作者: 小山田小太郎
西堂丸の巻(1543年~)
15/117

報告会

「西堂丸!無事でしたか!?怪我はありませんか?寂しい思いをしたのではありませんか?行ったきり手紙も無いので母はそれはもう心配で心配で。」


 屋敷に戻ると母上が門の側まで出てきており、立て続けに言葉をかけてきた。二泊三日で手紙はないと思うが、かなり心配させてしまったようだ。


「母上、ただいま戻りました。綱房達が周りを固めてくれたので、道中不安なこともありませんでした。」


 旅装を解いて寛いでいると、夕餉の時間となった。


「母は西堂丸が泣いている姿を夢に見たのじゃ。早雲寺では辛いことは無かったか?誰ぞ意地悪をする者もおったのではないか?」


 この三日間、母上は西堂丸の心配をしていて父上に辛く当たっていたらしい。母上に顧みられず父上は拗ねていたそうだ。


「母上、ご心配ありません。私と年の変わらぬ者達も大勢おりました。私も皆に混じって武芸の手解きも受けたのです。」


「まだ、幼いというのになんと恐ろしいことじゃ。叩かれたり足蹴にされたりしてはおらぬか?」


 えーと、これは何を言っても安心させられないやつだな。うん、楽しかったことだけ伝えておこう。


 全員が揃った家族団欒に心が温かくなった。



 side島津忠貞


 御本城様のお部屋に通された。先程まで綱房と大学助が西堂丸様の生活の様子を報告していたようで、室内は和やかな雰囲気だ。西堂丸様を褒められて御本城様もご機嫌な様子である。しかし他言できない報告をしなくてはならない。


「御本城様、人払いをお願いできますか?西堂丸様に関わる大事なお話があります。」


「何事だ?人払いをせねばならぬ程の大事か?綱房、大学助、席を外せ。」


 2人が退出するのを待って切り出す。


「先日、西堂丸様の枕元に八幡大菩薩様が現れたそうでございます。菩薩様は民を憂う西堂丸様の気持ちにお応えになり、様々な知識をお授けになったそうです。」


 一旦言葉を切り、御本城様の様子を伺う。夢の内容を八幡大菩薩の御加護として御本城様に報告することを西堂丸様には伝えてある。御本城様は真剣な表情になり、「続けよ」と言われた。


「西堂丸様は本当に御加護なのか、まやかしの類いなのか悩んでおいででした。(わたくし)は一つずつ試してみては如何ですかと申し上げました。有用であれば拡げれば良いし、害があれば辞めれば良いと思ったのです。」


「俄かには信じられぬ話だが、授かった知識とはどのようなものなのだ?」


 御家存亡に関することは伝えず、農業、工芸に関することを中心にお伝えした。


「そのような事があったのか。子の変化に気付かないとは親として恥ずかしいな。西堂丸のことは其方に任せるのが良いかもしれぬな。正式に西堂丸の傅役となってもらいたい。」


「承りました。身命を賭してお仕え致します。」


「他にも人を付けねばならぬな。忠貞は推挙したい者はあるか?嫡男であるが故に譜代の者からも選ばねば家中の収まりがつかぬ。」


「それならば、家督を譲り隠居した者を呼び出しては如何でしょうか?」


 御本城様は暫く思案してから含み笑いを浮かべた。


「忠貞。そちも悪よのう。西堂丸は人を得る。隠居共は活躍の機会を得る。儂は口煩い隠居共を西堂丸に押し付けられる。三方、丸く収まるという訳じゃな。」


 御本城様は面白そうに笑い、提案に許可を下さいました。




初めて感想をいただきました。ありがとうございます。ご指摘いただいた点を加筆修正しております。


改善していきますので、今後共よろしくお願いします。

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