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平宰相〜北条嫡男物語〜  作者: 小山田小太郎
西堂丸の巻(1543年~)
13/117

農政改革案

 夕餉を済ませ、忠貞に書院に来るように伝える。白湯を飲みながら待っていると、忠貞が入ってきた。


「お呼びと伺い、まかり越しました。」忠貞にも白湯を勧めて楽にしてもらう。


「儂は将来に備えて今からやりたいことがある。それに対して其方の意見が聞きたいのじゃ。儂の提案が可能かどうか?可能ならば実行する為の手順を如何したら良いか?不可能なら可能にするための方策を考えて欲しい。」


 前置きはこれくらいにしておいて早速話し合いに入る。


 第一に農業生産の向上。この時期から手を入れるなら【正条植え】と【除草爪シザーハンド】の開発だ。収穫量に直結はしないが、作業効率を上げて雑草や害虫の被害を減少させる効果がある。


 次に【中干し】の実施。中干しとは稲の穂が出る頃に田の水を抜く、稲は水分を求めて深く根を張るのだ。土の固さに懸念が残るが追々考えていこう。


 秋の収穫に向けての農具開発も進める。昭和初期まで現役だったクランクを利用しての【足踏み脱穀機】の開発だ。クランクの開発に手間取ると考えて、ハンドルでドラムを回す形の単純なものを開発したい。ハンドルの原理を応用すれば、籾選別用の手回し扇風機もいけるだろう。肥料の開発も進めなければならないな。


 ここまで一気に話して忠貞が唖然としていることに気が付いた。


「忠貞。済まぬ。思いつくままに話してしまったようじゃ。見たことの無い物を言葉だけでは理解できる訳ないな。」


「申し訳ありません。西堂丸様に授けられた知識がこれ程に膨大なものと思いませんでした。出来る出来ないは後のこととして、一つずつ試みていきましょう。」


 白湯を口にし、早急に取り組むべきことを伝える。肥料の開発だ、これは硝石開発の伏線でもあり、隠れ蓑でもある。適任者の人選も検討しなければならない。


 続けて特産品の開発だ。北条家には江川酒と呼ばれる諸白の清酒があるが、大量生産できる環境ではない。仕込みに壺や甕が用いられており、大型の木樽はまだ一般的なものではなかった。木樽は軍事運搬にも転用が効く、軽い木樽作りは鉋の開発から始めよう。灰汁を利用した灰持酒を大量生産できる体制作りも進めていきたい。


 軍事のことに話が及び、鉄砲の事が話題になった。


「今年の夏、大隅国の種子島に2丁の火縄銃が持ち込まれる筈じゃ。一つはそこで複製が作られ、一つは紀州根来に持ち込まれ、複製作りが始まる。そこでじゃ。他国に先駆けて小田原でも生産できるようにしたい。何か良い思案は無いか?」


「薩摩も根来も伝手は何とかなります。後は如何にして技術を得るかですな。」


 忠貞は嬉しそうな表情で思案を始めた。この調子なら大丈夫だろう。

木樽が普及するのは江戸時代に入ってからだそうです。柴田勝家の渾名からもわかる様に1570年の織田家でも木樽より壺や甕が用いられています。


誤字脱字報告ありがとうございます。反映させていただきました。

読み辛いところが多くあり、申し訳ありません。

またご指摘いただけると助かります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 水軍の練度。 [一言] 伊豆・小笠原に進出出来れば肥料兼火薬のグアノが採れるのですが……。
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