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第二章 其の二

 

 こんにちはー!! 私の名前はナタリア・バロンナイツ。

 黒髪ロングの完璧美少女。 それが私ことナタリアなのです!

 この度、私は勇者様と共に魔王討伐を目指した旅に出る事になりました!

 人族や他種族、そして王族や貴族、平民の為に一生懸命頑張ります!



 というのは建前です。

 実は私には夢があるのです!! 

 それはあえてここでは言いません。 何故なら私の夢はとてつもなく大きいのです。


 とりあえずその足掛かりとして、魔王討伐に挑みます。

 私は自他共に認める完璧美少女ですが、こう見えてかなり努力家です。

 我がバロンナイツ家は代々勇者の盟友となった家系。



 故に両親も私が勇者の盟友になる事を望みました。

 そして五歳の頃から、徹底した英才教育を受けました。


 読み書き、算術、一般教養、更には剣術や魔法、更には礼儀作法など。

 とにかく小さい頃から、そういった様々の分野の教育を受けました。

 おかげで初等学校では、学業、武術、魔法分野でも常に一位の座に君臨。

 更には王立中等学校に進学しても、常に一位の座をキープ。


 そして飛び級を重ね、十六歳の若さで王立魔法大学に入学。

 才色兼備。 それを見事に体現するのが、この私、ナタリアなのです。

 ですが流石の私も今回の魔王討伐の旅に関しては、少々不安です。


 だって私達の右肩に人族の命運がかかってるんですから!

 などと思ってましたが、今の所は旅は順調です。


 王都アールハイトを発って早三週間。

 まず最初に勇者様が王都の冒険者ギルドで冒険者情報を登録。

 勇者様といえど、一人の冒険者。

 冒険者ギルドはこういう部分では良くも悪くも平等です。


  

 そしてそれからは徒歩で北を目指して、勇者様のレベル上げを兼ねて、

 道中のモンスターを狩りながら、モンスターの魔石やドロップアイテムを

 収拾しながら、地道な金策もしました。


 何せ旅立ちの時に王様から渡された支度金は十万ラン(約十万円)。

 子供のお小遣いとしては、高いですが、魔王討伐の支度金としては低すぎます。

 正直がっくり来ると同時に腹が立ちました。


 だって私達は魔王を倒す旅に出てるんですよ?

 その支度金が十万ラン(約十万円)とはどういう了見ですか!?

 ここは気前良く一億ラン(約一億円)くらいくれてもいいじゃないですか!



 などと思っても、顔や態度には出しません。

 何故なら私は才色兼備、品行方正の完璧美少女なのです。

 だから男性の夢を壊すような真似は致しません。



 それがこの私――ナタリア・バロンナイツに与えられた使命なのです。

 さて少し本題からずれたので、話を元に戻します。


 私達はそういう地味な作業を続けて、人族の古都ロザリアに到着。

 そこで宿を取り、武器防具を新調したり、回復アイテムのなどを補充、そして更に北上して、人族の港町エルベーユを目指します。


 そして港町エルベーユで船に乗り、魔王が統治する魔大陸へ向かいます。

 魔大陸。 それは魔王に統治された魔族が住む大陸。

 面積は人族の領土である中央大陸の半分程度。


 魔力濃度が濃い土地で強いモンスターがたくさん居ます。

 正直あまり行きたくないですが、これも勇者の盟友の使命です。


 そう、私は勇者と共に魔王を倒した盟友という称号が欲しいのです。

 これは下手な名誉や地位より有り難味のある栄誉です。

 単純な善意や使命感だけでは、とてもこんな大役は引き受けられません。


 やはりそれなりの見返りがないと、やる気は出ません。

 ですが私以外の勇者の盟友である猫妖精族ケットシーのアリシアさんと

 ドワーフ族のラルレイアちゃんことラルちゃんは別に不満はないようです。


 あれれ? もしかして私が間違ってる?

 と思いましたが、約一名似たような人が居ました。


 それは何を隠そうこの旅のキーマンとなる勇者様でした。

 私も計算高い人間なんで、勇者様の思考や行動が手に取るように分かります。

 彼はやたらと私に優しくしてくれます。 正直下心丸見えです。


 でもまあ悪い気はしません。

 一応勇者様はイケメンといっても過言はない容姿。

 ですが必要以上に自分の容姿に自信を持ってるタイプですね。

 私的に分析すれば、勇者様は精々五十人中の上位六位前後のイケメン。


 でもそれが自分がこの世で一番至高の存在、みたいに思っている節があります。

 はい、正直本音を言います。 割とウザいし、更に面倒くさいです!


 というか勇者様はまだまだ甘いですね。

 私のように顔や態度、言動まで完璧にカモフラージュ出来てないですね。

 でも今回の旅のキーパーソンは彼なのです。


 故に私も適度に彼を褒め、やる気を奮い立たせます。

 すると「大丈夫だよ、ナタリア。 君は俺が護るから!」とか言い出しました。

 まあその気持ちは少し嬉しいんですが、ぶっちゃけるとちょろいですね!


 でも男を奮い立たせるのは、出来る女の役目でもあります。

 だから私は「わあ、勇者様。 ありがとうございます」と、

 やや頬を染めながら返しますと、気を良くした勇者様が――


「その勇者様は止めてくれないか? 出来れば名前で呼んで欲しいね」

「では……ユーリス、様」と、もじもじしながら返す私。


 すると右拳を握って、「いい、実にいい」と呟く勇者様。

 言うまでもなくこれは全て演技です。 というかこの人、単純ですね。

 ですが魔王討伐には、この勇者様の力が必要なのも事実。


 なので魔王討伐までは、この面倒くさい勇者様に付き合いますよ!

 これもお仕事、お仕事。 だからナタリア、頑張っちゃいます!

 そういうわけなので、皆さんも我々勇者一行を応援してくださいね!

 



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― 新着の感想 ―
[一言]  ナタリアちゃんもなかなか癖のあるキャラですねー。  凄く面白いです。  そうですよね、勇者のパーティーの性格が、みんな善良を絵に描いたようだったりするのは嘘くさいですよね。  そう思うと、…
[良い点] これはまた、イイキャラしてますね(*´∀`) でも、これだけ打算的な方がユーリスについてきてくれるかもです(’-’*)♪
[良い点] ナタリア(笑) 清らかなイメージ像が……。
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