7話
フェルが家まで戻ったらマリアさんの親子がやってきていました
「本当に申し訳ございません!」
「いえいえ、こちらこそ申し訳ございません!」
「いえいえいえ、こちらこそ申し訳ございません!」
「いえいえいえいえ、こちらこそ申し訳ございません!」
…俺のお父さんと、マリアさんのお父さんが互いにずっと謝りあっている。
「いや、本当に申し訳ない」
「こちらこそ、本当に申し訳ない」
まただ…原因は俺とマリアさんなんだけどね。
フェルの咆哮を受けた後、すぐに家に戻って剣を取ってきて急いで馬車でこちらに来てから、道場破りみたいな事をしたのだという…お転婆過ぎないか?
それにしても…お父さん同士は謝りあって、お母さん同士はうちの子はお転婆で〜とか、うちの子はすぐに調子に乗っちゃて〜なんて言ってるけど、俺一回も調子に乗ってないからね!
「マリアほら、ハルヤ君に謝って」
「私はこの人に勝つまで謝りません!」
「ほらハルヤ、謝りなさい」
「マリアさんが僕に勝つまで謝りません!」
「「……本当に申し訳ない!」」
あらあら〜と優雅に紅茶を飲んでないでよお母さん!
それにしても…眠い。結構体力使ったのか目がしょぼしょぼする。
僕は、うと…うと…とお父さんのズボンを掴みながら体が揺れる。
「ハルヤ〜俺のズボン掴んで寝るなよ〜」
「はっはっはっ、ハルヤ君にも可愛いところがあるんですな〜」
「あはは…ってハルヤ!?」
お父さんが俺を呼ぶ時にはもう夢の世界に入っていった。
俺はゆっくりと目を覚ます。辺りは暗く、夜だった。
起きなきゃ…けどまだ寝たい…
「起きた?」
「…え?」
俺はぼんやりとした目を覚醒させると、そこにはマリアさんの顔があり、反対だけど目が合った。
というか、膝枕をされていた。
「あ、ごめん…ベッド戻るよ」
「大丈夫よ、気にしないでここで寝ていて」
マリアさんは僕の頭を優しく撫でながら微かに微笑んだ。そして手がどんどん下に行き、頬っぺたを俺が赤ちゃんの時に家族に沢山やられた頬つんつんをされる。
「く、くすぐったい」
「柔らかい…もっちもちで食べちゃいたい」
「女の子からそんな言葉を聞くとは思わなかったな…」
「私ね、冒険者になるから」
唐突だけだど、告白してきたマリアさん。その表情は嬉しそうだった。
「沢山冒険して、貴方に勝つまで鍛錬し続けて、絶対に勝ってみせるから」
「それはす「ハルヤ起きた?」
俺の言葉を遮ったのはセラお姉ちゃんだった、お盆を持って来ていた。
「ありがとうございます。セラさん」
「ごめんね〜うちの弟が世話になって、弟、可愛いでしょ?」
「はい、とっても可愛いです」
「そうだ、これ果実は切ってあるから2人で食べてね。あと、フェルが取ってきた魚の刺身、食べてみて」
「ありがとうございます、頂きますね…おぉ…美味しいです」
「美味しいでしょ?遠慮しなくていいから食べてね」
俺は寝たふりを続けてその場をしのぐ、すぐにセラお姉ちゃんは帰って行った。
「これ、美味しい…」
「あんまり食べると、太るよ」
「これは別に明日から鍛錬を沢山するなら大丈夫なんです〜」
「へ〜」
あぁ…また、頭を撫でられた、ゆっくりとまた眠気を誘うように、優しく、ゆっくりと撫でられる。
その眠気には4歳の体は落ちるしかなかった…
☆
「あら、マリアちゃんごめんね〜ハルヤ重かったでしょう?」
「いえ、大丈夫です。羽のように軽かったので」
「あら、そうなの」
彼の母親が、私の膝の上で寝ているハルヤ君をゆっくりと持って、近くのソファーに乗せた。
ゆっくりと血が巡ってくる。
「ハルヤも重くなったわね〜」
「そうなんですか…驚きです」
「それに、何処か子供っぽさをわざと 出している気もするのよね…それに、好き嫌いもあんまりないし、」
「たしかに…いえ、そうなんですか」
「まぁ、もし何かのハルヤに起きても絶対に助けたりするんだけだね」
「あはは…」
あ、足がじんじんしてきた。
「それで、お母さんとお父さんとは話は出来たのね」
「はい、私は彼に…ハルヤ君に勝てるぐらいの力を持つために冒険者になって心を体も強くなってきます」
「そうなの、貴女の人生だものね、頑張ってね」
「はい!」
「じゃあ、私はこの辺で…ハルヤに手を出してもいいからね〜」
「それ、どうゆう意味ですか!」
「ふふっ、嘘よ早く寝て体力を回復しなさいね」