6話
ブクマありがとうございます!
「…貴女誰です?」
俺の放った最初の言葉はこれだった。
「まぁ!私の事が分からないですって!?」
「ハルヤ…この方は女王さまの妹の妹の親戚のマリアお嬢さんだよ」
つまり…どうゆう事だ?
あれかな、裕福な家庭に生まれた奴らに頻繁に起こる私、貴方より位が高いからひれ伏しなさい。的な人なのかな?
「それで、マリアさんは僕達に何か用事でもあるんですか?」
「用事なんて分かっているじゃない?」
「?」
"この女、何を言っているんですか?"
「きゃ!喋ったは!これは絶対に欲しい!」
あ〜成る程…フェルが欲しいのか。ふざけんな。
「取り敢えず、その犬を私が貰ってあげます!」
"これは、頭がおかしいようですね。お父様、帰りましょう"
「マリアお嬢は、なんで欲しいのかな?」
「当然!珍しいからに決まってます!喋る犬なんて、珍しいにも程があります!だから、私に譲りなさい!」
「はぁ…お父さん帰ろう。この女の子、頭のネジが5本くらい飛んでるよ?僕怖〜い」
「帰らせるなんて、させる訳無いじゃない!兵達よ!彼らを拘束しなさい!」
後ろから黒いローブを着た人達が一斉に拘束の魔法を発動する。けど、何回も、何回も拘束魔法を言っているのに一向に拘束されない。
「なんだよこいつら!魔法が効かない!」
「なら!痺れさせれば!」
今度は痺れさせる魔法を放ったが、やはり効果が無い。
「はぁ…フェルやっちゃって。後、絶対に殺すなよ」
"承知しました、軽くにしておきます"
フェルは僕達の前に出て、彼女らに向けて怯えさせる咆哮を出す。
器用に音を出さずに、彼女らの耳だけに聞こえる様に放つ。
「きゃゃゃーーーーーーーーー!!」
「うわぁーーー!やめてくれー!」
咆哮が済むと、全員膝をついて口の端から涎を垂らしていた。それだけ強烈なのか…
"これで、当分は立てないかと…"
「だって、お父さん帰ろう」
「あ、あぁ…そうだな」
僕達は馬車に向けて歩き始めた。
「ただいま!お母さん、お土産買ってきたよ!」
「あら〜ありがとうハルヤ、それにお帰りなさい。い今セラがクッキーを作ってるから少しお父さんとリビングでまっててね」
「うん!」
フェルの後ろに乗ってリビングまで向かう、リビングの中央を見上げると空が見える。雨が降っても結界によって雨は入ってこない様になっている。
俺はフェルの体を借りて、少し眠りにつく。
4歳児…キツいよ、
「たのもー!」
大きな女性の聞いたことのある声が聞こえて、眠気が消える。
"主…どうやらさっきの方がやってきたそうです"
「僕も行ってみよう」
フェルのリードを持って、靴を履いて、外に出る。
外では、使用人さんがさっきのマリアさんと口論になっていた。
「いくらマリア様でも、これはいけません!」
「貴方、私に刃向かうつもりかしら!」
「ですから、今はお引き取りください!」
"わん!"
「ひぃ!」
フェルに声に驚くマリアさんと、来てくれた!みたいな顔の使用人さんがこっちを見ていた。
「フェル様!ハルヤ様!」
「はぁ…お姉さん、僕の家に勝手に入ってくるなんて流石にやり過ぎだよ?」
"主の言う通り、貴方は法に一応触れているのですよ?"
「うるさい!さっきはよくもやってくれたわね!そこの犬の主人!私と決闘しなさい!」
け…決闘ですか。
う〜ん…剣に関してはあんまりやった事ないからな〜お父さんの剣技は見て覚えたけど。
「なんで、僕なの?」
「当然!貴方に勝ってその犬を正式に貰うからよ!」
「う〜ん…どくしようか、フェル」
"何があっても私は貴方に使えるので、負けても大丈夫ですよ"
"(分身を渡しますから)
「(あ、お前頭良いな)」
「ちょっと!何話してるのよ!決闘は剣と魔法で2回勝った方が勝ちよ!」
うん?今魔法って言ったな。よし勝てる。
「分かった。じゃあ、ここじゃ危ないから裏山に行こうか」
「えぇ、お願いします」
裏山に2人とフェルと行く。審判としてフェルがやってくれます。
"じゃあ準備はいいですか?3.2.1…始め!"
彼女は剣を抜き僕のところに身体強化して走ってくる。まずはどんものかな、のつもりで剣を交える。
(重い!)
やっぱり4歳児なのか、身長の所為なのか相手の剣が重くて押し返さない。
「土柱!」
無詠唱で魔法を使い、彼女の腹目掛けて下から土の柱が勢いよく出てくる。しかし、彼女は間一髪のところで回避した。
彼女は驚いてから、すぐに剣を構えた。
「なんで、こんな小さい子が無詠唱を!」
「さぁ?分かんない」
うおぉーと剣を持って走っていく、密かに爆散魔法を発動する。
剣との間に一定の距離迫ると爆散する魔法、剣はおじゃんになるけど。
そして、この魔法は相手の剣や、武器をどこかに飛ばす為に作られた魔法らしい…
(あと、少し!)
彼女も上から剣を振り下ろす。
その瞬間、彼女の剣は弾かれて、後ろにカラン、カランと鉄のいい音を立てた。
"勝者、ハルヤ"
「いえ〜い」
「な、なんでよ!なんで、私の剣が吹き飛ぶのよ!」
「爆散魔法を使ったから?」
「そんなの…!いや、そうなのね…」
彼女はその場で座り込み、目を伏せている。
「泣かないでよ、僕が悪いみたいじゃない」
「泣いてない!」
ひっく…ぐす…
すすり泣きをしているマリアさん。
俺、こうゆう女子好きじゃないんだよな。泣いてる時に助ければ普通に起き上がるし、心配してくださ〜い。って言ってるようなもんじゃないか。
「はぁ…身長は僕よりは高いけど、心は僕の方が強いみたいだね。」
まだすすり泣き中か…まぁ、いいや。
「普通にさっきの通った道を進めば僕の家に着くから一人で帰ってね。僕は疲れたから山のてっぺんでお昼寝するから」
まだふるふると震えている。あーくそ!めんどくさい!
俺は彼女の所に行き、見下ろす。
彼女はふるふると震えていた。
「いい加減にしてよ!僕に負けたくらいで泣かないでよ!」
「……」
「僕に負けたなら、もっと強くなればいいじゃんか!色んな人と戦ったりすればいいじゃんか!そんな所でめそめそ泣いて、恥ずかしくないのかよ!」
「……さい…」
「何!」
「うるさいって言ってるの!さっきから!」
ありゃりゃキレちゃった。
"さっきまで泣いてたの貴女ですよね?何をキレているのですか?"
「私はこれでもお父様に剣術を叩き込まれたのよ!毎日、毎日頑張ってお兄様みたいな強い剣士に…けど、それだけやってもこんな小さい子に負けたなんて!もう…もう…お父様に示しが付かない…」
「ふ〜んだから泣いてたの?そんなにお父様って大事なの?」
「当たり前じゃない!」
…う〜む、なかなかのお父様大好きっ子ですね。
俺は彼女の顔を思っきり叩いた、ごめんなさい!
「…っ痛!何すんのよ!」
「一回負けたぐらいでめそめそしてんじゃねーよ!お前のお兄さんだって、一回は絶対に挫折した事があるはずだ!なのにお前はただお父様、お父様って言って認めて欲しいから剣術を頑張ってるんだろ!今のお前をお父様が見ても引いたり、軽蔑なんてしない!絶対に褒めてくれる!」
「嘘よ!お父様は勝たなきゃ意味が無いっていつも言ってるのよ!?」
「それはお前の勝手な想像だろ!」
俺とマリアさんは沢山言い合った、沢山罵声も浴びせた。
「もう!いいわよぉ!ぐすっ…もう私はお父様なんかに縛られて剣技なんてしたくないんだから!」
「僕だって!フェルと離れるなんて嫌なの!みんなと沢山遊びたいの!フェルも大事な家族なの!」
うわぁぁぁぁーーー!2人一斉に泣き出した。
"あ、あの、その、えっと…親さん呼んできますね"
一緒に泣くw