32話
旅行に来て2日目。
悪夢を今朝見てからなのかなんだかゾワゾワしてしまう…お父さんやお母さんからは「大丈夫?」と心配されるけど心配させたくないので「大丈夫」と返事をしてフェルの元に近づいた。フェルは何も言わずに仰向けになり手足をバタバタと動かしていた。
"主人、来ないのですか?"
「行く」
そのまま倒れる様にフェルに倒れ込んだ。普通ならゴフッ… とか言ってお腹を痛めると思うけど流石銀狼様大丈夫なようです。
そしてもふもふと触っているとフェルの開いていた手足が閉じてぎゅーっと抱き締めてきた。これには俺もびっくり。
「ちょ、フェル!?」
"いや人間は抱き締められると安心感を得られると聞いたのでやってみただけです。如何ですか?"
「驚いたかど…安心は出来たよ……」
"そうですか、でしたらこのままでも?"
「そうしてほしい〜」
あ〜このもふもふに包み込まれるの堪んね〜最高なんだけど。もふもふしていると後ろから来ていた影に気づかなかった。
「ハ〜ル〜ヤ〜」
「あんたばっかりフェルといてずるいわ、私達も混ぜて頂戴」
後ろから抱き締められてなんだ!?と思ったらセロお兄ちゃんとセラお姉ちゃんだった。
"分かりました。大きく"
ボフンッ と一回り、二回り大きくなって隙間が出来て「やっほ〜!」と飛んでからフェルのお腹にしがみ付くお兄ちゃんとお姉ちゃん。そしてやはり、もふもふには勝てない。
「「もふもふ〜」」
「セロお兄ちゃんもセラお姉ちゃんもフェルは僕の物だよ!」
「いいじゃね〜かよ〜気持ちいいんだからよ〜」
「ふあぁ〜フェルの上で寝ちゃいそう……」
"寝たら叩き起こしますよ"
こうしてお父さんとお母さんの支度が終わるまでもふもふし続けました。スバルとエリナとチョコとももはお茶などを売店に買い出しに行ってきてもらってます。
今日は馬車を使って大体1時間掛かってやって来たのは大きな滝だった。
ここは飛沫滝、通称恋の滝と言われている。この滝には一つの伝説があるらしくてまぁ名前の通り恋した〜みたいな話。
「ハルヤ兄は彼女さんとか作らないの?」
「分かんないな〜セロお兄ちゃんとか、セラお姉ちゃんならつくるんじゃない?」
「そうなのか〜」
「エリナは彼氏作るのか?」
「え!?私!?あ…その…作りたいとわ……考えています」
「ふ〜んまぁまだまだこれからの人生だからね、ゆっくり見つけるよ」
「それもそうだね!俺チョコちゃんと遊んでかる!」
「私もももちゃんと遊ぶ!」
〜☆〜
みんなでご飯を食べてから昼寝をする。
ぱちっと目を覚ました俺は滝の近くのベンチに座る。
「なぁ…フェル」
俺はいつも通り呼ぶと俺の背後にフェルがやってくる。
"お呼びですか?"
「あぁ、相談があってな」
"相談?"
「やっぱり母さん達に俺の事言った方が良いのかなって……」
"どうしたんですか急に"
「いや…俺は異世界から来て神からスキルを貰ったって正直に言ったらなって……」
"確かに主人のお母様に正直に言えば貴方の心はすっきりするはず…しかしもし仮にも言ったのして拒絶されたりしたら主人はどうするんですか?"
「それは…俺はこの家からフェルと…チョコとももと一緒に去るつもりだ」
「……ぁ」
「そうしてギルドもあるし、食料もある。死ぬまでは全然楽しく過ごせるからな」
「ハルヤ…」
突然後ろから聞こえてきた声に俺は焦りを覚えた。何故か?それは今この場に居てはいけない俺の…この異世界で育ててくれたお母さんがいたからだ。
「その話詳しく教えてちょうだい。包み隠さずに…」
急にシリアス展開に突入していくー!




