19話
同時です。18.19話
side:スバル
「行きます!先生!」
「かかって来なさい!スバル君!」
身体強化を使いダッと地面を蹴って駆け出して先生に向かっていく。
カキンッ!
甲高い剣と剣が交わる音が響く。
お父さんのお師匠様って事は分かってるから俺は自分の力だけで先生を倒す!
「炎憑依!」
「ほぉ…」
剣を持っている手から炎を出して剣に纏わせる。
俺が最初に先生にやりたいと言ってやった魔法の応用だ。剣のブレードの部分に炎が纏い近くの草は燃える。剣をしっかりと持ち直してまた身体強化を使って先生に突進する。
「はぁあ!」
「う〜む…なかなか剣技はいいですがまだまだですね」
「余裕ですね先生!」
「当然でしょう。何故なら貴方達の先生なのですから」
「くっ!」
避けたと思ったら足蹴りで対抗された。体にクリーンヒットを食らう直前で食らう場所を変えたのが正解だった。普通に直撃していたら倒れていた…
「まだまだ余裕でしょう?かかって来なさい」
「言われなくても!」
先生に同じ手は一切食らわないから、先生が思っている事と違う事をしないと負ける。だけど…
【見つけられない】
今まで頑張ってやって来たけど先生に一回も勝ったことがない全然先生は本気どころか力の1割も出していない…それなのに俺はこてんぱんにやられる。
「うおおぉぉぉぉ!」
「力任せに剣を振らない。何度目ですか!」
「かはっ…」
お腹にクリーンヒットを食らった…続けて攻撃してくる先生。
(動け体!避けるんだ!)
体を思いっきり使って回避する。あれだけ鍛錬しても…しても…勝てないのかよ!そんなの嫌だ!
ハルヤ兄に守られる俺は嫌だ!
セロ兄ちゃんに、お父さんに守られる俺は嫌だ!
チョコからも見守られるだけの俺は嫌だ!
「勝ちたいんだ!がはっ…」
「言葉だけか!」
「違う!」
「違わない!お前はただ守られるだけの弱い狼だ!自分で身も守れない雑魚狼だ!他の狼達の方が強かったぞ!」
「俺の種族を侮辱するなー!」
俺が弱いからだ、狼種は弱くない!
お姉ちゃんも!お父さんも!お母さんも!みんなも!
強いんだ!
ドクン…
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「ははっやっと認めた?」
「誰だお前は」
「俺はお前だよスバル」
「そうか…で、なんなんだお前は、お前は俺のなんだ」
「君はまだ自分の実力を知らないんだよ。だから負けてる、同じ種族を馬鹿にされてる」
「それは…」
「否定出来ないだろう?でも一度だけなら俺は君に手を貸してあげる」
「なんだと?」
「一度しかやらないからね、一度やれば俺は消えるけど」
「それでも俺は強くなりたい、絶対に一発で覚えてやる」
「ふふっ、流石だな黒銀狼の力…覚えてみせろスバル・ウェルナ」
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「ふん!」
倒れ込んでいた俺は地面に叩きつけてくる先生の拳をすぐに避けて後ろに下がりながら剣を取る。
そんな俺を見て先生は少し笑った。
「やっとか、久しぶりだな黒銀狼と戦うのは…」
「錬成されし我が心…」
剣は塵になった。
しかし、俺の周りに黒色の剣がふよふよと現れる。そして俺の頭には本で見たことある黒色の輪っかが現れる。
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「ちょ…これ堕天してるんじゃ…」
「そもそも黒銀狼なんて亜種だからな!しっかり見ておけよスバル!」
「分かってるさ!俺は強くなるからな!」
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ふよふよと周りを動いていた剣は一斉に先生の方に刃を向け、一斉に先生に向かって飛んでいく。それと一緒に俺も走る。
先生は剣を構えて一つ一つ弾き飛んでいく。
「発射!」
そう言うと飛ばされた剣が魔法陣によって先生の方に刃を向けられてまた先生に攻撃する。
「くっそ…ギリギリだなおい…ってやば!」
剣に集中していて俺の事が頭になかったのだろうか先生は慌てて俺に剣を構える。
「土壁!」
周囲に土の壁が出来て剣が弾かれる。
(そこは俺の得意な間合いだ!)
俺は先生に攻撃した。
「甘い!」
パキンッ…
俺の剣の頭身が真っ二つになった。
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「おいおい、あいつ化け物かよ!」
「おいどうすんだよ!」
「まだ沢山あるから!黒銀狼辞めんな!」
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「まだまだだスバル君」
「ぐっ…」
強い衝撃を受けて意識を失った。
☆
「おいおい…あいつ強すぎるだろ」
「仕方ね〜じゃん先生なんだからよ!」
「でもこれからはたまに人がいないところで教えられるから今日はこれが限界かな」
「そうなのか?この場で全部教えてもいいんだぞ?」
「別にいいけど、時間かかるよ?」
「舐めんなよ俺、強くなれるなら時間なんて使ってやる!」
「それが本来の君だよ」
どっかの褒めて欲しい王子を出したいなと思いました、わざとじゃないです
それと別のスバルですが二重人格とまではいきませんがなんか…ご先祖様かもです、はい。




