17話
「素振り100回だスバル!」
「はい!1!2!3!4!5!…」
ガロさんは先週元の狼種が暮らしていた村に帰っていった。その時は流石にスバルもエリナも泣きじゃくっていて、一緒に帰るか?とガロさんが言うと頭を横に振った…そこは縦に頷こうよ。
とりあえず、ガロさんが帰ってから1週間が経過した。
スバルは朝から鍛錬→朝風呂→朝食→仮眠→お勉強→昼食→昼寝→鍛錬→夕食→お勉強→風呂→就寝って感じな生活を、スバルは送っている。
これでも根を上げずに逆にやろー!と張り切っている。朝からランニングと素振りとかして俺ならすぐに根を上げるな、うん。
家の玄関の前で魔道書を見ながら、少し鍛錬している3人の姿を見ていると肩をちょんちょんと触られた、振り向くと魔道書を持ってもじもじしているエリナが立っていた。
「ハルヤさん、分からないところがあるんですけど…」
「いいよ、一緒にやろうか」
「ありがとうございます!」
エリナは弟のスバルとは違って魔法に興味があったようで、ガロさんからも教えてあげていたらしいが狼種は普通の戦闘能力が高くて魔法に関してはへっぽこに近いと聞いた。しかし、エリナは魔法を使うには十分な資質があり、なんと1週間で簡単な魔法をマスターしたからね!
これには彼女どころか、俺もスバルもセロお兄ちゃんもセラお姉ちゃんも色々な人たちが驚いた。
それに気持ち良さを覚えて今ではほとんど俺の隣にいる。そしてごろごろ〜と俺に抱き付いてなどを鳴らす。なんかスキンシップが増えているような…
「エリナこの魔法はこう…最初に魔法を体に溜めてから放つ様にすると俺は出来たよ」
「そうなんですか…分かりました、やってみます」
俺は大きな猫でも拾ったのだろうか…
☆
「どおりゃーー!!」
「うわっと!」
「ハルヤ兄待てーー!」
「ちょ!ごめんってハルヤ!」
「俺のゼリー勝手に食べた奴が何言ってんだーー!」
「俺はちゃんと聞いたじゃね〜かよ!そしたら食べていいよ〜って言うから食べただけだって!」
「嘘言っても無駄だ〜!」
「嘘じゃね〜よ!」
うわぁぁぁ!助けてフェルエモ〜ン!
"まったく…"
「むう…」
「むぐ…」
俺とスバルの間にスッと入ってきて、手で両者の顔を抑える。俺にとったらただの甘えてるだけにしか見えないんだけど…
{うっは…肉球やばい…)
「ね〜銀狼様〜ハルヤ兄が俺のゼリー勝手に食べたんだよ〜」
「いやいや!スバルが良いって言うから食べたんじゃん!」
"はぁ…まったく2人とも私の目の前に座りなさい"
「「はい…」」
フェルエモンは魔法で解決はせずに、直接叱るお母さん属性の狼さんでしたか…
"まずは主人に質問です。貴方はスバルのゼリーを食べたらしいですが、そもそも1人何個まででしたか?"
「えっと…2個」
"なら、貴方はスバルのゼリーを食べていなかったら何個食べましたか?"
「2個」
"ほら、もうこの状態で主人が悪い事が決まりました"
「ハルヤ兄が悪いんだよ!」
"ストップですスバル。なら貴方は何個食べましたか?"
「え…に、2個」
"ほう…そうですか、私の目には嘘を付いている様に見えますが?言ってませんよね?"
「た、食べてない!」
"嘘はこれくらいにして、スバル…貴方は3個食べましたね。けど、まだあると思っていた…そうですね?"
「そ…そうじゃないです!」
"嘘は良くないですよ、何があっても…私は全部知っていますからね?"
「…っ!ハルヤさんごめんなさい!」
スバルは俺に抱き付きながら謝ってきた。その声は少し震えていた、多分あんまり嘘を付いた事がないのだろう…俺はすぐにスバルの背中を撫でてあげる。
「俺もごめんね…」
「怒ってない?」
「うん、怒ってないよ」
「…ごめんなさい〜ハルヤ兄〜!」
こうして、ゼリー事件は幕を閉じた。
その後、お母さんの最後だったものだと知るのは数時間後になる…




