調停者
俺はハヤト。
前は普通の高校生だった。
得意なことは無いが苦手なことは無い、かといって夢中になれることもない。
普通に普通、普通過ぎるから今飽き飽きしていた。
そんな日常を過ごしていたんだが、スマホを見ながら下校していたらトラックに激突され死んでしまったんだ。
ああ、何もねー人生だった。
そんなこと思う時間があるんだなwって思ったのがあっちの世界の最後の記憶。
目覚めるとそこは異世界「エルヴァル」だった。
神マーサとかいう人?から(何者かはわかんねーけど)決して壊れることの無い剣らしい「デュランダル」を貰った。
あと神の基本権能とかいうやつで俺の体がすげぇ強くなってるんだ。
突然のことだったからよくわかんねーけどそれのおかげで俺ってこの世界じゃ超エリートっぽいんだよな~w
人間も魔族もカスみたいなもんで、俺より圧倒的によええぇってわかった。
転生者だって言えば何しても許されるし。
こっちに来て1か月たったけどマジで最高だw 自由ってこういうことだよな~w
「お前は一体何なんなんだ!
出来損ないの人間が転生者である俺様の最強の剣デュランダルを折りや…?ああああおおおおおおお―――!!!!!!」
真っ二つに折れた白銀の剣の上に、肘から切り離された両腕が重なり落ち血の装飾を作り出す。
悶え苦しむハヤトの絶叫はもはや音となっていなかった。
フードで顔を隠した出来損ないの人間と呼ばれた男は気にする様子もなくハヤトに近づき質問を投げかける。
「お前は、何番目だ?」
「あああああああああああああ!」
返事を期待できないと察したフードの男はハヤトの息の根を止めた。
今月は数が多い、そう考えながらフードの男は懐のメモに印を一つ増やす。
質は下がってはいるがこうも多くては面倒だ。
神に騙されている人間から身を隠し、魔族を狩る転生者を殺す。
100年かけてやっと見つけた神の目論見…エニアグラムとして見逃すわけにはいかない。
ムーサの目的について思慮を巡らせていた男は思い出したようにただの骸になった転生者に振りかえる。
「お前は何なんだ、だったか。
死体と喋る趣味は無いが、お前たちの質問には1つだけ答えるようにしている。
俺は、俺の名はマクシム、
調停者マクシム」
このフードの男は
神から崩壊したと思われていた 管理機能エニアグラム
Type9TheLast-調停者- Maxim